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観劇において理解しあえないこともある

 つかこうへい先生の舞台を見た。

 それは、知ってたけど、知らなかった文化との邂逅であった。









 ちょうど半年くらい前に。

「お前はいったい、どんな舞台が好きなんだ?」

 と聞かれたことがあった。

 割と節操のないオタクなので。

 推しが出ている舞台も見るし。

 推しがいなくても、箱推しをし始めるし。

 推しが出ているからと言って、微塵も面白いと感じられない舞台を萌えの為に複数回見たこともあった(虚無になるよね)

 それでも、キャストに釣られて見に行った舞台で、「これいい!」ってなって、軽率に多ステしたりするから(多ステという日本語を最近覚えた)(使いだけだ)、この趣味やめられないなあ……って思ったりもする。

 で、本題に返る。









「お前は何が好きなんだ?」









 なんでしょうね……

 って悩んだ時の答えが

「とりあえず、今は刀ステです」

 だったんですよ。

 ちょうどその頃、ラッキーパンチでまさかのローチケで悲伝の刀ステに当たるという僥倖で。

 見たらハイパー素晴らしいバドエンで。

 元々、

 バドエン大好き。バドエンおいしいよ(ハッピーエンドもおいしいよ!)
 メリバとか超大好き!

 の人間なので、あれはなかなかのドラッグであった。

「救いがなさ過ぎて死にたい……」

 とのた打ち回るところまでが、セットである。

 最高の娯楽。


 という訳で、そう答えたら





「つかこうへいを見ろ」





 と言われた。









「ほー」
 名前だけ知ってたけど、触れたことなかった演劇。
 なんなら、今、「東京都北区」民なので、めちゃくちゃ馴染みのある名前。

 そして、たまたま本田礼生さんの舞台に「売春捜査官」が含まれていた。










 しかたがない。”これは運命だ”と腹をくくるしかなかった。

 覚悟を決めてチケットを取った。(それでもギリギリの譲渡であった)

 という訳で行ってきたのだけれど(ようやく本題……)。









 いや、本当、頭がパンクしそうになった。

 それはまさに衝撃だった。








 とんでもない早口で繰り出されるセリフ。
「下ネタ」という概念を吹き飛ばすのセリフのオンパレード……
 本田礼生が女性物のパンティを被ったときには、一瞬、気が遠くなった……

 いや、ええんやで……ええんや……

 芸術には、いろんな表現があっていいし、下ネタだろうがなんだろうが、ガンガン盛り込めばいい。

 それが演劇だよ!!!!

 それが表現だよ!!!!

 否定しないし、否定できるほどえらくもない。








 でも、それを私が好むか好まないかは別だ←


 好きなキャストが出ているからって、すべてに対して「yes」って答えなければならない理屈はない。


 というわけで、遠慮なく言おう。


 無理!!!!


 でもね、でもね。
 この早口のアグレッシヴな舞台が許されるのなら、ヒロステを観劇した役者がめっちゃ賛美してたのは、正解だったんだなあ……って虚無になった。
(個人的にはヒロステのハイライト舞台っぷりが本当に受け入れられなかった……)




 あらすじ知ってる話だったら全然いいんだけど、そうじゃなくてあの怒濤のように繰り出される「セリフ」という名の「情報」量はまぢできつい……

 私の耳と脳の処理能力の限界を試されているようだった……



 でもなあ……

 若いハングリーな俳優が、「この舞台をやりたい!!」って気持ちはわかるんですよね……

 それぐらい魅力的な演目であることはよくわかった。

 めっちゃうがった言い方をすると。

「僕は見た目だけじゃない。下ネタもできる! 歌わなくても演技ができる!」

 ってアピールしたい俳優さんは特に!

 いや、別にそれを「やりたい」という俳優さんをdisってるわけではなくて!!

 単純にそういう人を惹きつけてやまない作品なんだろうなあ……

 という感想。


 つまり


 見て面白いのと、演じて面白いのは別なんだろうな……


 というのが、正直な感想であった。



 そして、私は演劇の神様に呪詛を吐く。



 とにかくもう、雑食オタクである私が、飲み込めない演劇があることが本当に悔しくて、悲しい。






 そして。






 楽しいんだよ。





 人生は、理解できないことがあるから楽しいんだ。






 いつか、私はこの舞台を「嗜める」ようになりたい。





 役者の熱を理解できるような私でいたい。





 さて、人生の宿題が一つ増えた。





 これだから人生(=趣味=観劇)はやめられないね。





 

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