あたらしい豆電球

あたらしい豆電球

最近の記事

じぶんはとくべつ

あなたは神様に愛されている神様のこどもですって、うちのアパートに来た女が言った。 だから言ってやったわ。 神様のこどもなのに、わたしは完璧ではありません。 神様はなぜわたしを完璧につくってくれなかったのかしら。 目は小さいし、おでこがひろい 緊張すると声が震えるし、強く言われたら言い返せない。 人の嫌なところばかり、浮いて見えてくるわ。 それ以上にそんな自分が嫌いでたまらない。 こんな世界に生まれてしまいたくなかった。 だから、そろそろいなくなろうと思っていたのよ。

    • うんち

      雨がしとしと降る日曜日の夜。 お互いのきもち、向き合えなくて さわやかな風を感じた月曜の朝。 時間がないからとため込んで、我慢した。 君の気持ちが今は苦しい ここにいたいと、きみは 未来が見えないと、ぼくが 木曜日、きみの好きなやきいもを、帰り道。 喜ぶきみの声が、部屋をあたたかくする。 実は、皮ごと食べるのが通なのよと 穏やかな夜、きみとかたらい。 朝、何も言わずに出て行った、きみ 傷つけてきゅうくつな気持ちにさせて。 申し訳なさと、軽くなったきもち きみを思え

      • 通勤電車の窓から

         狭い、薄い壁の騒がしいアパートから少しだけ広くて、静かな部屋に引っ越した。日当たりのよいその部屋で、急いで購入した丈の短いカーテンを眺める。夏のうだるような暑さも和らぎ、少し寂しさを感じる風が心地よい。  あの日は、仕事のことで頭を悩ませていた。 快速に乗り遅れ、各駅停車で帰路につきながら、美容系広告のまるで見えない注意書きを眺める。明日の仕事は、明日考えよう。  次の駅に停車したところで、人身事故による緊急停止を知らせるアナウンスが流れる。なんだよ、美容広告の注意書き