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「障害」はどこにあるのか?誰が解決への一歩を踏み出すのか?

ユニバーサルトレーニングセンター(以下、UTC)は、「フィジカルトレーニング(PT)とITの力で障害者の『不』を解消し、誰もが安心して輝ける社会をつくる」をミッションに掲げ、現在サービス・プロダクト開発をすすめています。

まず「障害者の『不』」と聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか?

もしかすると外出や仕事など、社会生活に関連する「困りごと」は比較的イメージしやすいかもしれません。しかし、朝起きて、トイレに行って、食事をして、歯を磨いて、身支度をする・・・といったような、誰もが毎日自宅で行うこれらのプライベートな動作の中にさえ、誰かの手を借りる必要があったり、とても時間がかかったり大変なことがたくさんあると聞くと、どんな生活をイメージするでしょうか。

昨年、東京で開催されたパラリンピック競技大会で様々な背景や個性を持つパラアスリートたちがそれぞれの強みを最大限に発揮して活躍していたことからもわかるように、ひとことに「障害者」といっても実情は一人ひとり全く違います。

私たちは、これまで行ってきた訪問パーソナルトレーニング事業を通して多くの障害者の方々と関わってきました。
障害、視覚、聴覚、発達、精神、知的、身体障害など様々な障害を持つ方々と出会ってきましたが、そのなかでも特に車椅子ユーザーに向き合う機会が多く、彼ら・彼女らと多くの時間を過ごしてきました。そのため、今回は車椅子利用者が直面している課題にフォーカスしてお話します。

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「障害」はどこにあるのか?

一般的に、障害に対しての考え方には「医学モデル」と「社会モデル」の2つがあります。

「医学モデル」とは、「障害は病気や怪我などによって生じた個人の問題、個人の内部にあるもの」という考え方のことをいいます。一方「社会モデル」では、「障害はただの特徴・個性であり、障害は個人に存在するものではなく、社会や環境に存在するもの」という考え方をします。


ひとつ例を挙げてみましょう。
たとえば、
「足が悪く、段差を越えられない。足に障害があるのでお店に入れない」と考えるならば「医学モデル」の捉え方になりますが、「段差があってお店に入れない。誰もが入れるように考慮した設計になっていないので、段差は障害である」と捉えるのが「社会モデル」ということになります。


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どれだけ社会に浸透しているかはさておき、2000年代初頭は「医学モデル」の考えが主流でしたが、それ以降は「社会モデル」の考え方が主流となってきました。
「障害」「障碍」「障がい」などの記載方法で論争が起こった時期もありましたが、今では障害は個人ではなく外にあり、障害者とは"社会の障害に向き合っている人"であるため、「障害者」という言葉を選択することがより一般的になりました。そのため、本記事でも「障害」という表記をしています。

ここで主張したいのは、「医学モデル」が劣っていて「社会モデル」が優れているなどということではなく、障害者には身体的な課題もあるうえに、社会が解決しなければならない課題も同時に山ほどあるということです。

医療側に属している専門家たちは、その症状の緩和、改善を心から願い、医学的な研究やリハビリの実施に取り組んでいます。一方で、社会のハード面や物理的な問題、制度、文化、情報、心の問題といった側面から、それらの課題を解決するために日々取り組んでいる方々も多くおられ、そういった取り組みはこれからさらに盛んに行われていくことが望まれます。
つまりは医学的な側面、社会的な側面ともに向き合わなければいけない課題が非常に多いのです。

現代において、本当にそれは解決する手段がない問題なのか?

ではここで、冒頭での質問にもう一度戻ってみましょう。

「障害者の『不』」と聞いて、あなたはどんなことを思い浮かべますか?

ここでは一例として、頸髄(けいずい)損傷で日常的に車椅子を使用している方が直面している課題について、先ほど紹介した「医学モデル」「社会モデル」の2つの視点から列挙してみます。

<医学モデルの視点>
立てない、歩けない
一人で身体を起こせない
指がうまく動かせず、物が取れない
感覚の麻痺がある、怪我をしてもわからない
真っ直ぐ座れない
汗をかけない、体温調節が難しい
痙性(けいせい)などで睡眠が阻害されることがある
肺活量が低下している
排尿排便の機能障害がある、トイレに時間がかかる
起立性低血圧が生じる
床ずれ(褥瘡)の危険性がある
浮腫みやすい
<社会モデルの視点>
簡単に着れる服が少ない
階段、段差が多く、移動が制限される
電車に乗る際に駅員のサポートがあるまで数十分待たなければいけないこともある
人混みで動きづらい
エレベーターで待つことが多い
ヘルパーのスケジュールが合わない
緊急時の避難経路が限定される
悪天候での外出が制限される
自分の障害にあった情報がほとんどなく、見つけるまで時間がかかる
自治体からの支援が柔軟にされない
紙の手続きが多く、自治体や医療機関を何往復もしなければならない

これだけ見てもたくさんの課題があることが一目瞭然ですが、それでもここに挙げた項目でさえほんの一部分にしか過ぎず、そのほかにも日常的に困っていること・悩まれていることについて詳しく話をうかがってみると本当にキリがないほどです。

社会面の課題の中には、実は現代のテクノロジーをきちんと活用すればなんてことなく解決できることも多く存在するというのが事実です。

それにも関わらず、実際にそのような社会、環境になっていないのはなぜでしょうか。それは、

・課題を抱える人数の問題
・制度が追いついていない問題
・取り組む人がいない問題
・声を上げる人がいない、または上げる場所が明確ではない問題

など、様々な要因があると考えられます。

もちろんこれらの問題が生じている理由はシンプルではなく、様々な要因が複雑に影響しあって今の現状が構成されていることを考えれば、何かひとつの決定打があればこれらの多くの課題がいっぺんに解決される、などと期待するのは難しいかもしれません。

しかし、私たちはこれまで行ってきた事業を通して、何十人、何百人とこれらの課題に苦しむ人たちと直接関わってきました。私たちの手が届く範囲だけでもそれだけ多くの方が困難を感じているのであれば、実際に苦しんでいる人の数はさらに多いことは明らかです。

そして、私たちは毎日のように目の当たりにしている彼ら・彼女らの悩みをそのまま放っておきたくはありません。

なるべく多くの悩みや課題を解決し、なおかつ精度を高く多くの人に届かせるためには、「事業として成立させること」が必須です。

決して簡単なことではないですが、我々はそこに取り組むために「フィジカルトレーニング(PT)とITの力で障害者の『不』を解消し、誰もが安心して輝ける社会をつくる」というミッションに辿り着きました。

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障害者が日々直面している問題を本気で解決しようと考えると、行政や自治体が何らかの取り組みを行ってくれるのを待つばかりではいけないということを強く実感します。

私たちが挑戦するのは、ユーザーの"リアル"を誰よりも身近に感じ、常に彼らの声を聴き、これまでの前提を根底から覆してしまうほどの大きなインパクトを持ったスピード感のあるアプローチが絶対的に必要だからです。

UTCでは、私たちのビジョンに共感し、力を貸してくれる仲間を募集しています。少しでもUTCの取り組みが気になった方、まずは話を聞いてみたい!という方は、以下のリンクのページ下にあるボタンから「カジュアル面談」にエントリーができます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。




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