マガジンのカバー画像

詩集 ガール

16
過去に書いたものを整理中です。 だいたい20代までの詩。
運営しているクリエイター

記事一覧

モノクロワルツ

ぼやけた 曇り空

木枯らし踊るベランダ

眼鏡くもらすコーヒーの湯気

秋の終わり 灯油のにおい

寒い廊下

冷たい爪先で踊るワルツ

ストーブ 火を灯す前にふわり

モノクロワルツ
#詩

アストロノウト

宇宙食 アイスクリーム。

ブラックホールに 愛の炎。

こんぺいとうをばらまいて

星を作りに行くミッション。

ロケットに乗って

空の上の上。

君が笑ってくれるなら。

ひまわり病

ひまわり病で

上ばっかり見てる君は

あたしが大切に育てた

小さい芽をけとばした。

船に乗って

船に乗って、遠い海へ

眠りながら 旅をしよう。

船に乗って、汽笛を聞いて

誰もいない町に手を振ろう。

にぎやかな国の小さな部屋で

静かに暮らせたらいい。

君との日々を夢見て

眠りながら、暮らせたら。

光と私

私の影。

私の存在。

光と私。

地下鉄の蛾

地下鉄の蛾は

とても自由で

とても不自由で

あたしみたい。

人生は美しい。

雨が降るように、

陽が照らすように、

人生は美しい。

過ぎ去った記憶で

私たちは笑って言う。

夜になると

傍にいるひとは

もっと近くに来て

遠くにいるひとは

もっともっと離れて行く

一本道

ここからは一本道だよ。

ひとりで歩いていけるよね。

ここからは君の道だよ。

誰もいないよ。

ひとりで歩いていけるよね。

こどもかぜシロップ

大人になったら

何もかも

思い通りになるなら、

成人の日のお祝いに

こどもかぜシロップ

一気飲みしていいですか?

錦鯉

あたしは飾り。
お金持ちの彼の自慢。

あたしはきれいな緋と白。
もう長くはない彼の楽しみ。

あたしは今日も大きな池で泳ぎ、
彼は今日も車椅子からあたしにごはんをくれる。

あたしはいつも優雅。
彼はいつも温厚。

目も合ったことないけど、
あたしと彼は
親友。

くちぶえ

ひゅるひゅる

へたなくちぶえふいて

あるく

いつか 笑って

うしろふりかえる

日まで

ポラロイド

白い枠に閉じこめられた

しかくいちいさな空の破片

移りゆく青は

インクの色には

なれないね。

プラネタリウム

明るい太陽の下に

重たい雲の下に

嵐の夜の下に

あたしのための

にせものの星空を。

嘘でいいの。

信じさせてくれるなら

あたしをその空に

飛ばして。