[ネタバレなし]映画「窓ぎわのトットちゃん」を母と見に行った発達障害女の感想
登場人物
自分:診断済みASD(自閉スペクトラム障害)+主治医いわく「ちょっとADHD」(ちょっとって何!?)
母:わが子(自分)を発達障害者だとわからないまま育てた偉人
見に行きました。結論から言うと、内容はたいへん面白かったです。
全体的にクオリティが高く、笑わせるところは笑わせて、泣かせるところはウルッときて、メッセージ性がありつつ、子供でも大人でも楽しめる、万人に勧められる映画でした。ただし、見ている時(特に前半)わたしの胃はたいへん痛くなりました。
「トットちゃん、よく生き延びてこれたな……」
トットちゃんはとにかく多動で落ち着きがない子で、おそらく現代だとADHDと診断されてもおかしくないレベルだと思います。あまりにもリアルなので、制作側も意図的に作ったものなんじゃないでしょうか? 何せ、トットちゃんの奇行のひとつひとつが子供のときのわたしにそっくりすぎる。あまりにも。
なので、「ひぃ~ごめんなさいごめんなさい」とひたすら思いながら鑑賞を耐えるという、健常者とは違ったレアな視聴体験をしました。で、「トットちゃんが子供のころの自分と似てて辛かった」という感想を一緒に見た母に話したら、
母「わたしもつらかったわよ」
私「なにが?」
母「子供のとき、あんたをこう育てたらよかったんじゃないかって」
え?
え?
ゑ?
無理じゃない??????????????????
確かにトットちゃんは、周りのやさしい大人たちによって育てられて、自己肯定感を育んだ描写がありましたが、それは理想であって、現実でこれを母一人がやるのは無理じゃない?????
すぐ車道から飛び出して車に轢かれそうになったり、スライムをランドセルに入れて教科書のすべてをスライムまみれにしたり、学校の門から飛び降りて制服のスカートをずたずたにして帰ってきた子供を叱り飛ばさないほうが無理があるんじゃない??????(すべて実話)
子供のころの記憶はいろいろあるのですが、その中で忘れられない記憶がひとつあります。
中学生のとき、クラスでいじめられて不登校になりそうになったとき、母はこう言ったんですよね。
「絶対に学校に行きなさい」
結局わたしは不登校になりませんでした。当時、わたしは母をものすごく恨んだ記憶があるのですが、今なら母の焦りとやさしさが、痛いほどわかるんですよね。
トットちゃんにはトモエ学園のやさしい環境があったかもしれませんが、現実で同じ場所を見つけるのは難しい。泣きながら学校に行った経験があるからこそ、今もこうして生きているんじゃないか、という気がするんです。
もちろん、子供に対してさまざまな選択肢があると思います。何が正解というのもないと思います。
結論:発達障害者の人生に正解なんてなくない!?
実家へ帰っていく母の背中を見送りながら、そんなことを思いました。
お母さん、激ヤバなわたしを育ててくれてほんとうにありがとう。絶対に長生きします。