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詩集 あいうえお

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タイトルあいうえお順に詩を作っていきます。
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2023年10月の記事一覧

午後の日差しにきらきらと

揺れて、

PM12:00のまま動かないラジカセ

毛布から裸足の爪先

閉じ込められていると、感じていた

たった5年の人生に。

辺鄙なところ

昔々

あなたのおばあさんの

そのまたおばあさんが住んでいた

おおかみのいる森のむこう

今はもうおおかみもいない

小さな生き物のかさこそ動く音だけが聞こえる

そんなところ

私はそこにいる

だれにも気に留められない

小さな生き物の一つに

なって

森のひとかけらに

なって

身体の重さと軽さを

一辺に手放して