秋山。

EVを研究している日本で唯一の文系院生です(他に知っていたら教えてください)。 地道…

秋山。

EVを研究している日本で唯一の文系院生です(他に知っていたら教えてください)。 地道な活動と博打な研究で脱炭素

マガジン

  • noteでわかる気候変動

    気候変動の研究についてわかりやすく紹介したnoteの詰め合わせです

  • 社会を変えるを科学する?

    社会変革・運動に関わるテーマのnoteの詰め合わせです

最近の記事

「EV政策・補助金まとめ」始めました

私は大学院生として電気自動車(EV)普及を研究する中で、 国・自治体のEV政策について調べるのが大変なこと、 そしてそのことがEV普及を遅らせかねないことを実感しました。 そこで開設したのが「EV政策・補助金まとめ」 EVを購入するか迷っている人 EV充電器を設置するか迷っている人 各都道府県のEV政策について知りたい人 に分かりやすいEV政策情報を発信するためのウェブサイトです。 この記事では、EV政策・補助金まとめについて紹介(宣伝)します! 課題:政策

    • 2024年の抱負は「仲間を作る」

      あけましておめでとうございます。 大変な幕開けとなった2024年ですが、皆様はいかがお過ごしでしょうか。 私は兄がコロナ陽性になったので外に出られず、正月は基本家で過ごしていました。 兄も元気になり、私の気持ち的にようやく新年といった感じになってきたので、(自分を適度に追い込むためにも)今年の抱負について語ります。 研究の仲間を作る 今、私は、社会心理学専攻でありながら(?)、電気自動車の普及や、それを加速させるための政策について研究しています。 具体的には、 「

      • EV普及は地方で進んでいる....のか?

        要約人口あたりでは岐阜のEV普及台数は東京の2倍程度 しかし、東京の車の保有率は低く人口あたりの指標はミスリード 公開データから車保有台数に占めるEVの割合を分析 結果、東京が全国一位、全国平均の2倍 「地域差」よりも補助金の額が県別の違いを生んでいる? EV普及は地方で先行? ガソリンスタンドがない市町村、いわばガソリン過疎地が地方で増えている中、 自宅で充電器を設置して充電すればほぼ完結してしまうEVが、その問題の解決策になるのではないか? 実際に、人口あた

        • 【卒論の振り返り】気候変動政策は未来(予測)を変えることができるか?

          「卒論の振り返り」というより、何を目指しているかの「自己紹介」に近いかもしれません。 気候変動に絶望しないために2022年の上半期は卒論の構想に悩まされてきました。 「気候変動対策に関しての研究」ではなく、「気候変動対策としての研究」を自分が追求したからです。 自分の大学生活は気候変動問題に捧げた面があって、大学1年∼2年にかけては気候変動関連の某社会運動にコアで関わっていたし、それ以降も持続可能な大学に向けた活動に陰で携わっていました。 社会運動に関わるようになった

        「EV政策・補助金まとめ」始めました

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        • noteでわかる気候変動
          9本
        • 社会を変えるを科学する?
          4本

        記事

          気候変動を止めるために必要なのは「切り札」よりも○○

          「気候変動対策の『切り札』はこれだ!」 というようなタイトルの記事はどうもアクセスが伸びやすいらしく、 そのような記事は少し調べただけでかなり出てきます。 本当に気候変動問題を一気に解決に導いてくれるような「切り札」のような新技術があれば、自分は泣いて喜びます。 自分も泣いて喜びたいのですが、 何のために気候変動対策を進めるのか、その目的のためには何が必要かを深堀して考えると、そこまで安易に期待できない現実が見えてきます。 そこで、このnoteでは、 1.気候変

          気候変動を止めるために必要なのは「切り札」よりも○○

          「未来なんて分からない」という大嘘

          「コロナが流行してここまで日常が様変わりするなんて、数年前のあなたは想像していましたか?…未来に何が起こるかなんてわからないんですよ」 なんて言説を目にするたびに、自分は頭の中で 「一応、想像していたんだけどなぁ」 とつぶやいてしまいます。 というのは、中国発の感染症が2020年にパンデミックを起こす、というアマチュアSF小説を2017年に書いていたからです。 もっとも、ウイルスの性質や致命率、それに伴う社会の影響などを正確に当てられたわけではないですが、 「2020

          「未来なんて分からない」という大嘘

          安易な「『安易な脱炭素』批判」にご注意を

          消火と家電保護のバランスが大事?今、目の前で家が燃えているとします。 火の手はどんどん広がっていて、放っておくと家全体が焼け落ちてしまいかねません。 それを何としてでも防ぐため、あなたは大量の水をかけて、消火しようとします。 そのとき、近くで見ていたある人があなたをこう非難するのです。 「家に水をかけるなんてあんたは何を考えているんだ。そんなことをしたらその家の家電が使い物にならなくなるぞ」 「家電がないとどれだけ困るかあなたは分かっていないからそんなことができるんだ

          安易な「『安易な脱炭素』批判」にご注意を

          一人の命を救うには、何トンのCO2削減が必要か—―。新指標が変える気候変動問題の語り方

          その気候変動対策、何人の命を救っていますか? 猛暑、水害、海面上昇、食糧危機――。 どれだけ危機感を抱くは人それぞれでしょうが、気候変動を放置すると様々な悪影響があることはほとんどの人が理解していることです。 そして、それらの悪影響を避けるためには、インフラ強靭化などの気候変動への適応を進めると同時に、温室効果ガスを世界的に削減するしかないということもまた、多くの人が理解しているでしょう。 しかし、個別の気候変動対策がどれだけ意味があることなのか、について実感を抱けて

          一人の命を救うには、何トンのCO2削減が必要か—―。新指標が変える気候変動問題の語り方

          【横浜市民必見】横浜市長候補の気候変動対策まとめ

          8月22日投開票の横浜市長選。 候補者が8人、さらに保守分裂という波乱の展開になっています。 IRやコロナ対応が主要な争点になっていますが、各候補がどんな気候変動対策を取るのか、温室効果ガスをどのように削減しようとしているのか、激甚化する気象災害にどう対処しようとしているかも、実は市民生活にとって重要です。 そこで、このnoteでは、各候補は気候変動対策に関して何を主張しているのかをまとめてみようと思います。 具体的には各候補のHPにアクセスして、気候変動に関わる公約

          【横浜市民必見】横浜市長候補の気候変動対策まとめ

          4年前にコロナ禍を「予言」した自分が当てたことと外したこと

          2020年、中国由来の新興感染症がパンデミックを引き起こした。20%の高い致死率を持ち、しかも感染者を人の多い場所に向かわせる性質があるこの感染症に対し、各国政府は人権侵害を伴う徹底的な対策を取るほかなかった(ただし日本政府は後手に回り、下からの突き上げによって制限に乗り出した)。ワクチンも特効薬も完成せず、根本的な対処法は人工被膜で体表と呼吸器系を覆うことで、物理的にウイルスの侵入を阻止する手術のみ。手術には味覚と嗅覚を失うなどの副作用があったものの、全成人に手術が義務化さ

          4年前にコロナ禍を「予言」した自分が当てたことと外したこと

          気候変動を懸念する人ほど、原発を「支持しない」という研究

          気候変動と原発気候変動の緊急性が叫ばれる中、原発に対してこの国はどう向き合っていくべきなのでしょうか。 2050年の温室効果ガス排出実質ゼロ、2030年の46%(~50%)削減が表明され、国の気候変動対策が強化されていく中で、これはますます重要な問題になっていきます。 原発を使い続けることのメリット・デメリットについては様々な論点から考えることができますが、少なくとも、 1.温室効果ガス削減につながるのは事実 2.ただ、脱炭素社会を作るのに必要不可欠とも言い難い(実際に

          気候変動を懸念する人ほど、原発を「支持しない」という研究

          プラスチックはタダですか?

          レジ袋に次ぐプラスチック有料化へは批判が相次いでいます。確かにプラスチック製品は私たちの日常を便利で快適にしてくれていますが、そもそも疑うべきなのは、実際には有料であるばかりか、環境(=社会)にも負荷をかける製品を、消費者がタダで使えてしまう現状なのではないでしょうか? 炎上した「有料化案」そもそもスプーン・フォークの有料化がなぜ急に話題になっていたか、と言えば、プラスチックの資源循環に関する法律案が閣議決定されたからです この法案は、環境配慮型のプラスチック製品を国が認

          プラスチックはタダですか?

          避けては通れない気候変動と暴力の話

          気温と暴力の関係性は以前から指摘されていた 「なぜあなたは暴力をふるったのか」と聞かれて、「暑かったから」と答える人はまずいないでしょう。 しかし、「気温が高くなると、暴力も増える」という関係性は様々な研究で指摘されています(Anderson, 2001) 例えば、気温が高い地域ほど暴力を伴う犯罪の数が多いという傾向が報告されています(Anderson, 1989)。もちろん、貧困率や失業率、年齢の分布など犯罪率に影響を与える主な要素を統制した上でもその傾向は健在です。

          避けては通れない気候変動と暴力の話

          「グレタ効果」は存在する?研究者による分析結果

          今、世界で最も有名な気候活動家、グレタ・トゥーンベリ。彼女の影響力について心理学者のSabherwalらが分析したところ、彼女をよく知っている人ほど、集団効力感(collective efficacy)や、気候変動対策を求める動きに参加する意思も高くなる傾向が見られました。なお、その傾向は、保守派よりリベラル派に強く表れる一方で、年齢は関係がなく、気候変動対策を求める運動への支持の度合いを統制(考慮)しても見られるなど、グレタの影響力が想像以上に幅広い範囲の人々に及んでいる(

          「グレタ効果」は存在する?研究者による分析結果

          それでも世界は変わるから

          気候変動VS変われない日本ある評価によると、日本は温暖化対策で57国中42番目(五段階評価で下から二番目)だそうです。 国の温暖化対策を評価するうえでの絶対的に正しい基準はないので、基準を変えれば、順位や評価は多少上下するでしょうが、どちらかと言えば気候変動対策で世界を引っ張る立場というよりは世界の足を引っ張る立場であることは認めざるを得ません。 なぜこんなことになってしまったのでしょうか。 色々な理由があると思います。例えば日本に根強い温暖化対策への負のイメージ(負

          それでも世界は変わるから

          人口の3.5%が動けば社会は必ず変わる....……のか?

          人口の3.5%を動員して成功しなかった運動はなかったーーーー。チェノウェスとステファンによって発見されたこの「3.5%ルール」は、急進的な気候運動Extinction Rebellion(略称XR)の戦略に取り入れられたことで一躍有名になりました。しかし、本当に3.5%を動かすことが社会を変える近道なのでしょうか?XRメンバー兼社会運動研究家という異色の肩書を持つマシューズによると、そこには落とし穴があるようです。このnoteでは3.5%ルールの出どころとされる研究を参照しな

          人口の3.5%が動けば社会は必ず変わる....……のか?