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新たな試み

このところバロックフルートばかり作ったり吹いたり目にしているので、普通のフルートの歌口穴が異常に大きく感じて違和感がある。吹こうとするとなんだか空洞のようで空虚に見えてくる。慣れてくると「やっぱり吹き易い」と感じて以前の感覚が戻ってくるのだが、それでもなんとなく面白みを感じなくなっている。

以前は

楽器は自分の思い通りにコントロールできること

すなわち吹き易いことが最善と考えていた。勿論その考えを覆す気はないのだが、それとは違うものがあっても良いような気がしてきた。

とりあえず現状で見た目に違和感のないような、バロックフルートに近い歌口の頭部管を作ってみることにした。まずは形状による差がよりはっきりと分かるように、銀で作ることに。

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初めはバロックフルートと同じサイズの穴で試してみたものの、ピッチと吹奏感を試しながら少しずつ大きめにしていった。ほぼ妥当なところで仕上げると、かなり個性的な頭部管になった。バロックフルートのように音量が出ないかと思いきや、それほどでもなく音の傾向もかなり違うものであった。敢えて例えるならばオールドフレンチの楽器に似ているのかもしれない。少々息音の雑音が気になるのと高音域のコントロールが難しく感じるのだが、低音域の反応がとても良い。倍音の多い音からぼかしたような音色の変化へとかなり多彩な色づけができる。

これに気を良くして次に木管で作ってみることにした。

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まずは画像上の薩摩黄楊製。銀管でピッチが下がることを確認していたのである程度考慮して作ったのだが、それでもまだ低かった。一旦接続管を外して切り詰められるところに手を入れて短くし、更に少しだけ穴も広げた。

銀製とは異なるものの、全体に歯切れよく反応の良い音で面白い。早速設計し直して次のワイルドオリーブ製頭部管も作った。

私自身は最近バロックフルートを吹いているせいでさほど違和感を感じないのだが、通常のフルートしか吹いたことがない人にとっては非常に吹きにくいと感じられるかもしれない。

今まで木製頭部管を製作するにあたっては、材質が木というだけで吹奏感は金属と変わらないことを念頭に置いてきたのだが、途中何度か揺れ動くことがあった。

バロックフルートを吹くようになり新たな面白さを発見した今、方向転換をしてみようかと思う。とにかく自分が面白いと思うものを作ることが一番楽しいし、何よりも今までの穴の形がどうにも奇異に見えてしまうのだから仕方ない。

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とは言え、独りよがりではどうしようもないので、何らかの形で他者の評価を得られるようにしなければならないのだが、どのようにしたら良いか・・

木管の録音動画を載せておきます。


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