夜の地獄の門

昨日の高御座と御帳台の拝観に、国立西洋美術館に立ち寄った。
金曜日と土曜日は20時閉館。
閉館間近のその敷地には、人陰もほとんどなく、地獄の門が浮かび上がる。

目の前にして立つと、私には開けられるのだろうかと思うほど重そうだ。

ダンテの「神曲」死後に登場する地獄の門は、作者のロダンの死後に鋳造され、静岡県立美術館にもあるそうで世界に七つある。
雨に濡れて暗い中、下からの灯りの中に立つ姿は、重厚さを増して見える。

「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」

希望を捨てても苦痛は残るのだろうか?
希望ゆえに苦しみは増すものだと思えて、捨てられないように「捨てよ」と刻まれているようにも思える。
天国の門と言われるものがフィレンツェにあるそうだ。
地獄にも天国にも「入り口」があるんだなとふと考えて、生きていれば気づかずに地獄にも天国にもいるのに死んだらシステマチックなんだななんて思った。


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