んあ

ごはんが炊けると炊飯器から音楽が流れる。

その前の一瞬、空白の時間がある。

あ、炊ける。と感じる、あの間がすきだ。

あ、ではなく、んあ。

あの声を発する前のひとつ前の音。

一呼吸つくあのかんじ。

大きな声を出す前には大きく息を吸う。

あの感覚。

それまでぶくぶくぶくぶくと、がんばってご飯を炊いてきて最後の声を発する前のあの音。

何かを成す前は人間も炊飯器も、あの時間が必要みたいだ。

そしてその時間ほど美しいものはない。

1時間かかっても、急速で36分で炊いても、同じご飯はご飯だが、やっぱり遠回りしてきた分だけご飯は美味しくなる。

きっと人間も一緒だ。

頑張ってきただけ、ご飯がおいしく感じるように人間はできている。

そしてお腹もすく。

朝からなにも食べていない。

僕も炊飯器もいきている。

んあ。

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