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円安に歯止めはかかるのか。

4月29日(2024年)の為替市場では、34年ぶりの円安(1ドル=160円台)を記録した。その後、150円台に戻しているものの、今年に入ってからも特に円高に動く気配はあまり感じられない現状である。本稿では、円安の要因について考えていく。

Q1. なぜ円安が止まらないのか。

A. 円が買われないから。では、なぜ円が買われないのか。

1. 日米の金利差が拡大している点。

  • 米国の名目金利が日本よりも高いことが要因。米国資産で運用した方が、高い金利を得られるため、(円が売られ、)ドル高(円安)が進む。日本はほぼ政策金利がゼロに引っ付いている一方、米国の金利(フェデラル・ファンド・レート)は上昇を続け、24年4月末時点で5%台となっている。足元のインフレ等の影響から今年中の利下げの可能性が低くなっている点も、米国資産に資金を流している要因だろう。

  • 中長期的な視点としては、構造的な要因も関係していると思われる。例えば、高齢化社会である。日本は世界の中でも高齢化が進んでいる国であり、老後に向けて2000万円ほどの貯蓄が必要とも言われている。これは、貯蓄率の増加を促し、金利に低下圧力をかける(マネーサプライの増加)。このような構造的要因も日米金利差が埋まらない要因なのかもしれない。

2. 輸出産業の低迷と海外生産拠点の増加。

  • かつて日本製品は世界市場で優位に立ってたが、現在はグローバル化の激しい競争に晒され、日本企業のプレゼンスは下がってきている(円が買われない)。また、競争力を維持するため、日本企業は価格を下げる必要がある。物価の低下は、購買力平価によって、円安につながる。また、日本企業は海外での生産を増やしており、通貨安による輸出への好影響を弱めている。もし、日本に拠点があれば、通貨安で輸出を増やし、(円が買われ)円高圧力がかかるはずである。

Q2. 中銀による為替介入による円高は見込めるか?

  • 上記の通り、日本の円安はファンダメンタルズにある程度近いと評価することも可能であり、そのような場合に行われた為替介入は中長期で効果がないことが知られている。今後の日米金利差や国内輸出産業の成長が為替の動向へと直結するだろう。


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