2023年1月31日の夢
髪を梳かしているのは長い黒髪の少女。 あどけなさが残る彼女に見えぬ私は、そっと洗面台から這い出しました。まだ夜、薄明かりの照明だけの部屋では、半透明の私は目につかないのですーというより彼女が夢うつつだからだったのでしょう。 見つからないように逃げているものの、窓を半分程度開けて屋敷を抜け出します。私が逃げたとわかるように!
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外は太陽に照らされて明るいはずなのに、 薄暗いままのその部屋で、貴方は資産家と言葉を交わしています。「何億出す?」 なんて、 逆光の中で訊くものですから、まるで悪役です。 訊いておきたいけれど、売る気はさらさらないのが資産家にだって解りました―その資産家は私でもありました。
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私は駐車場まで駆けて行くと、クルマにより掛り煙草を吸う貴方と再会しました。私の姿を見て驚きを隠せない貴方に、わざと見えるようにして屋敷の前を通るよう言われます。 やはり、と思う間もなく、この先を右に曲がった京都の 「けんじょうじ」 一建仁寺なのかはたまた京都は間違い、鎌倉の建長寺なのかーでなと貴方は言って別れました。 朝日が昇ってくる小路を、また貴方に会えるという気持ちで走り出します。私が本当に目覚めたのは、まだ日が昇る前でしたが。その時振り返った貴方の顔には陰鬱な影が差していたのを決して見逃しませんでした。
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