筋肉は裏切らない
入院中に1度だけゆっくりと主治医と話した。「太ったから点滴も入れたくない。」「健康になりたくない。」などワガママ言いたい放題やりたい放題な回診だった。主治医はポツリと「思ったより重症だなぁ…」と言った。
「運動をしたい。」と私が言うと、主治医は急にテンションが上がり、「じゃあやってみる?」とすごく楽しそうに話し始めた。リハビリ室を借りて、初日は手の空いている内科医を1人連れてきた。その先生もノリノリでついていけるか少し不安に思った。
1日目。リハビリ室を借りて、手の空いている内科医を1人連れてきた。その先生もノリノリでついていけるか少し不安に思った。ソーラン節を2セットと竹脇まりなさんのハンドクラップを1セットやった。久しぶりの激しい運動に脳みそが震える感覚があった。脳汁が出た。
2日目。主治医はステーションにいたナースを5人巻き込んで「さぁ!やるかぁ!」と意気込んでやって来た。ソーラン節を1セット、竹脇まりなさんのHIITを1セット、主治医オスメスのHIITを1セットやった。1日目の運動量とは比にならない。足がプルプルして病棟へ戻る階段で転びそうになった。
3日目。今度は他科の先生を3人とやりたがっていたナースを1人連れてきた。ソーラン節を1セット、ライザップ監修のダンササイズを1セット、HIITを1セットやった。汗をかくってこんなに気持ちよかったっけ、と思った。
学生時代、運動が大嫌いだったとは思えないくらいに楽しいと感じた。もっとやりたいと思った。運動後、少し気持ちが晴れた気がした。気がしただけかもしれないが。昔「メンヘラは筋トレをすると治る」と聞いたのを思い出した。しかし、夜にはもう気持ちが沈み、泣きじゃくった。朝起きたら筋肉痛になっていた。身体は正直で心よりも素直だった。筋肉は裏切らなかった。
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