白の花言葉
「友だちの結婚式で歌える曲を描きたい」
25歳になったわたしはたしか、そんなことを考えたと思う。
気づけばいつ結婚の報告があってもおかしくない年齢。天井の高い式場、幸せなふたりのはにかむ笑顔を横目に、アンティークの椅子に座ってわたしはギターを弾く。
もし式場にピアノがあって、その頃に弾けるようになってたらピアノ弾き語りもいいかもなんて想像する。
そんなある日、特徴的な歌詞とメロディが同時に降ってきた。
あなたがくれた花束も下手な手紙も初めての料理も敵わないほど、今この時が何よりも幸せ
洗面所で顔を洗おうとした時だったと思う。
花束をもらったことも料理も作ってもらった事もないけれど、適度にロマンチックで日常的な言い回しが強く印象に残った。
このフレーズを大切にして曲をつくろう。そして、結婚式の華やかさよりもその後ゆるやかに続いていくふたりの素朴な生活を描こう。
そう思って筆を執った。
1番は彼女目線、2番は彼目線で。
お互いの年齢、名前、性格、趣味に職業、ふたりの出会い、ケンカの理由...
いろんなことを空想して描き始めた。メロディは先にできていた。
だけど結婚したことのないわたしが幸せな結婚生活をフィクションで描くには限界があった。
リアリティがほしいのに、どうしてもそこに違和感があって行き詰まっていた。
そんな時知人の結婚の報告がとびこんできた。
写真家の彼と、看護師の彼女
このふたりだ、と思った。
実在のふたりをイメージしてからはするすると歌詞が浮かび、「白」という曲ができた。
最初は花の名前をタイトルにしようと思ったけど、花言葉や意味を調べてるうちにどの花も当てはまらないような気がした。
というより聴いた人が相手に贈りたい花を自由に思い浮かべてほしくて、「白」というタイトルに落ち着いた。
アルバムには入っていないのは、いつかシングルカットしたいと思っていたから。
それ程思入れの深い曲。
『ふたりの思い出を土にして咲く白い花』
ここまではっきりとジャケット写真のイメージができてるのはこの曲だけかもしれない。
ちなみに、タイトルの候補にもあったイラストの花はアネモネ。
白の花言葉は「真実」。
あなたが贈りたい花はなんですか?
白 / 亜美
http://aoistudio.base.ec/items/28977332
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