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25.出社訓練という実験

あの場所に戻る恐怖は変わらない感じ


先日会社の保健師との面談があった

約10ヶ月ぶりくらいの面談だったが
前回と比べて、meetを開いて待っている自分の心境がだいぶ気楽になっていることに気がついた

リワークでの学びや仕事をしない時間の経過がそうさせてくれていたと思った

体調面の話や今の自分としてこれからをどう考えているかを話していたら
指定の時間を超えてしまっていたが保健師の先生はとても真剣に話を聞いてくれた

にこやかに話していたから初めて
自分から質問した復職のフローの話をしているとき
私は久しぶりに恐れを感じた

そもそも休職できる権利と義務の理解が曖昧で、時間をおいた今でもなんかよく理解できていない気がするのだが
休んでいる間、仕事のストレスから少しづつ距離が置けるようになり
「復職」という文字が目の前に迫ってきたとき
会社が復職を判断するという、当たり前のフローに
納得しつつも、何かまた操作される恐怖を感じた

「復職できます」から「復職したいです」に変換される感覚だ

あくまで雇われている身なのだから当たり前すぎることなのだが
散々身体を壊した挙句、私はまたその戦線に立つのか

以前は「中」にいたから暖かさすら感じることのあった場所に
「外」からまた「中」に入る感覚が津波のように迫れば迫るほど
高くそして長く、遠くから襲ってくる感覚に襲われた

「ああ復職(今の会社に戻る)って思ってたより辛いかも」

最近はパソコンに1日向き合っていたり、
少しの運動もそこまで辛くない体調がいい状態ではあったので、
心の中でもう復帰はできるだろうと思った

実際に会社と直接関わってない懐かしい知り合いと
話していてもぐるぐる思考や動悸を感じることは少なく
フラットな自分をキープできていたので
仕事復帰という面ではもう大丈夫だと思っていた

そこで相談したのが復職の話だったが
別に転職をするこという判断もできる中で私は十数年同じ会社にいることで
根強く残っている社畜感覚に気がついた

頭の根っこに「仕事できないから休ませてもらっている自分」
「復帰しなければその休みの恩を仇で返している自分」という感覚

復職が休職のゴールなのか?

休職は通過点なのに、その休職明けに
一つの節目としてのプレッシャーを感じている

私の認知というか感情の歪みが生まれたのは
あるひとたちとの関わりだった

そしてもう無理だと思ったきっかけは
そのひとがいる空間で起きた震えだった
だから会社にその人がいることが復帰のハードルなのだ

嫌な気持ち、嫌な瞬間の感覚を思い出すぐるぐる思考は
今は意識してなくせるようになったけれど
やっぱり怖い

もうあのひとたちに会いたくない

そんな気持ちでいっぱいになった胸の内

すごく寂しいけれど
あのひとに会うこと vs これまでの社内の人との繋がりを閉ざすことになるかもしれないこと を
天秤にかけると前者の方が圧倒的に嫌だと思うことに気づいた


何よりも人とのつながりを大切にしたいと思ってきたと
自分では思っていたけれど

後者にこだわりはもうないんだった

一年以上会ってない人たちに想いを寄せすぎても
少し前向きの「前」を分かってきたような私が
また逆戻りしてしまうんじゃないかという恐怖もある

会社の辞め方ってこんなんもんでいいのかな
40歳の退職初心者の自分がとことんカッコ悪く見えた

でもやっぱり出社訓練をしてみることにした

「出社は嫌だ
 理由は会いたくない人がいるからだ」

でもやっぱり出社訓練として会社の近くの駅まで行ってみた

<1日目>
会社方面の駅改札のうち遠い方までにしようと決めていたが
道中好きなドラマを見ていつの間にか最寄り駅に着いていた

少し気楽だったので一番近い改札に向かってみた

特徴的な駅の発車音に懐かしさよりも
リマインドのような改札に促される感覚

改札を見た瞬間、ぐらっと視界が歪む
「嫌だ」っと頭から拒絶のサインが目に直接送られているのか
思うよりも先に体の拒否感から右を向けば会社に向かう道だが
右を向くことはできずそのまま駅ビルに逃げ込んだ

そうだ本屋に行こう
私の中では相性がいい本屋だからきっと落ち着くだろうなと思って久しぶりの駅ビルに入った
誰かの誕生日プレゼントや会食のお土産を買いに行った
いつものアトレだったが
ザワザワとした心の乱れは本を眺めていても消えず

そうだケーキを食べて落ち着こう
有名なケーキ屋さんに入ろうと思ったけれど
誰かにあったら嫌だなと思う気持ちが先で席が空いてても
座れない
休日だったら並ぶ人気のケーキ屋さんだけど
休職中の私とって 会社の近くでほっと一息なんて付けない場所となった

そうだもうこの駅から離れよう
またさっきの改札を潜って電車を待つのもつらいから
一駅歩いた

道のりは昔からよく通った道だったから
駅から離れれば離れるほど大したことないことを思い浮かべることができた

あーあの歩道橋、ドラマに出ていたな
この居酒屋間違えて予約したことあったな
この辺に元上司の今の会社はあるのかな

色々思い浮かべて一駅先のカフェに入った

仕事が煮詰まったらノマドしていたカフェだったから
慣れた感覚だったけど
席に着いた瞬間やっと涙が出た

私用のパソコンを開いて周りのノマド客に紛れながら
冷静に自分の感情と向き合おうと思った

それはある意味私にとって一つ
休職前にはできなかったことかもしれない

悲しかったな
 好きな街の駅で懐かしさよりも苦しさを感じること

期待してたのかな
 なんだかんだ休んだことで気楽に会社に戻る感じがもしかしたら産まれるかもって

こんなもんかな
 休んだってすぐに解決なんてできないんだから初日はこんなもんだ
 


なぜ出社訓練をしようと思ったか
もし出社訓練を何回かして、それで判断をすれば
行けない会社に戻る理由はないと決められるからだ

復職の条件として会社は課してくるのが出社訓練だが、
私にとってはあくまで実験

向き合うべきだから向き合うのではなく
向き合ったら何か見つかるかもしれないから
向き合うというよりやってみる

私の出社訓練の定義を一旦は、「実験」だと決めた













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