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自分の代で何もかも欲しがらないこととサッカー日本代表について

白饅頭氏のこの記事と、ワールドカップカタール大会でのサッカー日本代表の躍進、他諸々からところてんのように押し出されたので、この記事を書きたいと思う。

白饅頭氏の記事は、個人主義が花盛りになる事で、「自分の後の世代に花が咲くこと、そのために自分は木でいうところの根や幹になることに現代人は耐えられなくなってしまった」と語っていた。しかし、本日のサッカー日本代表の大躍進は、そんな現代人に「たとえ自分が根や幹になったとしても、後の世代に枝が伸びて葉が茂り、花が咲くこと」の素晴らしさを教えてくれるイベントだったのではなかろうか?

アラフォーのおじさんの昔話をさせてもらうと(私自身はサッカーの競技経験も無く、見るのは代表戦ぐらい、Jリーグの経営とか諸々についてもなんとなくしか知らない勢なので、間違っていてもご容赦を)、今の日本代表は昔から比べると本当に強くなったのである。昔の代表戦の映像を見ると分かるが動きは遅いしパスも切れがない、何よりゴール前で決めきれないのである。今から見てもそうだが、昔見ていたときもそうだったし、「やっとワールドカップに出られるようになったけど、まだまだこんなもんか」感は正直あったのである。
しかし今大会はどうだろうか?ドイツ戦もスペイン戦もゴールを入れるシーンを見ると強豪チームが見せたわずかな隙を確実にものにしている。ゴールまでの選手の動きを見ると、世界一流のチームのゴールシーンと遜色がない。日本代表は世代交代する度に、確実に強くなってきたのである。
そしてこれは自然発生的にそうなったものではなく、確かな戦略と関係者の努力の賜物だそうだ。今回の大躍進は、Jリーグを立ち上げ、上がった利益を若い世代の選手や指導者の育成や欧州リーグへの挑戦に投資し、何世代もかけて確実に積み上げてきた結果なのだそうである。
現代表は決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗れ、悲願のベスト8進出はならなかった。でも、次の日本代表もきっとワールドカップに出られるし、決勝トーナメント進出を争う良い試合をするだろう、そしていつかはもっと上位に進めるだろう、そう思っているファンはたくさんいると思う。

これが、「たとえ自分が根や幹になったとしても、後の世代に枝が伸びて葉が茂り、花が咲くこと」の素晴らしさではなかろうか?

私の目には、今は解説者などとして現代表チームの偉業を讃える往年の名選手達の顔に、一抹の悔しさを見える気がする。それでも少なくとも表ではその悔しさを口にすることはない。男のプライドもあるだろうが、自分の前に先輩がいて、自分は自分なりに精一杯やった、自分の後に後輩が続いて、彼らが自分よりももっと先に行ってくれたから、自分の代で成功できなかったその悔しさは、いくらか軽減される部分もあるのだろう。

このサッカー日本代表にまつわる美しい話は、そもそもの大前提としてサッカーが人気のスポーツで、後の世代がどんどん出てくる、ということにある。下の世代が優秀かどうかはともかく、一人でも多くの次の世代を生み出すことが、裾野を広げて頂上を高くすることの大前提である。後が続かなければ次はないのである

唐突にアニメの話をすると、ガンダムUCも、「人はわかり合えない、不幸は消えないし悲劇もなくならない、それでも、とにかく明日は良くなることを信じて、次の世代に、時代に託すのだ、繋ぐのだ。」という話だった。本当にその通りだと思う。

詳細はもっと詳しい人にお任せするが、正直現代の日本で、結婚して子どもを持つことは非常に難しいと言わざるを得ないだろう。結婚して子どもを持つことは普通のことではなくなった。とはいえとにかく次の世代に繋ぐこと、自分の実子でなくても自分が関係する次の世代、下の世代のためになにか、良かれと思ってなにかをすることは、回り回って自分の主観的な「楽しい」を増やすことに繋がるのではなかろうか?自分もなにかやっていきたいものである。


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