太っている事は悪い事なのか
赤ちゃんの頃から太っていて、10ヶ月で10kgあった私は、ずっと皆から「太っているね」と言われ続けてきた。自分が太っていると自覚したのは、保育園の年長さんになってから。「まゆみちゃんは犬食いだから太ってるんだよ!」や「え!そんなに体重あるの?!太ってる!」など、具体的な指摘をされた。それからは「私は太っているんだ」という考えが頭から抜けなくなってしまった。そして高校2年生で摂食障害になった。
摂食障害になり、過食嘔吐が始まった。高校時代は寮生活だった為、好き放題できた。インスタントラーメンを5袋全部茹でて食べたり、炊きたてのご飯を炊飯器のまま抱えて食べたり、深夜に徒歩30秒の場所にあるコンビニに走り、弁当を4個、菓子パンを5個、ジュースを1L買って床で食べたり、めちゃくちゃだった。お金と体重はどんどん減っていった。9ヶ月で15kg痩せた。周りの人は「すごい痩せたね!どうやって痩せたの?」と言ってきた。人生で初めての経験だった。嬉しかった。15kg痩せてもまだ標準から太ってるの間くらいの体重だったが、痩せた事を認めてもらえた私は舞い上がっていた。
食べても吐けば痩せるんだ
簡単に痩せる方法を知ってしまった。
高校を卒業して実家に帰ってきた。過食嘔吐は辞められないどころかエスカレートしていった。体重は急激に増えて、急激に落ちて、を繰り返していた。吐く事を辞めるとすぐに体重は増えた。そして焦って便器に顔を突っ込んで吐き続けた。下剤を乱用するようにもなった。過食嘔吐と下剤乱用を続けて9年目、遂に身体にガタがきて、低カリウム血症や低血糖や脱水症や低栄養状態になった。入院中の採血で結果が悪く、点滴や鼻管で命を繋いでいた。それでも私は太っていると思い込んでいたし、ボロボロの状態の自分が嬉しかった。主治医には「体重よりも体調を優先できるようになろう」と言われたが、体調が悪ければ悪いほど安心感が持てた。
今年に入ってから、摂食障害の症状はハイスピードで悪化していった。透明のコップに線を引き、水分量も計って飲むようになった。食べた物はほとんど吐くようになった。体重は面白いほどに落ちていった。人生で1番太っていた頃から28kg痩せた。それでも太っているという考えが抜けなかった。少しでも体重が増えると、泣き叫んで、暴れて、母親に薬を飲まされて眠らされた。食べ物の事で頭がいっぱいで、ものすごく神経質になった。1人前が分からなくなった。母親は私が泣いていると「まゆみが辛い事はお母さんも辛いんだよ。苦しんでいるまゆみを見たくない。」と一緒に泣く。私のせいで家族の生活が壊れた。
小学生になっても、中学生になっても、高校生になっても、卒業して大人になっても、いつまでも「太っている」と言われていた。正しくは「デブ」だが。今は小学4年生頃の体重まで落ちて、寧ろ「痩せたね」と言われる事の方が多くなったが、今までのすり込みのせいで、「いや、私は太っている。私よりも痩せている人は世の中に沢山いる。」と思ってしまう。実際に私よりも痩せている人を山ほど見てきたから事実だ。体型に対する自己肯定感がとてつもなく低い。太っているから。
ここまで自分の体型に自信が持てない原因は、過去のだらしない自分自身にあると思っている。しかし太っている事は悪い事なのか。よく「私が太っている事で周りに迷惑かけたの?」という意見を目にする。確かに迷惑はかけていない。だが不快に思う人はいるかもしれない。私は、私が太っている事が不快だ。ただの甘えで、自己管理のできない醜い人間で、存在が迷惑だと思っている。摂食障害の行き過ぎた思考が原因かもしれないが。生きづらい病気になってしまった。
14日に県の摂食障害拠点病院になった所への受診が決まった。これを機に摂食障害を治したいと思っているが、痩せ続けて小さくなってそのまま消えてしまいたいという気持ちも同時にある状態で治療をする事は可能なのか、とも思う。母親から「これだけ人が動いてお金と時間がかかるんだからちゃんと治して」と言われた。そんな事私が1番分かっている。治したいという気持ちだけで治る病気じゃない。理解を求めるよりも上手い付き合い方を身に付ける方が早い気がする。自分自身に振り回される人生、早期退職したい。
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