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Day7: うちの猫が癌になりました

一緒に暮らしている猫のお顔に、できものができました。
病院へ連れて行ったら、脂肪細胞腫という悪性のがんでした。
皮膚だけだったら、それほど悪さはしないとは言われましたが、まだ9歳なので内臓への転移が怖くて、切除することに決めました。

この決断が、猫の運命を大きく変えてしまうことに、手術を決めてからもずっと悩んでいました。

痛くて怖い思いをさせてしまう。
麻酔から目覚めることなく命を失うかもしれない。
ショック症状で亡くなるかもしれない。
手術でとったとしても、取り切れてなくて再発して、今度は内臓に転移するかもしれない。
瞼を一部切り取るので、視野が狭くなり、生活に支障が出るかもしれない。

一方で、手術を選ばなくても、転移せず長生きするかもしれない。
あるいは転移してしまい、がんで亡くなるかもしれない。

どちらが良いのか、まったくわかりません。
どちらを選んでも、後悔するかも知れません。

数ヶ月前の、友人の終末ケアのときのことを思い出しました。
痰が絡んで辛そうで、それを取ることもできるけど、体への負担となって逆に命を縮めてしまうかも知れないと言われました。
何をやっても死に向かうしかない状態で、それでも命を縮める選択はできませんでした。少しでも楽にしてあげる選択はできませんでした。

そのときの介護士さんは、こう言っていました。
「後悔しないなんてことは、ないです」と。
多くの知識と経験を積んでいる介護士さんでも後悔することばかりだそうです。

医学の知識もなく、猫の生態のこともよくわからず、私は決断しなければなりませんでした。
猫を先生に預けるその時まで、迷い続けました。

手術が無事に終わったと、先生から電話が来た時は、泣きそうになりました。
動物病院にお迎えに行き、またあの美しい瞳に会えました。
めちゃめちゃホッとしました。

手術から生還はしたけれど、これが正しい選択であったのかは、まだわかりません。
私がどんなに頑張っても、正しい選択に導くこともできません。
私はこれからもずっと、猫のお顔の傷跡を見るたびに、後悔と、正しかったのだという想いを、繰り返すでしょう。

神様からお預かりしたこの小さな命を、お返しするその時まで、これからも多くの選択と後悔を繰り返していくのかも知れません。

(了)

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