私はメンヘラなのかもしれない。

いつも以上に病んでいたのだと思う。

大変に酔っ払った。普段1人で飲むときは宅飲みしかしないのだけれど、何を思ったのか飲み屋に入ってしまった。最寄り駅で帰りに通る道にある小さな立ち飲み屋。その日はたまたま前店長がお店に立っていて、常連のお客さんが店員として手伝いに入っているイレギュラー日だったらしい。私以外は常連ばかりだったけれど気さくな人ばかりで、お酒が入っているのもあって人見知りの私も馴染むのにそう時間はかからなかった。

20時前から飲みはじめて2杯のビールと濃い目のジャスミンハイを記憶がある範囲では4杯だけれど絶対にそれ以上飲んでいる。後半の記憶がない。記憶が戻ったのはその日お手伝いで働いていた店員さんの家の玄関で泣いていたところから。どういう経緯だかは全くわからないけれど彼の家に連れ込まれたらしい。連れ込まれたと言ってもきっと嫌がってないだろうけれど。

今まで自分の容姿に自信があるように書いてきたけれど、実際そうでもなくて。自信があるのは胸の大きさくらいなものだ。特に顔はコンプレックスでしかない。

38歳理容師。物腰が柔らかくて人当たりがいい。病んでメンヘラ化した私の面倒を見るくらいだから根が優しいのだと思う。

記憶が戻った時、私は「私は可愛くない!ブスなの!」と泣いていた。彼は私の顔を可愛いと言うけれど、ちっとも私には響いていなかった。酔っ払う前は「可愛いな!」「知ってる♡」と返していたのに。

どうせ嘘。可愛いって言えば抱けると思ってる。

今までの男は皆そうだったし私もそれで抱かれていたのだけれど、何故かそんなことを言ってしまった。多分好きな人との距離感で悩んでいるからだと思う。好きなのに好きと言えなくなってしまったこの距離感に、さほど私に興味がなさそうな彼に、もやもやしているのが酔っ払ったことによって表に出てしまったのだと思う。

玄関先で缶チューハイを飲まされたのは覚えている。そこからの記憶は飛び飛び。次の記憶はもう抱かれていた。酔っ払った頭でも"やっぱり"と何故か冷静だった。

多分3回セックスをした。正直セックスは上手くなかった気がする。ただ、38歳で結構な量のお酒を飲んでいるのに3回もできるのは元気だと思った。更に彼はほぼ眠らずに仕事に行った。私は彼がシャワーを浴びている間に深い眠りについた。

起きた時には私のスマホの上に合鍵が置いてあった。

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