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2022年読んだ百合漫画で良かったやつ5選

ごきげんよう。東大百合愛好会のとむはまです。

今回の記事はタイトル通りです。普段私は1日を振り返るとか1年を振り返るとかやらないのですが、漫画に関してだけは「今年出会った中で良かったと思うもの」を個人的に列挙して何が良かったか考える、という行為をここ数年行っております。これは百合に限ったことではなく、とにかく出会った漫画全てについて考えています。まぁ百合漫画が多いのですが。私は自分が良いと思う百合漫画は結構自信を持って勧められるので、折角ならとアドベントカレンダーにかこつけて今年出会った百合漫画で良かったもの(≃個人的に好きなもの)を5作品紹介しようと思いました。たぶん平均以上には百合漫画を読んでるはずなのでまぁまぁちゃんと選べてるとは思います。早速1作品目から。

1. ほぐして、癒衣さん。 1巻

『海色マーチ』のミナミト先生の新作。ブラックな求人誌制作会社の新入社員の川口夏鈴(通称カワちゃん)とその先輩の宮代癒衣(ゆい)との日常を描く漫画。過労で身体がボロボロなカワちゃんを健康オタクの癒衣さんがマッサージでほぐしてあげる、そして逆にカワちゃんはハグで(!?)冷え性の癒衣さんを温めてあげるというお話。マッサージなので当然身体接触が沢山あります。たぶんみんな好きでしょ。

個人的に好きなのは途中で登場する第三の女、朝霞富美子です。癒衣さんのことが好きな朝霞はハグやらマッサージやらして身体接触をしている2人を見てたびたび脳が壊されます。その負けっぷりと癒衣さんに必死にアピールするところがとても人間らしくて好きです。不器用で人並みに負の感情を持ったりするけどお人よしな朝霞がとても魅力的で……。あと何よりもミナミト先生の絵が大好きです。本当にかわいい。

2. 同級生の推し作家に百合妄想がバレた結果 3巻

推し百合の3巻。最近弊会が出した同人誌に作者の紺先生のインタビュー記事が掲載されているのですが、その取材準備で何回も読んだのでかなり印象深い作品です。3巻単体で良いというより1、2巻積み上げてからの3巻が良い作品。百合オタクが主人公の百合漫画はここ最近何作品か出てきてますが、その中でも本作は特に好きな作品です。個人的に好きなのは、他の女の子と自身のおかれている状況も客観的に見たらかなり百合じゃんと気付く百合好きな主人公だからこその感情が描かれているところです。3巻では、百合好きである自分と他者から向けられる目や自身の偏見への向き合い方についても描かれており、ここまで描いてくれるのか!という嬉しさがあります。

3. 女×女のうまくいかない恋愛エッセイ parlor

藤生先生が百合姫等で連載していたエッセイ漫画。一応1巻らしいのでいずれ2巻が出る模様。漫画家の藤生先生が普段の生活で出会った女性に恋した話を描いています。藤生先生の行動規範や恋・女性に対する考え方が面白くかつ素敵で、読み応えがありました。私は自分から距離の遠い人や自分と異なるルールで動いている人を見るのが大好きなので。1人の人間のあり方とか考え方とかが色濃く出てくるのでエッセイ漫画は好きなんですよね……『レズと七人の彼女たち』も同じように大好きです。ちなみにこの巻で特に好きな回は藤生先生と同居人先生の話です。

4. 彩純ちゃんはレズ風俗に興味があります! 3巻

彩純(あすみ)ちゃんの3巻。3巻というより百合姫で追っているのでそっちの内容になります。タイトルから忌避感を持っている方もいるかもしれないが、彩純ちゃんはかなり面白いのでぜひ読んでほしいです。特に3巻は風俗という場を利用したすれ違い構造がうまく機能していて読みながら思わず膝を打ってしまった。

彩純ちゃんのあらすじを簡単に説明すると、主人公の女子大生彩純ちゃんが子供の頃近所に住んでいたお姉さんを探すためにレズ風俗に通っているというお話です。どういうこと?1、2巻はレズ風俗の嬢をひとりひとり指名していく形で話が進み、彩純ちゃんがどんどん風俗にハマっていく様子が面白いところでした。3巻は一転その構成から大きく外れ、2巻で出てきた新キャラ七桜(ななお)ちゃんの家で彩純ちゃんが住み込みのアルバイトをする話になります。七桜ちゃんは純粋そうで可愛い彩純ちゃんのことが(恋愛的に)気になっており、彩純ちゃんは七桜ちゃんに風俗通いを知られたくないと思っており、2人ともお互いに秘密を抱えた同居生活が始まります。このお互いの抱える秘密が上手く自然なすれ違い構造を生み出します。さらに面白いのが、ラブホテルという閉鎖空間が生み出す秘匿性とそういう場であるために当人に聞きづらいという構造で、これにより七桜ちゃんは彩純ちゃんが女性とホテルに入っていくところを見てしまうのですが、「何がどうなっているのか」を聞けずもっともらしい推測で色々と判断してしまざるを得ない。それがさらなるすれ違いを生んで……と風俗という場をとても上手く使っていて読んでいて非常に面白かったです(自分が風俗という場を使った漫画や創作物に慣れてないだけかもしれませんが)。また、3巻からはみ出てしまうのですが百合姫本誌の3巻の続きの話が非常に面白く……もう皆さん百合姫本誌買いましょう!今たぶんどれも面白いので!

5. デバヤシ・フロム・ユニバース 2巻

最高の漫画。今年読んだ中で一番良かったです。お笑い芸人のシューと宇宙人のキンコが漫才コンビを組むことになった、というお笑いSF百合漫画。BLだと漫才コンビの関係性は割と聞く気がするのですが百合だと少なめな気がします、なんででしょうね。お互いの人生と運命を共にしているとんでもねぇ関係性なのに……。

この漫画の魅力はもう全部です全部。お笑いバカである主人公のシューのイカレ具合でギャグとしても期待を裏切っているどころか漫画のセオリー(というよりお約束)をも上手く裏切っていて漫画としても非常に面白いです。久しぶりに漫画で声出して笑ってしまいました。そういう笑えるような要素も強い一方、漫才コンビという関係性の百合としても最高の展開が2巻では繰り広げられており、そちらも絶品です。特にシューの元相方が出てきたところが……。元相方が向ける感情、特殊で重くて最高。


以上5作品でした。これらは胸を張って紹介できる最高の百合漫画です。一応他にも『蓼食う君も好き好き』とか『欠けた月とドーナッツ』とか『ササエルの中には誰もいない』とか紹介したかったけど時間がなかったのでこれまで。皆さん、来年も百合漫画 読んでいきましょう。

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