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【詩】ひらいた心

下を見ながらひたすら歩く

目の前にあるのは灰色のコンクリート

水たまりは昨日の雨のもの

雨はあがったというのに心は雨模様

涙がこぼれないように

しかめっつらの顔で

心の痛みをやり過ごす

吠える犬はどこの犬

ふっと顔をあげると

目の前に花びら一枚おりてきた

掴もうとしたけどつかめない

掴んだ横をはらはらと落ちて地面を染めていく

握ったこぶしをひらいたら

目の前にもう一枚おりてきた

今度もすぐ横を落ちていくかな

そう思ったら袖の中に入り込んだ

薄紅色のおちゃめさん

このまま連れて帰ってしまおうか

そっと取り出したおちゃめさん

吹いた風に乗せるようにそっとはなす

きっとどこかの地面を薄紅色に染めるのだろう

灰色の心がとけていく

顔をあげると満開の

春の女神が笑ってる

美しい時は一瞬で

あっという間に逃げ去って行く

舞い上がる花びらに包まれる

今この時だけは

私の心

春模様





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