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皮肉を込めて「ありがとう」

私はよく冬の始まりから冬の終わりにかけて恋をしていた。冬は人肌恋しくなるとはよく言ったもので、私はまんまと冬に当てられていた。
今思えばどうでもよかった気がするような男の人に恋をして、痛いほど振り回され、涙に抱きしめられていた。

だからか今みたいな冬の匂いを連れた夜を見つけると、彼らの記憶が蘇ってしまって何とも言えないような切なさを感じる。
きっとそれがなくても冬に向かう夜は寂しく切ないのだけど、過去のいらない記憶がより一層私を弱くさせる。

きっと私は人一倍人の温もりを欲していて、愛を求めている。それは得することもあるけれど、損することの方が断然多い。
やだなぁなんて思う。

私がnoteに手を伸ばす時、大抵私の好きな夜で少し皮肉だななんて思ったり。

先日、どこにも書けないし誰かに言うべきでもないことで頭を悩ませてしまった。それをどうしても吐き出したくて手元にあったノートにペンを走らせてみた。書き終わる頃には心は落ち着いてぐっすり寝ることが出来た。

文字というのは本当に便利だ。目に見える形で心を表すことが出来る。それと同時に心を整理することも出来る。文字がある世界に生まれてよかったと心の底から思った。

だから私はこの時期の切ない夜を文字にしようと思ったのだ。
もう思い出したくもないあの頃の私と誰か。
振り回され傷ついた記憶にいちいち浸って切なくなりたくない。「切ない」という感情をその記憶に使いたくないのだ。
文字に起こせば少しは楽になるかなと期待をしてしまっているけれど、きっと間違っていない。

今、私が全力で想いを寄せている恋人とは夏前に出会った。よく思い出す夏は今まで以上に輝いているし、これからの季節も彼のおかげでどんどん彩って輝きを増すだろう。

過去より未来を。
過去より今を。

彼のおかげでそう思えた。
そういう面では過去の彼らには感謝かな。

皮肉を込めて「ありがとう」。

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