窓越しの世界 2020.11月第2週
「畑をやるならケール畑だな。」
八百屋で安売りしていた立派なケールをサラダにしながらそんなことを考えていた。
最近、ケール独特の苦味と歯ごたえが気に入っていて見つけると買うことにしているのだが、他の葉物と比べて少し値が張る。
ベランダの家庭菜園を眺めても、ここでは無理そう。
初夏に考えていた田舎暮らしとは当分縁がなさそうだし、畑をやるなんてことはあり得ないはずなのに、ケール畑をやりたいなんて思うのは、美味しいというのは前提で、やっぱりケールの値段が高いからだろう。
微生物の本を読み終えて、野菜を多く摂るようになった。やっぱり食物繊維は大事らしい。ここに来て、いきなり野菜の摂取量が増えたもんだから、僕の腸内に住む微生物たちはさぞ驚いていることだろう。
「喜んでいるかな?」
きっとそんな感情はないのだろうけど、そんな風に彼らのことを思ったりするようになった。
僕は、僕のために食べるんだけど、僕の栄養になる前に小さな生命の餌になり、彼らの役割が僕の摂取するものに大きく関わる。
全てでは無いにせよ、僕は僕の中に住む別の生物に生きることを助けてもらっているのだ。
話は変わるけれど、読書の秋だ。2冊の本を同時進行で読んでいた。
方や、知能やAIの話。
方や、腸内の話。
これが見事にリンクして、生物と知能に関するリアルと近未来が真理でつながっているという実感があった。正直、専門的なことへの理解はほとんどできていないだろう。
ただ、視野は広がった。
それを知ったからって、僕の生活は特に変わらないんだけど、何かが大きく変わって、僕は宇宙の一部なんだと少しだけ実感できた気がする。
誰もがこの瞬間、自然に行なっている全てが、
そうだな、神業なのだ。
そんな実感が、確かにある。
たった一つの掛け違いで、何もかも変わってしまうような、危うくて、自然な調和が目の前に広がっていて、今は、生きている物を見るだけで関心してしまうほどだ。
本を閉じてしまえば、その感覚も薄れていくだろうことは想像できるから、そのことを見越して、また新しい本を手に取ろうと思う。
秋が深まって、今年は銀杏をたくさん拾った。数えたら、775個だった。
11/6【この場所が好きなのは】
11/7【トトとだけは】
11/8【まだ、そのくらい】
11/9【包容力に満ちたそれ】
11/10【ただそれだけでいいんだ】
11/11【制限の設定力】
11/12【確実を寄せ集めた曖昧なもの】
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