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車椅子利用者を取り巻く環境は、もっとよくできる!

過去の記事では、車椅子ユーザーが日々直面している数多くの課題をより大きな視点で解決していくために、まずは課題をグルーピングし、改めて整理するということを紹介してきました。

そして、その中で「長時間座った姿勢で過ごすことにより生じる健康上のリスク」を予防していくことの重要性に特に着目しました。適切な座位姿勢を維持すること、つまり「シーティングの最適化」を最も効果的にサポートすることができれば、多くの人にとって有益な課題解決の糸口になるのではないかと考えたのです。

もちろん、車椅子での生活をサポートするためのサービスや支援は様々な形で、すでに行われています。
ではそこで解決されていること、まだ十分ではないことにはどのようなものがあるかを見ていきましょう。

既存のサービスとその現状

ここでは、車椅子ユーザーにとって理想的なシーティングを行い、よい座位姿勢を維持するために現在行われているサポートやサービスを、①車椅子やクッションなどの補助具、②リハビリやヘルパーなど他者の介入、③本人や家族の日常的な取り組みの3つの視点でまとめてみました。

①車椅子やクッションなどの補助具

理想的なシーティングを実現するにあたり、まずは使用している車椅子やクッションがその人に最も適切なものであることはとても重要です。体格やライフスタイルに合わせた車椅子や座面のクッションを選ぶことになります。

現在多くのメーカーから様々な特徴がある車椅子やクッションが開発製造されていますが、多くのメーカーを比較し、その中から自分にとって最適なものを選ぶのは簡単なことではありません。たとえば除圧性の高いクッションを選ぶと安定性が損なわれるなど、「ちょうどよいクッションがなかなか見つけられない」といった悩みはよく聞かれますが、そのような相談に乗ってくれる人が身近にいないというという方も多いです。

また車椅子の調整に関して、たとえばタイヤの空気圧調整やメンテナンスなどは一人で行うのは困難であるにもかかわらず、メンテナンスを行う機会や場所がなかなかないという現状があります。最初に車椅子を購入した際にセッティングを行いますが、その後メーカーにわざわざ修理や調整を依頼するのは基本的に何か不具合が起こってからのことが多く、事前にメンテナンスをしていただく機会も非常に少ないです。

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②リハビリやヘルパーなど他者の介入

従来、シーティングは診療報酬の「疾患別リハビリテーション料」で算定されていましたが、令和3年度から介護報酬の「リハビリテーション」でも算定対象として認められるようになりました。しかし、実際は決まった単位数のなかでシーティング指導へ優先的に時間を割くことが難しく、十分に実施できていない状況です。シーティングを専門とするスペシャリストも少なく、まだ「適切なシーティング指導」が全ての車椅子ユーザーに行われているとはいえません。

また、ヘルパーによる移乗や座位姿勢を整える介助などの技術も各個人の経験に依存する部分が大きいことや、記録が紙ベースであったり、情報管理のプラットフォームが確立されていないこともあり、本人、ヘルパー、家族、医療機関などそれぞれとのケアの実施状況や利用者に関する情報の共有、シームレスな連携がスムーズに行えていないことも多くあります。

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③本人や家族の日常的な取り組み

車椅子ユーザー本人やその家族は、多くの場合ネット検索で日常の困りごとの解決策を探されることが多いです。しかし、障害の程度、身体機能、症状などは文字通り千差万別、健常者以上に個人差があります。これだけたくさんの情報がSNSや記事などで気軽に発信されている今の世の中になっても、個人の身体の違いが非常に大きいため、「自分にぴったり当てはまる情報」を見つけることは簡単ではありません。

それぞれ個人の身体が今どんな状態か?生活環境はどうか?どうなりたいか?などを考慮し選択する必要があるため、自分には適切でない情報やサービスを参考にしてしまい、残念ながら思っていたような効果が得られなかった・・・ということも大いにあるでしょう。

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車椅子利用者の生活を網羅的にサポートするサービスや支援がない

そこで、既存のサービスや介入が何をどのようにカバーできているかをまとめたものが以下の表です。

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©️ユニバーサルトレーニングセンター

このように整理すると、どのサービス提供者もカバーしているのはユーザーの課題の一部分のみであるということがわかります。そのため、1日の生活を通して直面する様々な課題に対して、それぞれ全く別のサービス提供者を一からひとつずつ探す必要があります。これはユーザーにとってはとても負担が大きいことです。また医療機関や業者の利用は、普段の買い物のようにいつでも必要な時に気軽に手に入るわけではなく、利用するのにある一定の条件を満たす必要があったり、機会が限定されているという問題もあります。

・ユーザーが、感覚がなくても自分の座位姿勢を客観的に把握し、自分で修正(=セルフシーティング)できるようになれば、生活はどう変わるだろうか。
一人ひとりに合わせたシーティング指導/サポートを実現するには?
シーティングなどの情報を家族、介助者、医療者と簡単に共有できればユーザーが自分で毎回状況を一から説明する手間が省けるのではないか。
車椅子ユーザーに特化したデータをプラットフォーム化し、活用しやすい情報にできれば多くの人に役立つのではないか?
既存のサービス全体を効率化し、より有効にするには?

もし上記のように車椅子ユーザーの1日を通して必要となるサービスや支援を1か所に集約するシステムやサービスがあれば、きっとより多くの人の生活をよくすることができるのではないかと我々は考えました。

私たちがこれまで一人ひとりの顔を見ながら、大切に行ってきたパーソナルトレーニング事業を通して得られた知見や経験と、現代のテクノロジーをかけあわせることで、これらを実現することができる。そこから「ノルミル」のサービスを着想し、設計・開発が始まりました。

UTCは、「人を診ること」「人の生活をよくすること」を専門とするヘルスケアプロバイダーの集団です。これまでに関わってきた困っている人々の声を実際に聞き、我々自身も現状のままではスムーズにいかないことを体験した思いを形にしたのが「ノルミル」のサービスです。

現在、当社はシステム開発やUI/UXのスペシャリストを求人募集をしています。ユーザー接点の多い障害者の専門家に加え、開発のスペシャリストの力が加わることで、ユーザーの皆様の声をすぐに反映した開発をすすめていき、障害者にとって真に使いやすいサービスを目指しています。

現在、私たちのビジョンに共感し、力を貸してくれる仲間を募集しています。少しでもUTCの取り組みが気になった方、まずは話を聞いてみたい!という方は、以下のリンクのページ下にあるボタンから「カジュアル面談」にエントリーができます。ぜひ、お気軽にお問い合わせください。


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