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春日大社に、杉本博司を見に行く。

特に信仰心があるわけではないのだけれど、月初めの行事としてここ数年、近くの神社への朔日参りは欠かさない。伊勢神宮と出雲大社の式年遷宮も見に行った。その程度には、神道文化に関心を寄せている。

まだ春浅い2月下旬、下記の展覧会を見るために、春日大社を訪れた。奈良には幼少時から繰り返し行っているのだが、萬葉植物園や飛火野の記憶は呼び起こせるのに、本殿は思い出せない。もしかして初めての参詣だったかもしれない。

この展示に興味を持ったきっかけは、たまたま目にした《春日神鹿像》の画像。室町時代に鋳造されたという、とても愛らしい銅製の鹿の背に須田悦弘による蓮華座が置かれ、その上に杉本博司による光学ガラスの『海景五輪塔』が安置されている。

春日大社には、こうした神の使いとしての鹿の彫像や、「春日曼荼羅」と呼ばれる独特の古美術品が伝わっているのだ。

また、今回春日 に行ってみて、改めて知ったのが鹿島神宮との関係。春日の祭神は、鹿島から飛んできたそうな。鹿島は、768年創建とされる春日より古いわけ。

 調べると、鹿島神宮は神武天皇元年(紀元前660年ということになっている)の創建という。鹿島の由緒がそれほど古いとは知らなかった。でも、なぜ鹿島? 

 古事記の神武天皇のくだりに両者の祭神であるタケミカヅチは登場するけれど、鹿島の「か」の字も出てこない。

 ひとつ思い出すのは、故・磯崎新氏の講演で聴いた「日本列島神話的構造線」。国譲り神話でタケミカヅチが天降った出雲と、鹿島はほぼ同じ北緯にある。出雲から真東に線を引いて、海へと突き抜けるところに位置するのが鹿島なのだ。

 東にあって、延喜式では伊勢と並んで神宮と称された鹿島神宮と香取神宮。茨城ではいまちょうど、その由緒を探る展覧会も開かれているところなのだが。さて、ちょっと遠いなあ。


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