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Alive 2021

ダフト・パンクが解散した。あるいは爆発したと言ったほうが正確かもしれない。

別に物凄く好きだったというわけではないし、Random Access Memoriesなんて1回通しで聴いたか聴いてないかくらいだ。彼らについて語れるほどの知識も、熱量も、横柄さも持ち合わせていない。

それでも何かひとつ文章を寄せたいと思わせるのは、ひとえに、あの14年前のライブの多幸感である。

見よ、この肩車の多さを。それなりの数ライブは行ったけれど、普通こんなに乗らない。そこには肩に乗りたくなる魔法があった。乗られる方もエイヤと持ち上げてしまう。前見えねーよなんて野暮は誰も言わない。そういう種類の、別の宇宙につながっている時空がそこにあった。

最高のライブだった。10本の指に入ると思う。

しかし白状せねばなるまい。

ライブに行く少し前に、そのツアーを録ったアルバムが発売されていた。そして僕は、それを猿のように聴きまくっていた。もう最高すぎたのだ。だから完璧に憶えていた。今でも全部歌える。悲しいことに、僕には全部分かってしまっていた。どこで切り替わるのか、どこであのビートが入ってくるのか、どこでドカンと来るのか。

良くも悪くも、あのライブはそのまんまだった。もうCD流してるんじゃないかってくらい同じだった。あそこに立ってる2人は別に本人じゃなくたっていいんじゃないか、とすら思った。ヘルメットだし、偽物でも誰も分かんないじゃん。爆音に陶酔しながらも、同時に、そういう冷めた自分も感じていた。

だからこそ、あのアンコールは格別だったのだ。

HUMANの文字がデカデカと現れたときの震えを覚えている。僕の知らないやつが始まる。CDに入ってなかったやつが。いよいよ。

そういうわけで、そこに、確かに、ダフト・パンクはいたのだ。偽物ではない、純正のダフト・パンクがそこに。

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