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街の曲線と直線

思えば、いつの間に街から曲線がなくなっていったのだろう。
人が使い勝手の良いように、土地は平らに固められ、道は広げられ。


やんごとなき事情があり、愛媛から自家用車を走らせ、

淡路島と明石を結ぶ橋

淡路島を抜け、500キロを一気に走って愛知県瀬戸市に辿り着いた。

瀬戸といえば、焼き物の街。
もっとも、単に滞在するだけの場所として選んだ場所なので、なんの予備知識もなくたどり着いたのが夜。

明け方目が覚めたので街の散策。
静かな街で、参道を歩いていると、犬の散歩をしている方がおはようございます、と気さくに挨拶をしてとおりすぎていかれた。

参道のお店の看板はどれも錆びていて、傾いているものもある。
街もふるびた簡素な家が多い。
なのに、なんんだか、うらびれた、という感じがしない。
なにかが息づている。朝だからかな、とその時は思った。

参道こそ一直線だけれども、一歩路地に入ると、道はどこもうねうねしてて、あきちも多い。


こんなのに時々出会う


そして、石垣。

これは、焼き物を焼くときの足台だったものを積み重ねてるらしい。
古いのや新しいのやら至る所に。それにしても、ワイルドな積み方!


横断歩道がなぜかだんだん小さくなっていて、なにがあるのかと立派な階段を登ってみたら横断歩道で、
道と道もまっすぐつながっていなくて。あるものをどけずに作ったかんじの街

荒川神社の同じ敷地内には、お稲荷様も祀ってあって、

なにがこの季節にさいてるのだろうと不思議に思って覗いてみると、サザンカ、たぶん。
剪定されていないサザンカって、こんなに妖艶なのね。

思えば、いつからあちこちの街に曲線がなくなっていったのだろう。
見通しよく、平らに整えられた道に慣れてしまった自分の空間認識がここにきてふっと解けていくように思えた。この街。

ここが、瀬戸焼の町であることと、この空間の育て方には相関関係があるのだろうか、きっとあるに違いない。

ここは、藤井聡太くんの地元であるそうで、和菓子屋さんには将棋の形をした最中が置いてあった。

人にとって、合理的で安全で、便利な直線だけれども、
整えられないことで、曲線のその窪みに息づいているものがずっと生きていられる、なんかすごく大事なことに気がつきそうな気がしてきた、思いもよらぬ旅になった。








愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!