小澤征爾さんに見る“真のマエストロ”|マルタ・アルゲリッチに「靴のせいだよ」
1965年にショパン国際ピアノコンクールで優勝して女流ピアニストナンバーワンの人気を誇るマルタ・アルゲリッチ。私は小澤征爾さんが、1982年10月に彼女とラヴェルのピアノ協奏曲をリハーサルする動画を見て「ああ、この人は本当のマエストロなんだな」と思いました。
マエストロとはもともとイタリア語で「達人」を意味します。音楽界においては一般的に「指揮者」を指し、小澤征爾さんも「マエストロ」と呼ばれました。ただ指揮者にとどまらぬ“真のマエストロ”であることは誰もが認めるところでしょう。
私は1997年放送のドラマ『それが答えだ!』(フジテレビ系)を見て「マエストロ」という言葉を初めて知りました。
三上博史演じるマエストロ・鳴瀬望が、成り行きから田舎の中学校で12名のオーケストラ部を教えるというストーリーです。オーケストラ部の中学生役でまだ若かった深田恭子や藤原竜也などが出演していました。
「神が宿った世界的なマエストロ」と言われる鳴瀬望が中学生たちに、楽器の弾き方から「音楽とはオーケストラとは」を独特な方法で教えていくのです。指揮者としてタクトを振る前に、部員を育てるところから人間対人間として関わっていく。それが「マエストロ」なのだと理解しました。
小澤征爾さんの訃報を受けてテレビのニュース番組で小澤さんの半生を振り返っていました。
高校生のときに齋藤秀雄氏の指揮教室に入門したことが大きな転機となります。師事した齋藤秀雄氏が亡くなってからもサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)で、多くの後進たちを育ててきたのです。
私はそんな小澤征爾さんの活動をもっと詳しく知りたいと思いネットで調べました。そのなかでもマルタ・アルゲリッチとリハーサルする光景に“真のマエストロ”を見た思いでした。オーケストラの本番を終えて「彼女は20%速かったね」と評しつつ本人には気遣って「靴のせいだよ」と冗談まじりに指摘するところなど人柄が滲み出ています。
マルタ・アルゲリッチが2019年に来日して、水戸室内管弦楽団第103回定期演奏会に出演したときの記録には「アルゲリッチ(77才)に手を引かれ、小澤征爾(83才)が登場」とあります。
娘・小澤征良さんのメール
小澤征爾さんは2024年2月6日に都内自宅で心不全のため88歳で亡くなりました。
『報道ステーション』(テレビ朝日系)にて小澤征爾さんの娘でエッセイストの小澤征良さんのメールを要約して紹介していました。その一部を抜粋させていただきます。
以下は私がX(旧Twitter)から見つけた、小澤征爾さんを追悼するポストを貼り付けておきます。
レナード・バーンスタイン(指揮者で作曲家、ピアニスト)
イーゴリ・ストラヴィンスキー(指揮者やピアニストとしても活動したロシアの作曲家)
ヘルベルト・フォン・カラヤン(ザルツブルク生まれのオーストリアの指揮者)
ズービン・メータ(インド出身の指揮者)
小澤征爾さん、車いすに乗って最後の指揮
小澤征爾さん、これからは天空で一杯やりながらあなたの作品に感動する世界の人々や後進たちを見守ってください。
画像は『クリエイター セイコ』
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