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兎がほざく 番外 南方熊楠とデリダ

南方熊楠は親友で高野山の高僧の土宜法龍につぎのような不思議な話を書き送っています。

「胎蔵大日」の「大日滅心」により「金剛大日」の「心」が生じる。
それにより「力」が生じ「物」「事」が生じる。
そして「名」が生じ、心に「印」が生じる。
「心」「物」「事」「名」の四つの要素が様々に組み合わされる(「四マンダラ」)。

哲学者デリダの著作を読んで、その謎解きが少しできた気がしています。

デリダの考えを自分なりに表現すると、世界においてすき間、穴のようなものが生じ、それが個々人の生で、それは自らを維持しようと運動を続けます。
現在の現象は心のデータベースにある記憶の痕跡を参照してはじめて認識できます。

「大日」(「胎蔵大日」)を世界、「心」(「金剛大日」)を個々人と置き換えてみます。
すき間、穴の発生、それが「大日滅心」で、それで生まれるのが個々人である「心」です。
生を維持する運動が「力」です。
データベースにある痕跡が「名」です。
「物」「事」と「名」とを照らし合わせて「心」に生じる認識が「印」です。

南方の独特の用語を解きほぐすとデリダさらに空海と通じていることがわかります。

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