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ハーフエベレスティング

チャレンジするきっかけ

ロードバイクに乗って、ついに1年半が過ぎた。
これまで、ビワイチから始まり、しまなみ海道、アワイチ、富士ヒル、高野山、金剛山、ヒルリピート、大台ケ原、200㎞越えのライドなど、様々な挑戦をしてきました。
Twitterをみてるとふと目に留まったエベレスティングという文字。
今まで、行者還から大台ケ原往復の獲得標高2600mほどが最高記録なので、8849mは無理だろうなぁ・・・と思った。
次に目に留まったのが、ハーフエベレスティングという文字。
ハーフってことは半分・・・これなら・・・
いやキツイだろ、と思ったけど、そもそもチャレンジなんだからできることをやっても仕方ない。
できるかどうかわからないからチャレンジというのではないか。
だから挑戦することにした。

前準備

まずは、繰り返し上るところの選定です。
わたしが選択したのは、実家の近所にある滝畑ダムの堤防の下の上り坂
700mほどで勾配7~8%、1回で64mほどの標高を獲得できる坂です。
回数にして70本・・・
そして補給食を準備

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これとは別に、コンビニおにぎりを4つ用意しました。
そして前日、起きたら出発しようとウエアなどをもろもろ準備して就寝します。

起床~出発

起きたのが3:50
日焼け止めだけは施して補給食はサコッシュに入れて出発します。
いつも通る道を走りますが、いつものような速度では走りません。
できるだけ脚を使わず、疲れないように走ります。
4:30出発、途中コンビニでおにぎりを4つ買います。
これも脂質の少ないものを選ぶ、赤飯2とわかめごはん2。
エメラルドマウンテン(ホット)を飲んでカフェインを入れます。

始まり

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さっむ!!!暗っ!!こっわ!!!
で、持ってきた補給食たちは邪魔になるのでサコッシュごとバス停の近くの木に括り付けます(笑
まずは一本登ってみる。
登って4分半、下りが1分ほど
つまり、1往復5分半、70本単純計算で6時間25分で終わる計算です。
休憩もするのでもっと時間はかかりますが・・・
ってことでループします。

まずは10本

信号も何もないので、まずは10本ノンストップで登りっては下りを繰り返します。
こういうチャレンジをするときは、脚を使っちゃダメなんです。
坂を登るにしてもパワーを抑えて、焦らず一番疲れない速度で登ることに集中します。
そうこうしてるうちに日が昇って明るくなってきました。

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10本登って、このコースはどこらへんがきつい勾配でここはアウト走る方がいいとかをざっくり把握。

精神的苦痛の緩和

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あと60本!とか思ってたら先が長すぎて心が折れるので、5本ずつ登ることにした。
5本ごとに小さなゴールを設定することで、メンタルを保つ作戦です。
さらに10本ごとに補給を摂ることにする。
ここからひたすら登る。下る。登る。下る。登る。

ルーティーンが確立されてくる

登り切って、下るときにギア2段アップする。
登り始めてギアを1段ダウンする、このカーブでもう1段ダウンする。
みたいなルーティーンが確立されているのに気付く。

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秋めいていて、きれいだったので写真を撮る。(この時はまだ余裕があった。
ここから、このヒルリピートの壮絶さを思い知る。

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ここまで5本ごとの休憩で無理なく登っている、と思っていた。
ところが37本目、向かい風に襲われる。
そのせいか脚が鉛のように重くなった。
そして、小雨・・・おい、やめてくれよ!空を睨んだw
幸いにも雨はひどくはならなかった。
確実に疲労感は増している。
ここまで5本ずつ登っていたのが急に辛くなる。

葛藤

5本に1回の休憩の時間が長くなってきた。
あと、25本。。。
ただ、休憩してると寒くて体が冷える。
休憩の間にも脚のストレッチをしながら、背中、肩甲骨を動かすように心がける。
もう写真を撮る余裕はない、ひたすら登りきることを考える。
そして登る、あと20本、15本。。。
獲得標高が3776mに達したとき、わたしの中の邪心が
「もう富士チャレンジでいいんじゃないか・・」とささやいた。
つまり富士山の標高に達したことで、当初のエベハーフというチャレンジを富士チャレにすり替えようとした。
いいや!!もうあと少しやん!と邪念を払いのけた。

自分との闘い

ここからはもうスマホを見る余裕もなくなってきた。
のこり10本。
ここまで様々な小さなゴールがあった。
回数もしかり、獲得標高が3000、4000mとなったとき小さなゴールに歓喜してきた。
自販機で買った普段は飲まないような甘ったるいあったかいココアを飲んだ。クッソ美味かった。
最後のおにぎりとカロリーメイトを食べ、5本登る。
おや・・・?調子がいいぞ
ゴールが見えたからなのか何なのか、軽快に5本を終える。

ラスト5本

準備してきた補給食はすべてなくなった。
ラスト5本、しっかりやるぞ!
そしてあと2本、事件は起こる。
終わりが見えて、無意識にペースが上がったのか、裏モモを攣る。
うわやっべ、声が出たw
でも反対側の脚でペダルを回してなんとか凌ぎ、ラスト一本は帰る準備をして、木に括り付けてあったサコッシュを回収し、登ってそのまま帰れるようにする。
最後の一本登ったところで、涙を流すほどではなかったが、ついに解放されることに喜びを得て安堵した。
今日一日、往復し続けた1本の道が祝福してくれているように感じた。
おめでとう、ありがとう。

こんなチャレンジ誰がどう見ても頭おかしいとしか思えない。
でもこのチャレンジを通して、コツコツ積み重ねることの大切さを改めて実感した。
言葉にすると薄っぺらいけど、64mの獲得標高でも繰り返し登り続けることでエベレストの標高に迫ることができる。
一本一本は大したことない、10本20本・・・50本とやっていくうちに獲得標高も積み重なって大きなものになるが、もちろんそこには疲労、心労といったダメージも蓄積されてくる。
たぶん人生のいかなることにおいても、「小さなことをコツコツと」がなければ成功などあり得ない。小さなことを積み上げた土台の上に大きなものを掲げることができるんだろうな。

諦めの気持ちがあってもいい、心折れてもいい、立ち止まったっていい、どんな形であれ、ボロボロでもカッコ悪くてもやり切ることが大切なんです。

次の記事で振り返りや反省点を書こうと思っています。
今回はこのあたりで終わりにします。

お疲れ様でした。

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