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【UT Doujin Advent Calendar 2023】アイマス研の会誌ができるまで

皆さんこんにちは!東京大学アイドルマスター研究会のすみだぎんです。先月行われた駒場祭のコミアカ23にて、弊会は生まれ変わって初めてとなる会誌を頒布しました!お手に取って頂いたみなさんありがとうございました。

会誌vol.1の内容 お品書き画像の流用です

初めての会誌ということもあり、いろいろ行き当たりばったりだったので、今後の戒めと、これから同人誌を作る皆さんを勇気づける目的で、本記事ではこの会誌が出来るまでの経緯を記録しておこうと思います。
初めに今回頒布した会誌の仕様について記しておきます。ところで、2023年は東大アイマス研が生まれ変わった年でもありました。そこで、次に設立経緯などを前史として記しておきます。その後、企画・構想、原稿執筆、編集作業、入稿、コミアカでの頒布、と会誌の制作経緯を順に書いていき、最後に今後の課題と今回の反省を述べます。前史と原稿執筆のパートは自語りなのであんまり読まなくていいと思います。
記事がアホみたいに長くなってしまったので、ここで一旦会誌の制作スケジュールを載せておきます。読む際の参考にしてください。

  • 7月:企画開始

  • 8月末~9月:構想

  • 10月~11月初旬:原稿執筆

  • 11月中旬:編集作業・入稿

  • 11月下旬:下準備・頒布(駒場祭)

また、本記事はコミックアカデミー実行委員会さんが主催するUT Doujin Advent Calendar 2023という企画に参加させていただいております。大学生の同人活動に関する色々な記事が読めちゃうらしいですよ!


今回頒布した会誌

コミアカ23で頒布した会誌「To-Dai Brand New Ver. vol.1」はA5サイズ、表紙カラー、本文モノクロ、本文46Pです。本文は縦書きの二次創作パート(13P)と横書きの評論パート(33P)に分かれています。執筆者は先ほどの画像にある7名で、表紙や編集は私が担当しました。印刷は株式会社栄光さんに外注しました。

会誌の写真
A5なのでコンパクト 厚さは3mmほど


以下ではこの会誌が出来るまでの長い道のりを赤裸々に綴っていきます。

前史:消滅と再スタート

東大アイマス研は推定2013年に設立され、同年の駒場祭で開催されたコミックアカデミー7にてコミアカ初出展を果たしています。

コミアカ07 会場図・参加サークル一覧より
当時のサークルカットはモノクロだったんですね

それからもコンスタントに会誌を書き続けてきたようですが、2019年の駒場祭で開催されたコミアカ19での出展を最後にコミアカ出展は途切れ、コロナ禍と共にアイマス研も消滅してしまいました。
時は流れ、2023年2月。Twitterで集まった赤の他人×3で東大アイマス研は再スタートを切りました。

集まった赤の他人の1人、galaxさんと初めて会った時、私物の同人誌(アイマスオンリーイベで買ったあるユニットの合同誌)を見せて「こういう会誌、出したくない?」と私は言いました。紙・心・ペン・心のイベントコミュを見て、サークルで会誌を出す、ということに私は憧れていたのです。するとgalaxさんは言いました。「え~~! いいね!!」 透き通ったデカ声に背中を押された気がしました。

ミリシタ内イベント:プラチナスターテール 紙・心・ペン・心 - SHISHINPENSHIN -
大学のオタクサークルがソーシャルゲーム「エト戦記」の二次創作を会誌として出す話

企画・構想

五月祭は新歓で忙しく出そびれ、最初に駒場祭のために企画していたパリっと餃子の販売も費用面と人材面から断念し、7月になって会誌を頒布しよう!という方針を決めました。これは元々私が会誌を出す気満々だったためです。しかしそこから1か月以上放置し、8月末に執筆者と書きたい内容を募りました。その時点では5ブランド全て網羅できていました。(注:アイマスには5ブランド+α のいろんなアイマスがある)

また、今回頒布した会誌は右綴じ縦書きの二次創作パートと左綴じ横書きの評論パートに分かれており両側から読めるデザインになっているのですが、その仕様も9月半ばには決めていました。更に、漫画と記事が混在しそうだったので、この時点でサイズをA5に決めました。(今思えばB5でもよかった)
編集作業を楽にするため、10月頭wordで以下のような記事用・SS用のテンプレートを作成し会員の皆さんに配りました。wordを用いたのは、東大が学生にwordを買ってくれるので会員全員が持っているからです。余白はいろいろ調整し、最終的には前後左右17mmになりました。

左が記事用 右がSS用のテンプレート
SS用のテンプレートは2段組みになっています

また、締め切りを11月8日に設定しました。コミアカは11月25日・26日だったので結果的にはかなり早めでしたが、①誰も締め切りを守らないと思った②編集作業にかなり時間がかかると思った、という理由からこの日付にしました。
なんと、この時点ではどこの印刷所にするのか、そもそも製本するのか、あるいはコピー本でいくのか(学内で印刷?)すら決まってませんでした。

原稿執筆と表紙作成

本章では一部会員の原稿執筆体験をお送りします。

すみだぎんの場合:ミリオンライブの二次創作マンガ&SS + 表紙

私はもともとマンガを描こうと決めていたので10月頭から原稿に取りかかりました。マンガを描くのに使用したのはCLIP STUDIO PAINT EX(安くはないが買い切りなので偉い)と板タブ、SSを書くのに使用したのはWordとGoogleドキュメント(出先で作業する必要があったため 詳細は後述)です。

初めは永吉昴さん水瀬伊織さんが出るマンガを描こうとしていたのですが、プロットを書いたら1000字になってしまったので、そちらはSSに回しました。
そこで、先に6Pのマンガにしよう!と決め、セクシービーストのマンガにしようかな……それとも星梨花パパのマンガかな……可憐パパもいいな……と悩んだ末にミリマグの杏奈先生と未来先生のギャグマンガを描こうと決めました。
まずマンガを描き始めました。経験不足から、10月上旬から10月末までかかりました。印刷所指定のトーン設定をまるで守れていなかったので編集作業中にたくさん修正する羽目になりました。修行と見通しの甘さが反省点ですね…。

11月からSSを書き始めた…はよかったのですが、締め切り前の貴重な土日はライブがあり、私は北九州に飛んでいました。そのため、Googleドキュメントを用い、飛行機や電車の時間中にSSを書き上げました。もう1本SSが思いついたので書いていたのですが、流石に間に合いませんでした。

表紙はSSと並行して描きました。ソフトにはクリスタを使いました。自分が編集担当なのをいいことに、締め切り日時点で上げたのは完成版ではありませんでした。ずるい!

締め切り日に出来ていた評論パートの表紙
二次創作パートの表紙は締め切り日になんとか完成してました
入稿した表紙のデータ

てんてんの場合:SideMの歌詞分析記事

『SideMの歌詞にはWEという言葉が多く使われている』

昔読んだ記事の中にこういった内容があったことを思い出し、SideMの中でもユニットごとに歌詞に特徴があるのではと考え大学の講義で扱われたtf-idfと絡めて特徴を見ようとしました。

歌詞をサイトから収集する上で他の方のブログを参考にコードを書いたものの、歌手名がユニット名や個人名、315STARS名義など分かれていたため、収集がかなり大変でした。 また、はじめはワードクラウドの画像をユニットロゴにしていたのですが、細すぎて何かわからなくなりそうだったのでアイドルのシルエットに変更しました。

実際の原稿 
生成したワードクラウドがアイドルのシルエットになっています

原稿作業は締め切り前の土曜日(締め切り4日前)から始めました。土日で参考になりそうなブログを漁り、月曜に歌詞の収集とワードクラウドの構想、火曜にワードクラウドの生成とtf-idfの算出を行い、締め切りの日の水曜に原稿をまとめきりました。

動き始めが遅すぎて、本来やるはずだった作詞家ごとの特徴を考察できなかったのが今回の反省点です。

しかし、彩やAltessimo、もふもふえんなどの特徴のわかりやすいユニットの特徴がはっきりと出ていただけでなく、DRAMATIC STARSやS.E.Mなどもtf-idfを出すことで特徴を見ることができました。 また、ネタバレになりますがLegendersとC.FIRSTについての歌詞の考察と同じことがDIMENSION ARROWのストーリーで語られていたのは少し嬉しくなりました。

Cuの場合:多田李衣菜とプログレッシブロックの記事

Cuさんのケースはこちらのブログにまるっと書いてあります。原稿のこと以外にも会誌頒布全体に関するCuさん視点の感想・体験が書いてあるらしいですよ!

編集作業

原稿を終え、やがて締め切りの日(11月8日)になりました。原稿を落としたうえで提出ファイルを間違えた1人を除いて概ね締め切り日に完成原稿が揃いました。あの時の感動を私は決して忘れません。
ただ、テンプレートを全く使ってない人がいたり(周知が雑なせい!)、フォントがGungsuhにぶち壊されている人がいたり(多分Googleドキュメントのせい!)と嫌な事件もありました。

締め切り1週間前くらいに多数決で外注して製本することを決めたので、急いで印刷所を見繕いました。結局私が持っている同人誌の奥付を見て印刷所を決めました。印刷所への入稿締め切り日は11月17日で、1週間以上余裕がありました。

校正・チェック作業

それぞれの原稿を3回程度読み、明らかな誤字を直したり長すぎる段落を分けたりしました。個人的に気になる言い回しやこれは流石に下品なのでは……?と思う文章もあったのですが、まぁ、味か……。と思い直せませんでした。
形式やフォントを整える作業もここで行いました。

入稿用データ作成

入稿用データの作成にはCLIP STUDIO PAINT EX(高いけど買い切りなので偉い)を使用しました。印刷所のページにクリスタでの原稿作成のやり方が書いてあったのでそれをよく読みました。ノンブル(ページ番号振るやつ)は両側から読めるデザインの都合から隠しノンブルにしました。本文は全体をひとまとめにしてPDFで、表紙は印刷所のテンプレートを使ってTIFF(カラープロファイルを埋め込めるらしい)で入稿しました。
ただ、本文をひとまとめにする手続きがとても愚直だったので、以下に戒めとして記しておきます。

  1. 入稿用の作品ファイルを印刷所の指示を見ながらクリスタEXで作成する

  2. 各記事(.docxファイル)をword上でpdf出力する

  3. 出力したpdfをクリスタEXで読み込む(EXじゃないと読み込めないので注意)

  4. 読み込んだデータを入稿用ファイルに1ページずつコピペする

単純作業なので難しくはなかったですが、面倒でした。楽な方法あれば教えてほしいです。
加えて、目次もこの段階で作りました。目次の作成にはword(評論パート)とクリスタ(二次創作パート)を用いました。え、なんで別のソフト……?

また、入稿データ作成後に自分や執筆者の皆さんでの原稿チェックも行いました。

入稿から会誌到着まで

編集作業が早めに終わっちゃったので、11月12日に入稿してしまいました。(締め切りは17日)入稿時にプレビューが見れたのでノンブルがちゃんとしてるか、文字が切れなさそうかなど何度も確認しました。
部数は会で相談して20部にしました。駒場祭来る人アイマス知らんやろ……。

20部刷ったので費用は11000円程度でした。しかし、東大のサークルは前期課程生(1,2年生)が2人いればタダで学友会への加盟申請を出すことができ、申請が通ればひと月2000円、最大4000円の印刷費援助を受けることができます。そのため出費を大幅に削減することができました。学友会さんいつもありがとう!

原稿不備は特になかったようで、17日には会誌が届きました。コミアカ23は25日・26日なので1週間早い到着でした。
えっ……早すぎない……?

え~~!本になってる!! プレビューで見たまんまだ!!
え~~!ホントにすごい!!

頒布

下準備

会誌も届き、いよいよコミアカが迫ってきました。そこで、即売会のために以下のものを準備しました。

  • カルトン(コイントレー)

  • コインケース(100円玉用)

  • ホワイトボード(自立するタイプ)

  • ホワイトボード用のペンとクリーナー

  • ブックスタンド(見本誌の展示用)

  • ブックカバー(見本誌用)

  • 空き箱(お金入れる用)

  • 釣り銭(100円玉たくさん)

空き箱と釣り銭以外は100均で揃います。カルトンはあんまり使いませんでしたが、他はしっかり必要でした。中でも釣り銭は本当に大事です。駒場祭に来る人は100円玉ジャラジャラではありません!
これだけのものを準備して満足してしまったので、売り子のシフトを全く組んでいませんでした! えぇ…..?

コミアカ23当日

紆余曲折あって、4年ぶりにアイマス研がコミアカに現れました。

コミアカ23 案内・参加サークル一覧より

完全にオタクのたまり場になってましたが、い~いコミアカでした。中でもアイマス研応援してます!といった声が聴けたり、他大のアイマス研の方が来てくれたりと嬉しい出来事が満載でした。

会誌の方も、5部くらいしか売れんやろ……と思っていたのですが、なんと20部完売しました!お手に取って頂いた皆さんありがとうございました!売り切れで手元にお届けできなかった皆さんすみませんでした。

反省と今後の課題

さて、これまで問題なく頒布できたかのように見える会誌ですが、実は反省点が山積みです。そこで未来のアイマス研のために反省点を書き残しておこうと思います。

構成をもっとしっかりやろう!

ここで、もう一度会誌の内容を見て見ましょう。

会誌vol.1の内容 再掲

あれ……?こないだシャニソンをリリースし、新ユニットのCOMETIKが世間を賑わしている大人気ブランドであるシャニマスが……ない!?
そう、シャニマス要素がありません。シャニマスについて書きそうな人たちが読み合った結果シャニマスの記事がなくなってしまったのです。

これ以外にも問題があります。二次創作パートの表紙になっているこちらの方、島原エレナさんですが、二次創作パートに全く登場しません。何故か関係ない人が表紙を飾っているんですね。次は構成をもっと詰めましょう。

本編に全く関係のない島原エレナさん

Unity mind…?????

今回の会誌は出すことが目的になっていたのでしょうがないのですが、全体的に中身がバラッバラでした。なんでもあり感は嫌いではないですが、次は特集コーナーを設けるとか、コンセプトを決めるとかして統一感を出せたらなと思います。その方が書く上でも楽でしょうし。

文字多すぎて読めないよ😭

『グリPは文字が読めない』

アイマス界隈で俗に言われているように、誰もが文字をきっちり読むわけではありません。しかし、今回の会誌はマンガや一部画像を除けばオール文字。見た目上変化が少なく読みづらいので、次は挿絵を入れようと思います。せっかくアイマス研にはイラスト部があるのでね……。😏

どうしてあとがきがないんですか……?

今回頒布した会誌はいわゆる合同誌というヤツです。たくさんの執筆者がよりどりみどりな記事を寄稿するアレです。そして、合同誌には各執筆者の寄せ書きのようなあとがきがつきものです。
しかし今回の会誌にはあとがきがありません。これはギリギリまで忘れていたのと、思い出しても面倒くさッ!と思ってしまったためです。
次回はあとがき用のGoogleフォームを作るなど、計画性をもってあとがきを作ります。必ず。

wordは印刷には向いていない!

データ上では分からないですが、製本すると綴じ位置付近が読みづらくなりますよね!そのため綴じ位置周りの余白は多くして、読みやすくしたいなぁと思うのですが、今回用いたwordにそんな便利機能はありません!
今回の経験を通して印刷物をwordで作成することに限界を感じたので、次は文字中心の記事作成に別のソフトを使おうと思います! え、LaTeX……?

献本の事を考えよう!

刷った20部が売り切れてしまったので、自分で購入した一部会員を除けば執筆者の手元に会誌がありません。私の手元にも会誌がありません。これは流石におかしいです。次回は献本のためにもっと刷りましょう。

やんば待って 後進……いなくない……?

今回の会誌では私が表紙・編集・入稿を担当しました。しかし、大学のサークルは人の入れ替わりが激しいもの。ノウハウを伝えていかなければ、未来へと繋ぐことができません。また、会誌に限らず、アイマス研に関する画像やデザインのアレコレはこれまで全て私が担当してきてしまいました。こんなワンマンではノウハウは伝播しません。折角いる周りの人たちに仕事を振るということを大切にしていきたいと思います。

おわりに

『つくる、つながる、つづいていく』

これはコミアカさんが近年スローガンとしている言葉です。東大アイマス研は今年なんとか会誌をつくることができました。本記事ではその会誌ができる経緯を長々と書き連ねてきました。この記事が未来の東大アイマス研や、他大のアイマス研、ひいてはアイマスに限らないオタクサークルの皆さん、そしてオタクサークルを作ろうと思っている皆さんに届き、会誌頒布という選択を取る方々が増えればなと思います。

また、私たちの会誌もこれで終わりではありません。今回は学内の即売会でのみの頒布となりましたが、いずれは歌姫庭園やコミケなど、外部イベントでの頒布もしていきたいと思っています。


やば……。なんか…エモいね……。
それでは聞いてください、

『はぴ!やば!まいまいんど! 』


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