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【参考書レビュー】詳説日本史ガイドブック
基本情報
書名:中学から使える詳説日本史ガイドブック
著者:野島博之
出版社:山川出版社
ジャンル:参考書
ねらい:論述にも応用できる日本史の実力を無駄なく身につける
対象:日本史を選択する生徒
前提レベル:指定なし
強み
まず、「はじめに」の一部を引用します。
『中学から使える 詳説日本史ガイドブック』は、無駄なく日本史の実力を身につけてもらうと同時に、学習の過程でアタマの鍛錬が自然に図れるようにすることを基本的なコンセプトにしています。
そのために、難関大入試の現実を常に念頭におきながら、高校用日本史教科書の記述を思い切って掘り下げた解説を必要に応じて加えました。さらに、思考力・論理力を鍛えるタイプの論述問題を上下巻合計で20題掲載してあります。
本書との格闘は、正確な知識や理解が求められる、やや高度な問題、具体的には文章選択問題や論述問題に大きな効果を発揮するはずです。
本来、第三者の視点で書くべき参考書レビューに著者の文を入れるのはタブーな気がするのですが、大変的確にこの本の強みを示している文なので引用しました。以下、この文にある強みをそれぞれ深める形でレビューしていきます。
「無駄なく」という点ですが、この本で「本文」と呼べる部分はかなり短く、他の教科書掲載事項は「要点」「まとめ」という形で表などにまとめられていたり、「発展」という形で歴史学の研究に踏み込みつつ言及されています。これが、「高校用日本史教科書の記述を思い切って掘り下げた解説を必要に応じて加えました」という点です。東大日本史で問われてもおかしくない内容です。
つまり、本文は、その時代を理解するために重要な記述だけにとどめることで、記述内容にメリハリをつけています。
教科書を散漫と読んでいる人は、この本が解決策の一つになるかもしれません。(教科書を軽んじていいわけでは決してない。)
また、そういった部分は論述でも問われやすいため、最後の文章にもある通り、論述対策ともなります。
ちなみに「中学から使える」という言葉により「簡単すぎるのではないか」という誤解がありそうですが、内容は十分ハイレベルです。
注意点
確かに論述問題は収録されてはいますが、解答例のみで解説がついているわけではないので、「東大日本史問題演習」などと同じと考えて使うことは難しいでしょう。
各節の末尾にメモコーナーはありますが、行間があまり広くないので、何かを書きこむには窮屈かもしれません。
「中学から使える」という言葉があるために、中学参考書コーナーに並びがちです。高校参考書にないからといって諦めて帰らないように(経験談)。
使い方(あくまで一例)
本文(核)ー要点ーまとめー発展 とメリハリがついているので、どのレベルの生徒が使っても効果がある、というのがこの本の特徴です。
◯初学者・通史復習
まず教科書を読みましょう。授業なりなんなり、教科書で得た知識理解のもとでこの本を読むことで知識が整理・タグづけされ、より深い理解が促されます。
通史復習の場合、自分の将来の過去問演習の妨げにならない程度に、論述問題に挑戦してみてもいいでしょう。
◯論述
「日本史の論点」レビューにも書きましたが、直前期を除き論述の際は、教科書や参考書を見ながら解くのが効果的です。この本もその一つです。論述演習中・または復習の際に気づいたことを書き込んでいけば自分なりの対策本ができます。
また先述したように、東大二次に出題されてもおかしくない発展的な内容が盛り込まれているので、論述研究の際に近隣テーマに手を出すのにはうってつけの教材です。
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