マタニティマーク
駅で前に歩いている女性が、
マタニティマークを付けている。
あのマークを見るたびに、思い出す
いろんなこと
きっと、マタニティマークを付けてる人、
今とっても幸せなんだろうなと思う。
きっと、妊娠が発覚した時、
誰かには「おめでとう」って言われたんだろうなと思う。
きっと、お腹摩って、
大事に大事にしているんだろうなと思う。
だって、マーク付けてる殆どの人が、
スニーカーを履いてる、
両手が空くようにリュックを背負ってる、
会社員の働く時間に、外を歩いている。
全部、お腹の子のためなんだろうな。
あの時自分には、マタニティマークが眩しかった。
自分にはそれを付ける資格は無かったから、
電車ではもちろん誰にも席を譲ってもらえず、
満員電車で何度も吐きかけて、
途中下車した見知らぬ駅のトイレに籠る生活。
「いいな。マタニティマーク付けてるあの人は、みんなから大事にされてるんだろな。」
自分の身体だけはどんどん辛くなるだけで、
おめでたいことでも何でもない。
不安と恐怖の気持ちだけが募る。
「いいな。お腹摩って、摩られたいな。」
そんなことを思いながら、お腹殴ってた。夜な夜な泣きながら、お腹殴ってた。なんで自分は幸せじゃないんやろ。
辛い、辛すぎた。
あのマークを見ると、
本当に辛かったあの約3週間を思い出す。
自分が悪い、全部自分が悪い。
ごめんなさい。あの小さな命を無駄にしてしまったこと、今でも、、。ごめんなさいしか出て来ない。
でも、あの時、あの決断をできてよかった。
だって、あの時一緒にいた人とは、
「一生一緒」を約束できなかったし、
したくなくなってたし、
一緒に子どもを育てることは絶対絶対できなかったし。
あの時、その時の幸せだけをとって、無責任にあのマークを付けてたら、きっと今泣いてる。
あのマークをもらう人は、
その時もその後もずっとずっと幸せが続くだろうって
確信できた人だけ。
自分にもその日が来た時は、どれだけ嬉しいだろうな。
その日を楽しみにできるようになってて、良かった
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