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#ミリオンライブ歌詞が百合選手権(非公認の部)LTD編

0. はじめに 

ごきげんよう、しーしーです。
今回のnoteでは、『アイドルマスター ミリオンライブ!』(以下、ミリ)に関する百合の話をします。
とはいえ、コンテンツが大きく、百合が無数に存在していることから、テーマを決めないことには、まとまりがなくなってしまうことが目に見えています。
そこで、今回は、「THE IDOLM@STER LIVE THE@TER DREAMERS」(以下、LTD)のデュオ曲全25曲の歌詞から感じる百合について、いつぞやに流行った「#ミリオンライブ歌詞が天才選手権」をもじって、「 #ミリオンライブ歌詞が百合選手権 (非公認の部)」と題して百合オタの私と、ミリPの方との対談形式で紹介していこうと思います。

※アイドルマスターシリーズの「プロデューサー」は説明が難しいので、知らないという方はググってみてください。誤解を生みかねないので。

1. 前置き

―― ごきげんよう、しーしーです。今回は「#ミリオンライブ歌詞が百合選手権(非公認の部)」を開催するということで、早速ですがミリPの方をお呼びしたいと思います。
のぞ みりっほー! のぞです。選手権の開催、おめでとうございます。そして、お招きありがとうございます。本日はよろしくお願いします。
―― お願いします。さて、本題に入る前にお互いの自己紹介だけやってしまいましょうか。
のぞ そうですね。では、しーしーさんからどうぞ。
―― はい。東京大学百合愛好会3年目の、しーしーです。好きな百合作品を3本あげるとしたら、『マリア様がみてる』、『私の百合はお仕事です!』、『女ともだちと結婚してみた。』です。よろしくお願いします。
のぞ ミリP5年目の、のぞです。担当アイドルは二階堂千鶴、春日未来、ロコで、好きな曲は「君との明日を願うから」、好きなカップリングは「みらしず」(春日未来×最上静香)です。よろしくお願いします。
―― ということで、私はミリの知識を最低限しか持っていないので、のぞさんに主に任せる形、そして、百合の造詣はおそらく私のほうが深いので、そのあたりの深掘りは私が主に行っていくことになると思います。早速始めていきましょう。

※大部分がこじつけです。温かい目で読んでいただけると幸いです(普段からここまで偏った視点で歌詞を読んでいるわけではありません)。
※(ミリシタ)はミリシタに実装済みの曲を、(〇〇×△△)は歌唱メンバー、もしくはカップリングを構成する人物を表しています。

2. LTD02

―― それではLTD01から、といきたいところですが、01は未来、静香、翼の「Dreaming!」と50人の「Welcome!!」ですから、デュオ曲ではありませんね。
のぞ そうですね。どちらもとても良い曲なので語りたいところですが、今回のテーマから逸れてしまうので、また機会があればということで。ちなみに、なぜ今回はLTDのデュオ曲にテーマを絞ったんですか?
―― 本当はミリ全曲の歌詞でやりたかったのですが、300曲を超えていますし、初めは百合がわかりやすいデュオ曲に焦点を当てたいなと思い、LTDに着目しました。
のぞ なるほど。確かにソロ曲や5人のユニット曲なんかだと、なかなか百合を感じづらそうですね。
―― 感じる曲も結構ありそうですが、デュオほどではないでしょうね。さて、そろそろ本題に戻ってLTD02にいきましょうか。

2.1. ハルカナミライ(ミリシタ)

―― まずは「ハルカナミライ」(天海春香×春日未来)ですね。
のぞ ちょうど10月末にミリシタに追加された曲です。個人的に3rd幕張Day2の印象が強くて、アイマス給湯室で山崎はるかさんが話されていましたが、「どのアイドルとアイドルにも当てはまる」歌詞で「仲間がとてもすごくて、その仲間と一緒に歌えるのが楽しいという曲」というのがまさにその通りだなと思いました。その中でこの曲を未来と静香が歌ってくれたのは、「みらしず」のオタクの私としては本当に嬉しいですし、すごく合っているなと感じました。まあ私は初めて周年ライブを見たのが7thな新人PなのでBDを買って見たんですけども。あっ、春香と未来が歌っているのももちろん好きですよ!
―― 1曲目からめちゃくちゃ語りますね(笑)。
のぞ すごく好きな曲なのでつい……すみません。
―― いえいえ、私も歌詞を見ながら聴きましたが、1番のBメロからサビにかけての部分から特に百合を感じました。仲間同士、あなたがいてくれたから頑張ってこれたといった点が良いですね。お互いの存在が原動力になっているというのが私的百合ポイントです。
のぞ 「同じ夢色の君がいるんだ」という箇所も良いですよね。同じところに向かっている2人は百合だと思います。

2.2. 成長Chu→LOVER!!(ミリシタ)

―― 2曲目は「成長Chu→LOVER!!」(七尾百合子×望月杏奈)です。
のぞ 最近フィギュアが発売したり、7th、8thライブでも披露されたりと、人気がある曲ですね。また、歌唱メンバーである「あんゆり」(望月杏奈×七尾百合子)というカップリングも根強い人気があります。
―― 歌詞としては、恋話をする女の子2人という点がやはりポイントになりそうで、それが強く表れているのは「大好きをタイセツを 教えあおう」というところだと思います。秘密を共有する女の子たちってすごく百合なんですよね。そういった点では『捏造トラップ−NTR−』と似ている点があるかもしれません。
のぞ 本当ですか??? まあ、カレシに言えない秘密を共有してる作品だし、あながち間違いではないのか……。なんにせよ、青春や友情から感じられる百合はやはり良いものですね。

2.3. エスケープ

―― 3曲目は「エスケープ」(ジュリア×所恵美)ですね。
のぞ 個人的にトップバッターだった3rd大阪の印象が強くて、とても盛り上がる曲という印象です。歌詞はどうですか? 色々な捉え方がありそうですが。
―― 曲名通り、逃避行百合じゃないですか? 逃避行百合って、最終的に心中に至ってしまったり、その後幸せになる未来が見えなかったりと、暗い印象もあると思うのですが、この曲は明るい逃避行の印象を受けますね。
のぞ 恵美で逃避行といえば、「夜想令嬢 -GRAC&E NOCTURNE-」のエドガーとクリス(それぞれ所恵美、天空橋朋花が演じている)は、百合かどうか諸説ありますが、逃避行していますね。「Everlasting」の歌詞やドラマCDを踏まえて、そちらは私には幸せになる未来は見えませんでした。ミリシタのイベントコミュでは色々ありましたが。
―― なるほど。「エスケープ」と「Everlasting」は、それぞれ「夢のような世界へ」、「安らぎの場所を」と、逃避行の終着点なども似ているように思えますが、実は対照的な歌詞かもしれませんね。曲調の違いもあるかもしれませんが、「エスケープ」は2人とも地に足が付いてない印象が強く、そこが明るさの鍵になっているのかもしれません。
のぞ 「Everlasting」は特にクリスが足付きまくってますからね。……すみません、かなり脱線してしまいました。
―― 百合の話に戻すと、逃避行する上で、「迎えにいく」、「連れ出す」、「きみとなら」といった一方的にも思える感情が良いですね。そこに、「夢」「明日」といった表現が加わることで、明るい関係性を演出しているように思います。これらのどちらかが欠けるだけで、逃避行は一気に重さを増すと私は考えています。前者が欠けているのが前述した「Everlasting」、後者が欠けているのが『マリア様がみてる』の佐藤聖と久保栞といった感じですかね。聖さまたちは未遂ですが。
のぞ なるほど。百合云々を除いても考察しがいがある歌詞かもしれませんね。

2.4. Eternal Spiral

―― LTD02、4曲目は「Eternal Spiral」(高槻やよい×矢吹可奈)です。
のぞ 8thでついに歌詞を理解したアイドルが歌唱したのでは? と話題になっていました。中学生にはどう考えても歌詞が難しいです。というか私もよくわかってません。
―― 私もこの歌詞は咀嚼しきれていませんが、互いを求めあっているのでまあ百合だと思いますよ。
のぞ 軽いですね(笑)。
―― 「堕天の罪」や「赦されないと決まってた」という言葉も登場しますが、近代的な価値観でいえば、同性愛に対する社会の見方だと捉えることもできそうではありますね。現代ではもう残っていないと信じたいですが……。
のぞ まあ14歳の女の子同士の行為と考えると、多少背徳感はありそうですけどね。

2.5. piece of cake

―― さて、LTD02最後は「piece of cake」(北上麗花×北沢志保)です。
のぞ LTD全体に言えることですが、やはりこの曲も3rdライブの印象が強いですね。改めてパフォーマンスを見ると、結構百合を感じました。
―― ほう。確かに、歌詞で性別が明示されていない以上、百合と考えて問題ないでしょう。「他の男の子より 話があう」という箇所の解釈によって百合かどうかが左右されそうです。
のぞ 私は、話が合う女の子だと捉えました。もともと男女関わらず交流していたような女の子。そんな中、友達の中の一人だと思っていたけれど、ふとした瞬間からその女の子が気になるようになり……という流れを想像(妄想)しました。

3. LTD03

―― なんとなくお互いの思考がわかってきたところで、LTD03に移ります。

3.1. アライブファクター(ミリシタ)

―― LTD03最初は「アライブファクター」(如月千早×最上静香)です。
のぞ 蒼いですね。ライブでのどのパフォーマンスもそれぞれ良さがあるとよく言われる曲です。
―― 互いとぶつかり合って高め合っていこうみたいな歌詞ですかね。百合だ。「ハルカナミライ」も「アライブファクター」も先輩と後輩が2人で高め合っていくという点では共通しそうですが、受ける印象が全く違うのが面白いですね。
のぞ 「はるちは」(天海春香×如月千早)と「みらしず」ってことですか!? ところで、「共鳴」って百合ですよね。
―― 固有振動数が一致しているわけですもんね。天性の百合。

3.2. Persona Voice(ミリシタ)

―― 次は「Persona Voice」(二階堂千鶴×萩原雪歩)です。
のぞ 私が初めてプラチナランカーを獲得した曲だ。
―― のぞさん、そういえば千鶴Pでしたね。
のぞ はい。個人的に千鶴さんがよく現れている歌詞だと思っていて、すごく好きな曲です。ミリシタのイベントコミュもすごく良いのでぜひ読んでみてほしいです。
―― 少し確認しましたが、仮面を被ることは悪いことじゃないし、被っている自分も本当の自分だという考え方が良いですね。『私の百合はお仕事です!』で扱っているテーマと近いかもしれません。
のぞ ですね。改めて歌詞の話をすると、「ヴェール」「嘘」「イツワリ」「Persona」といった表現が印象的ですね。
―― 「嘘と百合」、「演劇と百合」ってすごく相性が良いんですよね。松平瞳子……。
のぞ 好きな人に対して自分を閉じ込めてしまう百合、しんどくて良いですよね。その人がそこをこじ開ける光となるもよし、そのまま拗れるもよし。
―― この曲では光となっていますね。光の百合オタクさん、おめでとうございます。

3.3. Cut. Cut. Cut.

―― さて、3曲目は「Cut. Cut. Cut.」(周防桃子×真壁瑞希)です。
のぞ 可愛い曲ですよね。大まかにですが、失恋して髪を切る曲だと私は解釈しています。
―― 「失恋は百合の始まり」とはよく言ったものですが、この曲もそれにあたりそうですね。
のぞ よく言ったものかは知りませんが、確かにラスサビを女の子同士のやりとりだと取るとかなり良い感じになりそうです。
―― あなたが過去に言ってたんですよ!?

 上記は「真夏のダイヤ☆」初公開時のツイート

3.4. Smiling Crescent

―― 気を取り直して、4曲目は「Smiling Crescent」(箱崎星梨花×宮尾美也)です。
のぞ この曲も可愛い曲ですよね。ところで、歌詞中に「王子様」とありますが、百合だと捉えられそうですか?
―― 「王子様=男性」の等式は現代の百合作品ではとっくに崩壊していますし、そこは特に問題ないでしょう。例えば、『雪解けとアガパンサス』という漫画の連載がつい最近スタートしましたが、主人公の日向夏月は「女子校の王子」ですからね。
のぞ 確かに。ミリでも永吉昴の王子役や、真が見せる王子みたいな面がありますし、気にする必要はなかったですね。
―― そういうことです。少し脱線しましたが、王子様が女性だと仮定すると一緒に踊っているので百合だと解釈しても良いと思いますよ。女性同士が踊るのは百合作品における定番の一つなので。
のぞ 結論が普段の美也ばりに緩い。

3.5. Decided

―― LTD03最後の曲は「Decided」(徳川まつり×馬場このみ)です。
のぞ 力強い曲ですね。私的には3rdでのオリメン披露が印象的です。
―― 歌詞からもとても強い百合を感じますね。
のぞ そうなんですよね。個人的にLTDトップクラスの百合ソングだと思っています。
―― 死別は当然百合なんですが、生別も百合なんですよね。長く一緒にいた想い人とのさまざまな思い出、互いへの感情を背負い、覚悟を決めて各々新たな道へと進んでいくという姿、すごく良いですよね。
のぞ はい、すごく良いです。何よりも別れるという事柄に対して前向きなことが良いです。
―― 詳しくはネタバレになるので言いませんが、『ひめちゃんは重い女』といった作品を読みながら聴くと結構良いかもしれません。

4. LTD04

のぞ 何度も聴いた曲でも、こうやって話していると新たな発見があって良いですね。
―― 私も新たな百合の可能性を感じています。それでは、LTD04に行きましょうか。

4.1. 深層マーメイド(ミリシタ)

―― まずは「深層マーメイド」(伊吹翼×我那覇響)です。
のぞ 「ミリシタ感謝祭2019~2020」で披露→ミリシタ実装の流れが特徴的だった曲ですね。歌詞で思い切り「boy friends」って言ってますけど大丈夫ですか?
―― ……大丈夫じゃないですね。とは言え、諦めるのはまだ早いです。水と百合は相性が良いことがよく知られています。有名どころだと『熱帯魚は雪に焦がれる』などですね。
のぞ 女性2人が水中にいる構図は私もよく見ます。そういうことですか?
―― そういうことです。ここで「このまま二人で 夜におぼれて」がそうであると仮定すると、この曲は俄然百合になります。実際にはおそらく男女なので、この仮定は破綻しますが。

4.2. HELLO, YOUR ANGEL♪

―― さて、次は「HELLO, YOUR ANGEL♪」(天空橋朋花×中谷育)です。
のぞ この曲を聴いているとすごく和むんですよね。歌詞通り笑顔になれます。
―― 歌詞としては、女の子2人が主人公でしょうか。

ねえ、そんな風に澄んだ瞳のまま
何度でも語ってみせて 飽きるほど
広がってゆくね キミの感動が ホラ誰かに渡って
ああ 不思議だね ひとつになれちゃうね
あったかくって日だまりみたいなの
そこにいるよ ずっと変わらない しあわせのなかに!

HELLO, YOUR ANGEL♪

という2番のサビがポイントになりそうで、ガチ恋の構図に見えますね。
のぞ 前半だけだと片思いっぽさもありますが、「ひとつになれちゃうね」から両思い感が出ていますね。
―― ここで2番のAメロ、

想像してね たいせつな誰かのコト 瞬間的にハッピネス湧きあがる
今キュンとなったハート…感じるでしょ?
そっと胸をときめかせた気持ち!

ひとつになれちゃうね

を見てみると、「たいせつな誰か」というのは発言者自身のことだと捉えられそうですね。

のぞ 思っていたより強い百合曲だった……。
―― ちなみに、片思いだと仮定すると、「好きな人のことを考えている片思い中の女の子を見て幸せを感じる女の子」という形になってこれもまた強い百合ですね。
のぞ 報われない百合、美味しい〜!

4.3. G♡F(ミリシタ)

―― 3曲目は「G♡F」(秋月律子×篠宮可憐)です。企画もちょうど折り返しですね。
のぞ 一番難易度が高そうな曲が来ましたね。この曲、繰り返し「boy」という単語が登場するんですよね。
―― 全体を見通すと、男女の関係を描いているとしか捉えられません。百合を強引に見出すとしたら、2番のAメロですかね。

隣の子とやけに仲良しね
どうゆうこと?その笑顔 解析不能

G♡F

という歌詞から、女の子から女の子に対する嫉妬という感情を拾い上げることは、不可能ではないと思います。

のぞ 確かに、嫉妬は百合を語る上で外せない感情の一つですからね。
―― はい。とはいえ、これ以上の発展が歌詞中では見られないので、妄想で続きを補完するしかなさそうです。

4.4. little trip around the world(ミリシタ)

―― 4曲目は「little trip around the world」(エミリー スチュアート×水瀬伊織)ですね。
のぞ 買い物と旅行がしたくなる曲です。そもそも歌詞がすごく上手い曲だと認識していますが、百合の面ではどうでしょうか。
―― そうですね、女性2人がスーパーマーケットでショッピングをしているという光景が目に浮かびますし、結構良い感じだと思います。
のぞ 日常の中にある非日常という印象も受け、すごく綺麗ですよね。
―― そうなんですよね。百合との親和性がかなり高いと思います。野球場に行く百合漫画(『野球場でいただきます』など)や、飲食店に行く百合漫画(『すいとーと!』など)はありますが、スーパーマーケットに行く百合漫画は見たことがないですし、次に来る百合漫画の題材かもしれません。
のぞ 大学生百合や社会人百合と相性が良いと思います。これを読んだ漫画家さん、ぜひ。

4.5. Melody in scape

―― LTD04最後は「Melody in scape」(佐竹美奈子×高山紗代子)です。
のぞ ちょっと高山紗代子の歌声の話をしても良いですか?
―― 手短になら良いですよ。
のぞ 高山紗代子の歌声は世界一だと思っているので、これを読んだそこのあなた、高山紗代子の歌を聴いて沼ってください。あと中の人の歌も聴いてください。以上です。
―― ありがとうございました。みなさんもぜひ聴いてみてください。……さて、本題に戻りましょうか。
のぞ はい。この歌詞は……百合じゃないですか?
―― そうですね。これは見出すまでもなく百合です。まずは、歌歌い2人(以下、a、b)が主人公で、aが動けなくなっていた。そこで、1番のBメロの

ココロの孤独ほぐすように 染み込んできたのは
夢をとどける歌でした
において、bが歌でaを救い出すわけですね。そして、2番のサビで、
どこまでも 響かせる わたしだけの思いは
出逢いたい あなたの胸のなか
どんな日も…願っているの

Melody in scape

とあり、1番のサビでは「届くかな? 誰かの胸のなか」だったものが、ここでは「出逢いたい あなたの胸のなか」になっており、aから不特定多数に向けていたものが、bただ一人へのメッセージへと変化していったと捉えてみます。
のぞ ここはaとbを逆にしても成立しそうですね。
―― そうですね。どちらでも取れると思います。そして、ラスサビで「どこまでも 伸びてゆけ わたしたちのメロディ」。これはaとbが一緒に歌っていると解釈するのが自然でしょう。
のぞ bがaを歌で救い出し、aからbに歌を届けようとする。それが届いてaとbが2人で歌う。という流れですか。すごく綺麗な百合ですね。
―― 最近始まった『IDOL×IDOL STORY!』の構造に少し近いかもしれません。アイドルはやはり支え合うものですね。

5. LTD05

―― 企画も半分が過ぎて終わりが見えてきました。あと10曲、引き続き見ていきましょう。

5.1. “Your” HOME TOWN

―― LTD05、まずは「”Your” HOME TOWN」(木下ひなた×双海亜美)ですね。
のぞ この曲、めちゃくちゃ泣き曲なんですよね。上京中の身に歌詞が刺さる刺さる。
―― 地元に残った人たちとその友達を歌った曲だと捉えられますね。遠距離百合って、漫画だとなかなか描きにくい題材だと思うのですが、歌詞でこうして示されるとすごく良さを感じます。
のぞ 遠距離だと2人が一緒にいる描写を視覚的に表現しづらいからとかなんですかね。確かにあまり見ない気がします。
―― 遠距離と聞いて『神絵師JKとOL腐女子』や『おとりよせしまっし!』がパッと頭に浮かんだのですが、どちらも同じ地元出身の百合を描いた作品ではないですし、意外と開拓されていない百合かもしれません。すみません、脱線してしまいました。気を取り直して、歌詞をさらに詳細に見ていくと、

そうだよ、変わらないものがもう一つ
それはね、遠くに離れていたって
どんなときもわたしたちが
ずっとずっと友達ってこと

”Your” HOME TOWN

というCメロがとても強いですね。かけがえのない友情で結ばれた女の子同士、私の好きな百合の一つです。
のぞ 「友達」って、本当に良い百合ですよね。

5.2. fruity love(ミリシタ)

―― 次の曲は「fruity love」(野々原茜×ロコ)です。
のぞ ドヤドヤドヤドヤしたくなるフルーツみたいな曲ですね。
―― そうですね(?) 歌詞としては、甘くて苦い恋の歌のようなので、百合が見込めそうです。
のぞ クラスメイトの女の子への片思いを拗らせた、しかもそれをなかなか認めようとしない女の子の情景が浮かんできました。
―― その解釈、良いですね。2番のAメロの歌詞、

ちょっとだけでも誰かと話してるのを見るだけで
ソワソワしちゃいます 焦ります
ほんの一瞬目が合って 心拍数が急上昇
lemonよりも刺激的すぎるかな

fruity love

の恋を拗らせている感じからは、学校の休み時間の様子が浮かびますし、

キミを思うとハートがざわめく(アレレ?)
キミの心をひとりじめしたい
ひとりじめしたい
…スキ

fruity love

というラスサビから感じる、独占欲とも取れる感情は授業中に抱いてそうで、授業に集中できないくらい感情が大きくなっていると良いなと思います。
のぞ 女の子から女の子への感情は、大きければ大きいほど良いですからね。

5.3. 夜に輝く星座のように

―― LTD05、3曲目は「夜に輝く星座のように」(松田亜利沙×横山奈緒)です。
のぞ 7thでの披露が激アツでした。あと、「なおあり」(横山奈緒×松田亜利沙)が好きなので、この曲も当然好きです。
―― 叶わぬ想いを歌った曲ですね。個人的にですが、男性との恋が叶った女性に対して恋心を抱いている女性という構図が結構好きなのでそうだと嬉しいですね。破局するとなおアツいです。
のぞ 癖が強いですね。気持ちはわかりますが。
―― この歌詞の強いポイントは、ラスサビによく現れている、想い人に対して自分という存在を絶対に忘れさせないように、しかも綺麗な形で遺そうとしている女性の想いだと思っていて、なんならこの女性、この後命を絶ってもおかしくないんじゃないかとまで感じさせられますね。
のぞ 死は救済ってことですか。しんどい百合だ……。
―― もちろん女女女の拗れた三角関係も大好きなのでそちらでも嬉しいですよ。
のぞ それはそう。

5.4. 秘密のメモリーズ

―― 4曲目は「秘密のメモリーズ」(四条貴音×豊川風花)ですね。
のぞ いきなりなんですが、この曲の歌詞、静香視点の「みらしず」と合いすぎません?
―― 本当にいきなりですね。とはいえ、気になるので詳しく聞かせてください。
のぞ 私の勝手な解釈なんですが、未来と静香って二人とも大切なことになるほど伝えるのが苦手なんですよ。普段は翼や星梨花、志保たちが媒介してなんとかなっているという感じだと認識しているのですが、でもお互いに対する想いは人一倍あるわけで、そういった不器用なところが現れているのがまず一点目。
―― なるほど。
のぞ 二点目は、未来が静香を包み込む、支えるというのが「みらしず」の本質で、未来の笑顔に一番救われているのは静香だと私は思っているのですが、それらが綺麗に描かれているように感じるところですね。
―― そう聞くと、藤本由香里氏が言うところの「深紅の薔薇と砂糖菓子」のイメージにかなり近そうですね。いつの世も王道はいいものです。
のぞ あとはラスサビに触れておきたくて、

そんな愛しい君の隣にいつだっていたい
だからもう だからもう離れないでね
だからもう だからもう離れないよ

秘密のメモリーズ

が、未来と静香にぴったりすぎるんですよね。一回離れると普段言えないことも言えてしまうってわけですよ。添い遂げてくれ〜。
―― ありがとうございます。こうして具体例を挙げていただけると、より解像度が上がっていいですね。
のぞ オリメンから完全に逸脱してしまったことをここで謝罪しておきます。すみません。

5.5. たしかな足跡

―― LTD05の最後は「たしかな足跡」(三浦あずさ×百瀬莉緒)ですね。
のぞ とても沁みる曲です。というかLTD05、こうして見るとまだ全然ミリシタに入ってないのか。実装まってま〜〜〜す。
―― さて、歌詞を見ていくと、

ほらベンチでは
あどけない私たちが 夢を語ってるよ
遠い「いつか」の橋を待ちわびながら

たしかな足跡

と、1番のAメロにあるので、完全に幼馴染百合ですね。この時点では高校二年生くらいでしょうか。
のぞ 確かに、大学進学とともに離れ離れになる、そんな予感が2番のBメロ、

時はめぐり
やがて枝を分かれて それぞれの道を
選んでくこと 隣で感じながら

たしかな足跡

から漂っていますね。
―― そうなんですよね。そんな中で、今後離れることがあっても、絆は変わらないし、心は寄り添っていくというのがめちゃくちゃ良いですね。幼馴染百合の真骨頂だと思います。
のぞ 親友という言葉があまりに似合う。

6. LTD06

―― ついに最後のCD、LTD06まで来ましたね。
のぞ あと5曲、「美味しいトコ残さず頂戴」しなきゃ……。

6.1. Understand? Understand!(ミリシタ)

―― というわけで、まずは「Understand? Understand!」(高坂海美×田中琴葉)です。
のぞ ミリシタのイベントコミュが学生百合だったんですよね。歌詞については、「うみことは」(高坂海美×田中琴葉)でそのまま解釈できそうです。
―― なるほど。青春真っ盛りの高校生って感じの歌詞ですし、高校生の青春といえば百合ですから、相性が良さそうですね。
のぞ それは諸説ありそうですけどね。なんにせよ、歌詞としては2番のサビの「世界中でいちばんの景色 見せてくれるでしょ Darling…♪」や、ラスサビの「キミのハートのいちばん大事な「スキ」だけ手渡してよね」、アウトロ前の「Wonderful Time! くちづけて Delicious!」あたりが特に良いですね。飛び込んでほおばって駆け抜けてくちづけるうみことは、お待ちしています。

6.2. ジャングル☆パーティー(ミリシタ)

―― 2曲目は、「ジャングル☆パーティー」(大神環×双海真美)です。
のぞ ぶち上がる曲ですね。7thでコール禁止を味わったPのお気持ち、ご推察申し上げます。
―― 歌詞を見ていても、絶対ライブで盛り上がるタイプの曲ですね。百合かどうかという点に関しては、百合と見なせなくはないんじゃないかなと思います。
のぞ その心は。
―― サビの歌詞、「きみがいなきゃ始まらない」と「きみといれば終わらないよ」から感じる依存です。存在自体が条件になっているのは依存度がかなり高いと思うので、曲調とは対照的に重い百合を味わえそうです。
のぞ 依存と百合の相性の良さは広く知られていますしね。

6.3. Beat the World!!(ミリシタ)

―― LTD06、3曲目は「Beat the World!!!」(菊地真×舞浜歩)です。
のぞ タオルを振りたくなる曲ですね。
―― 歌詞を見ていくと、「未来を生きていく仲間と ここから!」や「手をとれば 怖いものなし」がデュオ感、百合感も出ていて良いですね。
のぞ そうですね。あとは、個人的にCメロの

(届いてる?) 真の強さ
(聞こえる?) 歩みはとめない
(世界は) ひとつになる 未来を生きていく仲間と ここから!

Beat the World!!!

から、真と歩、2人の曲であることが伝わってくるのもポイントだと思います。
―― ともに歩んでいく2人、真の百合ですね。

6.4. Emergence Vibe(ミリシタ)

―― いよいよ残り2曲となりました。次の曲は「Emergence Vibe」(島原エレナ×星井美希)です。
のぞ ここでこの曲ですか。歌詞を読み解こうとすればするほどわからなくなるんですよね。
―― R-18になりかねないので読者の皆様のご想像にお任せしたいところですけどね。
のぞ あと2曲というところでこの展開は予想してなかった。
―― まあ、女の子同士の性行為を描いていると解釈できるので百合だということで、ゆるりと締めましょう。
のぞ 賢明な判断だと思います。

6.5. Dreamscape

―― LTD最後の曲は、「Dreamscape」(永吉昴×福田のり子)です。
のぞ すごく爽やかで、シリーズ最後にふさわしい曲だと思います。
―― 歌詞から感じられる百合も申し分ないですね。「君と」や「二人」という表現が散見されることもあり、爽やかに風を切っていく二人の女性の画が浮かんできます。
のぞ 2人でどこかへ行くという点では「エスケープ」と近いですが、こちらは逃げるのではなく進んでいる印象を受けますね。
―― 2番のAメロにある「眼の前の全部 二人占めしよう」という歌詞が特に印象的で、二人で色々な場所を訪れている様子が伝わってきてすごく好きです。あとは、

ずっとこのまま 二人で行けたら
初めても ときめきも 見つけていける

Dreamscape

という2番のサビもめちゃくちゃ良いですね。
のぞ アウトドア百合の良いところ全部出てる。

7. 後置き

―― というわけで、LTDのデュオ曲25曲全てから、百合を感じることができたと思います。
のぞ かなり怪しかった曲もありましたが、なんとか完走できましたね。
―― 完走できたことが何より良かったです。序盤の注意書きにも書きましたが、あくまでもこじつけ要素が強いので、「そういう捉え方もできたんだ!」くらいのノリで受け取っていただけると幸いです。
のぞ ですね。ミリPには百合に沼ってもらって、百合オタにはミリに沼ってもらいたいという気持ちが常にあるので、これを機にぜひ、それぞれの沼に片足ずつ踏み込んでいただきたいです。
―― ということで、「#ミリオンライブ歌詞が百合選手権(非公認の部)」第一回はこの辺りでお開きにしますか。のぞさん、本日はありがとうございました。
のぞ こちらこそ、ありがとうございました!
―― それでは、ごきげんよう。
のぞ みりおっつー!

※なお、しーしー(@CCutCC)とのぞ(@SeeSea_Nozo)は同一人物であり、実際には対談は実施されておりません。

今回登場した曲を含め、ミリの曲は全て↑で確認できます。

追記:本日11月25日、「アイドルマスター」シリーズのサブスク解禁の動きが本格的にスタートしたため、「アイドルマスター ミリオンライブ!」のサブスクも少し待てば解禁されると思うので、解禁されたらぜひ聴いてみてください! でもドラマパートを聴かないのはもったいないのでやっぱりCDも買いましょう。

サムネ画像はアイドルマスター ミリオンライブ! シアターデイズ『ハルカナミライ』MVより

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