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短歌集

202
和語だけで旧仮名遣いの和歌と、和語以外も入り現代仮名遣いの短歌との両方を収録しています。
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2021年2月の記事一覧

短歌  風もふさはし

短歌  風もふさはし

梅の短歌ができました。

 咲き初むる
   白梅がもと
     かぐはしき
   風もふさはし
     歌おもふ人

短歌  夕星歌ふ

短歌  夕星歌ふ

極北に
  夕星歌ふ
    早熟の
  君の綴りし
    むくろの言葉

短歌  梅の香りのする傷

短歌  梅の香りのする傷

春浅き梅の香りのする傷よ
大人にならぬ君の悲しみ

短歌  あくがれて

短歌  あくがれて

春の晴れた昼に短歌ができました。

 春昼の
   眠りの深き
     蠟梅に
   夢とうつつと
     境はありや 

 春風に
   溶くる心の
     あくがれて
   何色に染む
     君が枕辺

短歌 肌なほ寒し十六の春

短歌 肌なほ寒し十六の春

早咲きの河津桜が私の街に咲きました。

 咲き初めし
   河津桜や
     薄紅の
   肌なほ寒し
     十六の春

短歌  梅は独りで愛しむ花

短歌  梅は独りで愛しむ花

都会の片隅の小さな公園でできた短歌です。

 寒風が似合ってるのさこの春も
 梅は独りで愛しむ花

短歌  水仙の毒

短歌  水仙の毒

愛しては傷ついてきたこの心 
半端で効かぬ水仙の毒

短歌  陰の血脈

短歌  陰の血脈

 春の宵
   独り祭の
     声もれて
   さがは隠さず
     陰の血脈

短歌  染めながら

短歌  染めながら

白妙の
  君の純愛
    染めながら
  今や隠さず
    赤き誘惑

短歌  紫煙の奥の青き退廃

短歌  紫煙の奥の青き退廃

誠実な堕落というものは確かにあり得ます。

朽ちてゆく
  命の定め
    生真面目な 
  紫煙の奥の
    青き退廃