看護過程の難しさ
認知症看護認定看護師教育課程の合格通知が届いたあと、すぐに課題が出された。受け持ち患者の看護過程の展開を実践する課題だった。
当時は老健勤務。
2人の入所者さんの了承を得て、看護過程の展開を実施した。
アルツハイマー型認知症に罹患している入所者Aさん、診断はされていないが症状からしてレビー小体型認知症であろう入所者Bさんを受け持った。
入学前なので、認知症の知識はゼロに近い状態だったが、参考書で得た知識をフルに使って観察、アセスメントに明け暮れた。
看護計画の実施、評価、実施…
Aさんは入所当初から、尿意の訴え、夕方から帰宅要求が強くみられていた。
入所後すぐ、尿意を尊重するべく…
老健の排尿ケア加算対象となり、トイレ誘導が毎日実施された。
そうするうちに…
トイレで排泄ができるようになると、次第に帰宅要求や不安、睡眠障害が緩和されていった。しかしながら、気になることがあると、繰り返し訴え続ける、帰宅要求は消え失せずにいた。トイレで排泄ができるようになった頃、施設ケアマネとして家族さんに在宅復帰をもちかけてみた。
なんと、即答で了承が得られた。
あれほど対応に苦慮してた人が自宅へ帰ることができたのだ。
その後、退所後訪問をさせて頂いた。
生き生きとした表情だった。家の中でできる用事はしているとのことだった。
とはいえ、即時記憶障害や見当識障害はあきらかにある。できないことの方が多いかもしれない。
けれども、表情は穏やかで、活気があった。化粧も自分でしていると言う。
Aさんからの学びは大きかった。
認知症の程度も中等度以上だけれども、住み慣れた家で、自分の役割を果たすことができるのだ。これも家族の支援があるからこそだが…
臨床の場では、アセスメントを吹っ飛ばして、看護が実践される。
いざ、言語化しようとすると難儀する。
時々、看護学生のように、目に見えるような看護過程の展開を形にするのも面白いかもしれない。
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