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有名なわりに、なにを書いていいか迷う「ペルソナ」について

こんにちは。

UXデザインの手法やらツールやらいろいろある中でも、特に有名なペルソナ ですが、実は、ペルソナになにを書いたらいいか知られていないんじゃないのかという疑惑を最近持ち始めたので、今日は「こんな内容を書くんだよー」というお話をしたいと思います。

ペルソナは、UXデザインのフローの中では、調査・分析の次、ユーザーモデリングというフェーズで作成します。

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作成と言っても、0からつくるのではなく、前のフェーズである、調査・分析の結果から、人軸で価値やら利用文脈やらをまとめてプロフィールシート状にします。ですので、調査結果にないものは入れないのが原則です。

なぜ、ペルソナをつくる必要があるかと言うと、ユーザーモデリングの次のフェーズから、いよいよ実際に「正しくつくる」作業に入ります。

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つくるフェーズではアイデアを出すことになりますが、アイデア出しは得てして楽しいもの。気づくと盛り上がってしまって当初のゴールを見失ってしまうことがあります。そんな時に、つくる対象がブレないよう、コンパスのような役割を果たすのが、ペルソナです。「このアイデアは○○さん(ペルソナ) は使うかしら?」そんな問いかけをしながらアイデア出しのフェーズでは、発散と収束を細かくくりかえしていきます。オフラインであれば、議論をする場にペルソナを貼って置くだけで、不思議と「誰のためにつくろうとしているのか」を意識するようになります。

もちろん、このタイミングだけでなく、運用と言う長〜い目線で見ると、同サービス内でなにかを新しくつくる時や、広告をうつ時にどんな内容にすれば刺さるのかを検討する時もコンパスのような役割を果たしてくれます

では、実際に、ペルソナになにを書けばいいのか。

ペルソナ の使用目的から考えると、「今つくっているものは、○○さん(ペルソナ) は使うかしら?」と問いかけた時に、判断材料となるものが書いてある必要があります。

私がペルソナをつくる時は、こんな感じでつくっています。

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おそらく、これが、一番シンプルかつ、必要最小限な内容かなと思います。

ひとつ目はペルソナの顔。
写真派か、イラスト派か、つくる人やチームの方針によって分かれているケースが多いような気がします。(私もそれほどいろいろな現場は知らないのでn数が少ないですが。)
私は最近は、なにを元のデータとしたかによって分けています。正統的に定性調査(デプスインタビューや行動観察など)の結果を元にした場合は写真を。予算等との兼ね合いでプラグマティックペルソナ (偽物のペルソナ )をつくることになった場合は、現実味が出ないようにイラストにしています。

ふたつ目は、プロフィール。
年齢とか性別とか、いわゆるデモグラの内容をここに記述します。
ペルソナにはコンパスの役割してもらわなければいけませんから、その案件やプロダクトに必要なプロフィール情報を書きます。
年齢・性別は共通ですが、それ以外は案件によって変わってきます。
例えば、「お酒が好き」というプロフィールは、経理ソフトの開発には不要ですが、生活習慣病患者向けの健康管理のサービスでは重要な要素です。
なにを記載したらいいか判らない場合は、ユーザー調査のリクルーティングの際の絞り込みの条件を参考にするのがいいのかなと思います。

3つ目は、利用文脈です。(UXデザインなのでかなり重要。)
「利用文脈」という言葉でピンと来ない方もいらっしゃるので、説明する時にSWOT分析を真似て、「このサービスを使う上でペルソナの行動に影響を与える外的因子」と呼ぶこともあります。
ここには、働くママ向けのサービスであれば、子供の送り迎えであったり、旦那さんとの家事の協力の具合であったり、仕事の忙しさなど、外的な要因で発生するペインやゲインが判るよう記載します。
リクルーティング時に条件できちんと絞れていれば、複数のインフォーマントの調査結果でも、影響を受ける共通の外的因子は自ずと絞られます。
どうしても共通の外的因子が見つからない場合は、リクルーティングの条件で絞り込めていなかったり、設計か実査か調査がうまくいっていないケースが考えられるので、調査フェーズを振り返ってみることをおすすめします。

4つ目は、ブランドプリファレンスです。(こちらもかなり重要)
日本語を使おうとすると「趣味・嗜好」となってしまうのですが、「趣味」という言葉を使うとミスリードが頻発するので、こちらは「このサービスを使う上でペルソナの行動に影響を与える内的(または心理的)因子」と説明しています。
ここには、三日坊主になりがちであるとか、ガジェットマニアであるとか、個人の性質や思考のクセ、行動に強く影響を与える好みなど、その人の内面から発生するペインやゲインが判るよう記載します。
人間はひとりひとり違う性格・性質を持っているので、どれを書いたらいいか判らないという方もいらしゃいますが、あまり自由に描きすぎるとモデリングの目的が果たされないので、基本的には、調査したインフォーマントさんに共通する性質を主に抜き出します。どうしてもバラけてしまう場合は、一番ユーザー像に合うインフォーマントさんの性質を持ってきます。

そして、5つ目は、UXゴールです。ペルソナにとってのゴールですね。
「こういうサービスを使いたい」という具体的な手段は書きません。
モデリングは、あくまで、「調査結果をモデル化」したものです。モデリングの後に、徐々に抽象度を下げながらユーザーの体験設計(UXデザイン)をするフェーズがあるので、手段を考えるのは後に取っておきましょう。
UXゴールは、「そもそも、どういう状態になると幸せなのか」という手段を取っ払った、そのペルソナが得たい価値を記載します。
この時気をつけたいのが、言葉の抽象度で、「安心」「安全」「幸福」は、抽象度が高すぎて、なんでも当てはまってしまいますので、もう少し抽象度を下げる必要があります。

最後におまけ…というには重要すぎるかもしれませんが、ペルソナに名前を付けます。共通の知人や有名人の名前を付けてしまうと、イメージが引っ張られてしまうので、なるべくそういったところからの引用は避けます。また、人の名前として突飛すぎるのも避けます。なるべくメンバー全員が納得感がある名前の方が良いです。感覚派が多いチームの場合はフィーリングで良い感じの氏名を思いついてくれたりしますが、堅実に行きたい人が多い場合は、下の名前はその年齢に多い名前(ありがたいことに、Google大先生がサクッと教えてくれます。)のランキングの中から、みんながしっくりくる名前を選ぶことが多いです。そうすると、「苗字はどうするんだ」という話になりますね。私の場合は、そのペルソナの特性から連想して付けたりしています。

「うちのサービスはターゲット層が複数あるんだけれど、複数つくってもいいんでしょうか?」という質問をいただくことがありますが、もし、ひとつのサービスに複数のターゲット層がいるのであれば、ペルソナも複数つくってOKです。ただし、ペルソナは、「誰かひとりのために」なにかをつくるための道具です。ペルソナを大量につくって「全ペルソナに当てはまる、ありとあらゆる人に向けたサービスです」と言うのは、スコープを絞ると言うツール本来の目的からズレてしまうので、くれぐれも、つくったペルソナに優先順位をつけることを忘れずに。

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