40度の熱が出たときのはなし

脳が多次元へ広がるのを感じた。まるで自分が自分で無いかのよう。

記憶のないほど昔に聞いた音楽が大爆音でループし、あぁ。人は生まれてからすべての事を鮮明に記憶しているのだと悟った。普段は奥底に鍵を掛けて、閉じ込めているだけだ

例えば過去を全て覚えているとするならば、人間は未来の事も既に知っているのでは無いだろうか。時間は線ではなく点と点だ、と言ったのはどこの物理学者だろう。世界と自分の境界が曖昧になって行く。

そして、わたしは漂う空気の一部となった。

時間という概念は既に消えた。全てが一瞬であり、また永遠でもあると感じた。