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傷つくことばなんてall or nothing

がんになったことを友人に打ち明けたら、距離を置かれたみたいな話をよくネットで見る。
幸いわたしはそういうことはなく、むしろ今までより近くなった人もいる。初発のときもそうだった。
がん患者から離れていったひとは、おそらくどんなことばをかけていいかわからなくて、へたなこと言って傷つけたくなくて、悪く言えば逃げたんだと思う。

さて、がん患者が傷つくことばとして、賛否あるのが「大丈夫」らしい。

「大丈夫だよ!」と言われて心強く感じるひともいれば、なにを根拠に言っとるのだと思うひともいるっぽい。

わたしは「大丈夫」は言われたことはないけど(?マーク付きの「大丈夫?」はあまりに頻回に言われたときイラッとした)、「頑張って」は抗がん剤の副作用でひーひーなときに言われたのでかなりつらかった。
そのときは、つらい状況に対して頑張れ(=否定)じゃなくて肯定がほしかったのだ。相手はそれは治療のために必要なことだから、敢えて励ましのことばをかけてくれたんだろうけど。

今思えば、副作用がきつかったときは本当に性格が悪かった。ひとからの親切な声かけにも答えられなかった。ごめんよ。
でも調子がよくなると、他人からのことばをわりと素直に聞き入れられるようになった。相手にもよるけど。

先日ペット信託のことで行政書士と受け入れ先であるNPOの代表と話したんだけど、NPO代表のひとが「猫ちゃんより長生きするのが一番です。頑張ってください」って言ったのね。わたしの性格だったらはぁ?  って思いそうなもんだけど、なんか素直にそのことばを受け入れられた。
ほんとこれこそ賛否あると思うけど、このひとはわたしが置かれた状況から目を背けてないと感じたので、素直に聞けたんだと思う。(頑張らないけど)頑張りますと答えた。

一方、それに先立って行政書士のひととも打合せしたんだけど、そのひとは話のなかで「まだまだご健在でしょうから」とか言った。「ご健在」なわけないんだけど、がん患者をどう扱っていいかわからないから当たり障りのないことを言ってしまったのかなと思う。

要するにがん患者と接するのが怖い、あるいはめんどくさいってひとと、普通に接することができるひとが存在するってことだと思う。

だから個別具体的にがん患者(に限らずだれか)にこういうことを言ってはダメ、ああいうことを言ってはダメというのは意味がない。
かけられたことばへの反応は、相手との関係性、話の文脈、相手の人間性、そのときの受け手の状況、相手のことを受け手がどう思っているか、受け手の性格(によってことばの受け取り方も変わる)等によって同じことばでも意味が変わるから。大嫌いなひとにはなにを言われても腹が立つってことありがちでしょ。
これ、普段の生活でも同じだと思うよ。

ことばそのものの意味なんて、もはやないも同然かもね。

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