配信で見た科白劇「刀剣乱舞」
新型コロナウイルス感染拡大の真っただ中、やらずにはいられない舞台が少しずつお客さんを入れて再開しだして、劇場に行けない私は置いていかれた気持ちになった。
でもまあ、それでもこの状況下で、どんな形で舞台を再開させたのかを、一度この目で見ておく必要があるな、と思ったので、観ることにした。(まあ、単純に興味があった)
それを見てから、円盤を買うかどうかを決めようと思ったのもある。
買ってから、最初から円盤にお金を突っ込んだ方がよかったかなあ……とおも思ったんだけど、配信買っちゃったからな……
とりあえず見た感想をざっくりと。
(※あくまで主観で物事を書いているので、気になる方は読まないでください)
1.配信のよかったところと、よくなかったところ
これはコロナ関係なく、元々からそうだと思うんだけど。
【よかったところ】
・好きな時間に見れる
・何回も見れる
・途中で止めれる
仕事で遅く帰ってきても見れるし、一定の期間であれば何回も見れる。
途中で「あれなんて言ったっけ?」って思ったら、戻して見れるし。
生理現象でどうしても席を外せば止めればいい。
この辺りは、本当にいい所だなあ……と思います。
【よくなかったところ】
・集中できない。
・そのために休みがとりづらい
私は割と何でも物を持っている方なので、「chromecast」なるものを使いテレビで見てたけど、小さい画面だと見づらくて大変だろうな……と思ったんですが。
テレビで見ても、周りの物が目に入るから「あっ、あれしなきゃ……」とか「片付けなきゃなあ……」と余計なことを思い出してしまって、集中ができない。
生活スペースなので、日常がどうしても観劇タイムに入り込んできてしまうんですよね。
まあ、これは途中で部屋の電気を落として対応した。
そして知る。
映画館とか劇場が暗いのってある程度意味のあることなんだな、と。
画面が見づらいから……という理由ではなかったのだろうな……と、新たな発見をしました。
そして、個人的にはこっちが一番、ネックだったんですけど、「わざわざ休みとらないよね……」とはなりますよね。
いつでもどこでも見れちゃうから、それなら仕事終わってからでもいいんじゃないか? とはなるよね……なるよね……?
まあ、推しじゃないから取らなかったのかもしれないけど。
2.見てていろいろ思ったこと
これはなんか、コロナ下だから思ったからと、そうじゃなくても思ったことと2種類あると思うんだけど。
① 「科白劇」という形態について
今回、ソーシャルディスタンスを保ちながら舞台をするという試みを行っていて、「講談師」の方を置いて、あまり役者同士が接しない舞台を作り上げてくださったんだけど。
個人的には「面白かった」と思います。
中身が面白かったというよりは「こうなったかー!」というびっくりが強い面白さで。
感情としては「双騎」を見た後に近かった。
講談と舞台はこうやって融合するんだなあ……という感想が大きかったです。
ただ、どうせならこれ、きっちり準備された舞台でみたかった。
なんか、双騎とか練りに練って作られた感じがすごくあって、その中で最大限の物を出してくれて、(賛否は別れたけど)すごく質のいいものを見せてくれたと思っていて。
でも、今回は、状況が状況だから、戸惑いとかももちろんあっただろうし、何よりも最初から、「新しいことを楽しもう!」って気持ちで作った舞台ではないと思うので、「この人たちならもっとうまくできたはず!」って感情が残る舞台になってしまった。(これは私の先入観もあるかもしれない)
最初から「挑戦作だよ!」って言われていたら、もうちょっと準備ができて、「やりきった」感が出てたのかもしれないな……と思います。
でもね! でもね! 面白かったんだよ。
刀剣男子が戦っているところを、講談でぐわーって盛り上げていくところなんてすごくよかったと思うんだけど、結果としてその語調のテンポでがーっと盛り上がっていくから飲み込まれちゃってたのは、ちょっともったいなかったんだよな……
舞台「刀剣乱舞」(以下ステ)の殺陣には、ステ独特の間があると思っていて、私はそれが好きだったんだけど、その間が講談の間になってたのが、ちょっとだけ不満かなあ……。
あれは講談師さんがすごかったのか、もうちょっと稽古と本番できたら、よくなっていくものなのか……。
わかんないけど、あんだけすげえキャストしかいないから、もっと出来たと思うんだよな! もっと!(強欲)
ちなみに、友達には着物が少なかったのと、小さい剣が多かったからじゃないかって言われて、なるほどそれは一理あるかも……とは思いました。
その視点はなかった。
なんにせよ、この形態は面白いので、いつか落ち着いたら、もう一回、やってほしいな。
ステ月単騎とかで。
でもこれって、無声映画の上映時した時にお話してくれてた人がいたのに近い形なのかしら? と思ったりもするから、まるっきり新しいものでもないけど、こういう形で出してくるのは、演出家ってすごいなって思いました。
後、今回、距離を取らなければならないので、相手のいない殺陣だったんだけど、相手がいなくても、すっごい迫力あった! かっこいい!! こういうやり方ってあったんだ、と思いました。
ここは全然、遜色なかったなあ……と思いました。
② キャストさんについて
(偉そうなことを言えたギリではないので、ただの感想だと思って読み飛ばしてください)
今回、新しいキャストさんが何人かいて。
個人的には、佐野真白くんのにっかりさんと、伊崎龍次郎くんの獅子王と、星元裕月くんの地蔵がどうなってるのかがものすごく楽しみでした。
まずは、真白くん。
男の人になってる。
というか、声、荒木さんに似てない……? 似せてる?? 元々????
だめだなあ……私、真白くんが「亜久津先輩~~~!」って言ってる時からあんまり彼の情報をアップデートできてなくて(お酒を飲める年齢を超えたことだけは知っている)。
去年、テニミュ運動会に来てくれた時も、ものすごく高い声で頑張って話してくれてたので、あんまり声変わりしなかったんだなあ……ってのんきに思ってたんだけど、これが地声だったとしたら、あの時、かなり無理していたってことなのでは? とちょっと申し訳なくなってしまった……(全然関係ない話)
なんにせよ、なんだか来夢くんの鶴丸がまた別方向の鶴丸でかわいかったのと同じように、少しイメージの違うにっかりが来るのだと思っていたのだけれど、合わせてきたことにびっくりした。
声に色気があるのに、ビジュアルが真白くんなので、お姉さまの脳内は混乱しっぱなしだったよ! すげえ。
仕草からにじみ出る色気って、まだちょっと勝てないところはあるけれど、その年齢でここまで出来たらすごいと思う。
ちなみに、真白くんのヴィジュアルに違和感を覚えるバグは、終わるまでには修正されていたので、完ぺきに君の勝ちである。脱帽。
次、龍次郎くん。
なんと判断したらいいんだろう。
「明るく前向き(ちょっとおばか)」以外のこの子の演技をあんまり見たことないんだなあ……と見てから思った(エーステだけちょっと違うのか……)
いい意味でイメージ通りだった。
笑うと太陽みたいだし、暗くて重い感じはしないし。
でもなんか、その分、物語の比重が獅子王にはなくて(今回は地蔵とか歌仙が重たかったよね)、あんまり印象に残らなかったよね、というのが感想。
でも、この構成だったらそれが正解だったんだろうな……と思う。
最後、星元裕月さん。
私、この子、生で演技をしているところを見たことはないんですけど、トークイベントで知って。
見た目の素敵さで「うっ」ってなって。
ブログ見に行ったら、キャラづくりをメイクから拘っていて、「素敵な子だなあ……」と思って見てたので、今回、ステに出ることがわかって、観れるのをめちゃくちゃ楽しみにしてた!!
残念ながら、生では見れなかったんですが……
声を聞いて、「あんまり声も聞いたことなかったんだな……」と思いました。
あれ? 思ったより低い……? いや、キャラによって変えてくれているから、そんなこと気づきもしなかったのかな……?
他の人も言っていたのだけれど、見た目からかわいい「きゃるきゃる系」の役をやっていることが多かったイメージがあって、こういう重たい暗い感じの役をやってくれてよかったなあ……と思いました。
迫力がすごい……
もっと生で見たら、すごかったんだろうな……と思ってて、惜しい……めちゃくちゃ惜しい……
何を一番、観たかったと言うと、私は裕月くんの地蔵が一番見たかったです……
それと、七海さんオスカルはお着物姿でも立ち居振る舞いがお美しく、かっこよく、存分にオスカルだったんですけど、観てて「なるほど納得」でした。
ただのオスカルだった……
このお方と視線が合うとか地獄ですね。配信でよかった(ぇ)
③ 避けては通れないマウスシールド問題
そもそもにして。
感染症を習ってきたものとして思うんですけど。
あれ、効果あるんです?
N95にしろ、サージカルにしろ、感染症予防に効果があるのは肌に隙間なく密着していることが絶対条件、だと教わってきたんですけど。
あれ、横ががら空きじゃないですか? 確かに前には飛ばないと思うんだけど(前にしてもあの高さですべて防ぎきれるのか? という疑問を感じてるんだけど)、横の人は大丈夫なのか? とか、いろいろ考えてしまう。
演劇界に限らず、いろんなところで、マウスシールドが使われ始めているわけですが、実際、どの程度効果があるのか? ってところはどっかで検証してほしいなあ……と思ってしまう。
効果がないものをわざわざお金を出して使っているのだとしたら、それは無駄な投資だし、もったいないよな……とかいろいろ考えてしまって本当にダメでした(これは本当に私の職業意識のせい)
いい機会だから、効果があるのかないのかをきちんと検証してくれるところ、どこかにないかなあ……。
つか、国がマスクに対する基準をきちんと作らないといけないんだよな……
アメリカはマスク対する基準はあるけど、日本にはなくて、日本では雑貨扱いなんだよね。ダメすぎる。
余計な話が長くなった。
要は、あれに見た目を犠牲にしてまで使う必要があったものなのか? 特にステはそれがなくともソーシャルディスタンスを保っていたのに、という疑問がぐるぐるした。
後、あれ周りが白いのとか、曇っちゃうのとかどうにかならないかなあ……というのが2つ目かな。
どうしても曇っちゃうと存在感が増しちゃうので、眼鏡は曇り止めを塗ると全然、曇らなくなるけど、そういうことをしてもあれだけ曇るのかな……? とか考えてしまったのだけれど、そういうところはこれからどんどん道具が進歩してくる話なんだろうな……と思いました。
3.まとめ
今回の公演は、主催(マベ?)、演出家、キャスト、すべてひっくるめて「挑戦」の舞台なんだなと思いました。
この状況下で、如何に安全に舞台をやるか、ということを考えて作り上げてくださったことが、本当にすごく大変だったと思うし、ありがたいと思いました。
本当に、公演期間中から心が休まる暇がなかったと思うから、スタッフさんも、キャストさんも、今はちょっとだけ、ゆっくり休んでもらいたいな、と思います。
今回やったことが、どうだったのか、の評価はまずはこれから14日後だし(潜伏期間が14日だしね)
もっと厳密な評価はされるかされないのかわからないけど、年単位で先になるかもしれない。
それでも人は歩き続けることを止めてはいけないんだ、とちょっと思いました。
どうか、どうか、板の上で演じる、演じさせることだけに集中できる世の中が戻って来るといいな、と切に願います。
今やれる精一杯に、この新しい「挑戦」に、立ち会うことができたことは本当によかったと思っています。
お疲れ様でした。
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