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忘れていた人

温泉に行ってサウナに入って油断していた時に、突然声をかけられた。

久しぶりー!
と。
もう誰かもなかなか思い出せなくて、かなり頭の中で急いで昔を振り返る。
あーっとなって、思い出せたので、
本当によかった。

その人と関わっていたのはもう10年以上前。
一番上の息子が小学生の時だ。
私はまだとても若くて、初めての子育てで、いろんなことに必死だった。
若すぎるからダメなのだと思われたくなかったから。

ある時、息子が友達に誘われて、野球部に入ることになった。

父親もとても野球が好きなので、かなり喜んで、ひくに弾けない状態だったのかもしれない。

何にも知らない私は、当時そこいて輪になっている親たちの中に入って、仲良くしないといけない!
とただ思っていた。

嫌われないように、うまく付き合わないといけない。としか思えなかった。

どうにかして好かれて話の中に入らないと、いいお母さんではないと真剣に思っていた。

なのでこちらから寄って行って、ご機嫌を伺うようなことばかりしていたようにおもう。

誰かの悪口を言っていて、それが誰かわからなくても、話を合わせたり、いきたくもない飲み会やランチに誘われても
たのしそー!行く行くー!と言っていたり。

今の私からみると、よー頑張ったと、肩を叩いてあげたい。

野球の当番になると、親が一日中そこにいて、監督にお茶を入れたり、おしぼりを渡したり、なんだろうあの、おもてなしは、要らないなと今では思うが、やらないといけなかった。

休みの日は息子の友達がたくさん泊まりに来たり、釣りに連れて行ったり、赤ちゃんを抱えて、とにかく、いいお母さんを目指したりしていた。

そんな中にいたので、当然いろんなトラブルや揉め事が多く、中学生女子のような悪口や無視や妬み、ヒガミなどがはびこっていて、しょっちゅう電話や、直接尋ねてきてそれを聞かされたこともあった。

その時の人だ。
 
いつからか息子が野球を辞める前から、その空気に私は耐えられなくなり、少しずつみんなに近寄るのをやめるようになって、自然とそのまんま誰とも話すことはなくなった。

下の子供もまだ小さく手がかかる上に、人の悪口や妬みなどを聞かされているのが、辛くなっていたからだ。

そんなことに時間を使ってまで、嫌われたくない、仲間はずれは怖いと思っていたのは自分。
思い切ってそれをやめてすごく楽になった。

あの頃は、一言発した言葉も、
あぁー、言わなきゃよかったかなぁ?
嫌な気したかなぁ?大丈夫かなあ?と後から不安で仕方なくなったり、とにかく弱い私だった。

3人の子供それぞれに各場所にいる親たちや先生がいて、それをずーっとやっていると、全部にそんなことしてたら心がもたなかったと思う。

二人目からママ友付き合いをスパッとやめて、
とても楽になった。
やるべきことはもちろんやるけども、それ以上に接する必要はない。

嫌なものは嫌、好きな人と付き合う、嘘や媚びを使わない。人の機嫌を取らない。

そこに徹底するようになって、付き合う人も、友達も、自分も変われた気がする。

その人に久しぶりに会って、全く何も感じず、強くなった自分が、少し大人になったじゃんと、思い出させてくれる時間だった。

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