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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(補遺2)

 オンライン授業が主流となり、情報の格差が問題となる新時代に突入した。学生の皆さんは、情報が流通しにくい定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。今回は補遺として不可・欠席のときの救済手段に関する出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

Supplement2【救済手段】

【問題】
『履修の手引き』42ページを見て、以下の情報をもとに、平均合格している学生を選べ。

スライド110

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ 誰も平均合格していない

知識の確認

 今回は不可・欠席になった場合の救済措置について紹介する。救済措置は進振り点との関係も深いため、解説する運びになったが、救済措置があるからといって気を抜かないでほしい。UT-BASE編集部からのお願いだ。

☆本記事は、処理の優先度が高い順番に紹介している。つまり、
◆「平均合格」や「特修クラス」の対象科目
 追試験 > 他クラス聴講 > 平均合格 > 特修クラス
◆「補修」の対象科目
 追試験 > 他クラス聴講 > 補修
◆その他の科目
 再履修
※いずれの場合にも、利用できる手段が制限されている科目が存在します。
 例えば、追試験で合格すれば、それ以下の手段は使えなくなる。

■追試験

<追試験に合格するとどうなるか>
 本試験における不可・欠席はなかったことになり、当該科目で単位が認められる。ただし、得点には上限が付いていて、50点ないしは75点が上限である。
 (元々の成績よりも低い点数を取ってしまった場合には、追試験はなかったことになり、元々の点数が成績表に記載される。)
 追試験に合格するとその科目の単位が認められるため、再履修(他クラス聴講)ができなくなる(CASE06)。

 得点の上限は「50点を満点に減点法で成績をつける」というものではなく、「100点満点で点数を算出し、50点を超えた部分は切り捨てる」というものだ。
 たとえば、基礎科目「情報」で不可をとってしまい追試を受験した場合、たとえテストが満点で、普通なら優上相当の成績だったとしても、上限の「50可」しか貰えない。
 なお、他クラス聴講をした場合の上限は一律に50点とされている。

<追試験を受験するには?>
 追試験は全ての科目で全員が受けられるわけではなく、『履修の手引き』37-38ページに記載された科目のみの実施で、各科目で要求される、下記の受験資格が必要。

スライド111

(『履修の手引き』38-39ページ)

 基本的に、不慮の事故があったときはA、試験で爆死した場合はCと覚えておけば良い。繰り返しになるが、追試験の対象となるのは『履修の手引き』の表にある科目のみで、他の科目は対象ではないことに注意しよう。

☕️Coffee Break〜非公式の救済〜
 では、追試験の対象でない科目、例えば総合科目の試験日に急病によって試験が受けられなくなったらどうしよう?
 公式の救済措置は(再履修の他には)存在しないので、教授に直訴してみると良いかもしれない。心優しい方なら、代替レポートなどの措置をとってくださるかもしれない。
 本記事のライターである私は「記号論理学Ⅰ(文科生)」の試験日にウイルス性胃腸炎に(以下略)

■再履修・他クラス聴講

○再履修
<再履修の効果>
 一般に、単位を落とした科目は「再履修」することによって、過去の成績を塗り替えることができる。再履修の効果は成績の上書きであるから、過去の失敗をチャラにできるというわけだ。
 よって、下がってしまった進振り点を大幅に回復させることができる。(場合によっては2,3点あがる。)

<再履修をするには?>
 基本的に、不可・欠席だった科目は、翌セメスター以降に開講されていれば、UTAS上での履修登録により再履修できる。ただし、再履修できる(成績の上書きができる)科目には一定の制限がある。クラスや学年の指定がある科目や総合科目の一部(『履修の手引き』23ページ)だ。(詳しくは CASE06 を参照)

○他クラス聴講
<他クラス聴講とは>
 クラス指定がある科目のうち、基礎科目については「他クラス聴講」という手段が、再履修と類似の制度として用意されている。
 他クラス聴講とは、特別な手続き(履修認定カード)によって、指定クラスではないために本来は受けられない授業を履修可能にする制度である。簡単に言ってしまえば、再履修できない科目を特別に再履修できるようにする制度だ。

<他クラス聴講の効果>
 再履修と同様に、成績を上書きすることができる。ただし、他クラス聴講は普通の再履修とは異なり、成績に50点、75点という上限がある。この上限は、追試験の上限と同じく、「100点満点で採点し、上限を超えた部分の点数は切り捨てる」というものだ。他クラス聴講で不可の成績を上書きしようとしても、上限の範囲でしか上書きできないので注意が必要だ。
 なお、他クラス聴講により元の成績よりも低い成績をとってしまった場合には、元々の成績の方が保持される。

<他クラス聴講をするには?>
 他クラス聴講は特別な手続きが必要になる。(履修認定カード)
 また、他クラス聴講の対象となる科目(=基礎科目の一部)と時期は、『履修の手引き』40ページに記載のある科目・時期のみである。たとえば、「英語中級」や理系準必修は総合科目であるため、他クラス聴講の対象ではない。『履修の手引き』の表をよく見て、どれが、どの時期に他クラス聴講可能なのかをチェックしておこう。

 なお、他クラス聴講は自分のクラス番号と同じ授業=自分の下クラが受ける授業とは別の授業を選択しても良いし、自分が授業を受けた教員とは別の教員を選択しても良い。=下クラと一緒に同じ授業を受ける必要はない。(ただし、「言語によっては教育上の理由より同一教員からの履修を推奨している場合がありますので、担当教員にご確認くだい。」(http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/rishu2020-FAQ.pdf))
 その他の注意事項はhttp://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/rishu2020-FAQ.pdfを確認すると良いだろう。

■平均合格

<平均合格とは>
 再履修せずとも単位を得る方法が存在する。その一つが「平均合格」だ。基礎科目「英語」を例に説明すると、平均点合格は、

 基礎科目の「英語」は4科目=一列①・②、FLOW、ALESS/SAがあるが、これらの成績を総合して見たとき、平均的に単位を与えるに相当する成績であるから、「英語」全体として合格にしてあげましょう!

という制度だ。(つまりALESS/SAも平均合格で単位を取得できるのだよ…君は知ってはいけないことを知ってしまったのだ…)

<平均合格の効果>
 平均合格すると、科目群(英語や第二外国語など)全体として合格となる(=単位が与えられる)。したがって、平均合格すれば前期課程修了要件(『履修の手引き』9ページ)を満たしたことになる。
 他方、平均合格は再履修などとは異なり、点数の書き換えは行われない。無論、平均合格は進振り後に問題になることである(*)から、降年・留年でもしない限り進振り点への影響はない。

(*)進学選択が可能となる条件(『履修の手引き』8ページ)を見ると、平均合格の対象科目については、単位の取得が必須ではない(条件としては、「成績の平均が40点以上」)。したがって、平均合格の結果、単位が認められたとしても、この条件とは何ら関係がない。むしろ関係があるのは9ページの「前期課程修了要件」である。

なお、たびたび質問が寄せられるが、1A終了時に平均合格の要件を満たしていたとしても、再履修(厳密には他クラス聴講)することはできる。実際、教務課の公式見解として、平均合格の条件を満たしている状態での他クラス聴講は認められるとされている。

初修外国語が平均合格しているのですが、他クラス聴講は可能ですか。
可能です。「履修認定カード(電子版)」を使用して申請ください。
(「履修・履修登録に関するFAQ(前期課程)」http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/rishu2020-FAQ.pdf、アクセス日:2020/11/16)

この理由は、『履修の手引き』42ページの

(※)例:1A2タームに「英語二列S」の成績が「不可」となり、2S1タームに他クラス聴講し「可」となった場合→平均合格の条件において、当該科目は“ 1Aセメスター(1A1ターム・1A2ターム)の成績”として判断する。

という記述の文言解釈から、平均合格は2A終了時に判断されるものだと考えることができるからだといえるだろう。よって、それまでは当該科目の単位は認められていないと考えることができると思われる。冒頭で、処理の優先度を「他クラス聴講>平均合格」と記載したのはこのためだ。

<平均合格をするには?>
平均合格は『履修の手引き』42ページに掲載があり、それによると、対象となる科目群は
 a. 既修外国語(基礎科目)
 b. 初修外国語(基礎科目)
 c. スポ身(基礎科目)
のみであることが分かる。

 それでは、平均合格の制度を説明しよう。平均合格は、上記a〜cの科目群の一つで一定の条件を満たした場合、当該科目群の中にある科目全体について、単位を取得した"ことになる"制度である。
 単位が貰えるだけで、元々の得点は変わらないということに注意しよう。平均合格したとしても、進振り点は低いままで変化しない。進振り点を上げるには他クラス聴講をしよう。

 平均合格の制度は、具体的には以下の通り

a. 既修外国語の英語(日本語も準ずる)

〈条件:①と②をともに満たす〉
①1S〜1Aセメスターの全科目= [FLOW、ALESS/SA、英語一列①②]の加重平均が50点以上であること。

②1Aセメスターの科目= [ALESS/SAまたはFLOWと、英語一列②]の加重平均が50点以上であること。

スライド112

〈注意〉
文理ともに、「英語中級・上級」は総合科目L系列なので、平均合格の制度には含まれない。

b. 初修外国語の○○語(英語以外の既修外国語もこれと同じ。)

〈条件:①〜③をすべて満たす〉
①1Sセメスターの科目= [○○語一列①、○○語二列]の点数の平均が40点以上であること。
(※厳密には加重平均だが、ともに単位数が2なので、単純に点数を足して2で割れば良い。)

②1Aセメスターの科目= [○○語一列②]の成績が40点以上であること。

③1S〜1Aセメスターの全科目= [○○語一列①②、○○語二列]の点数の平均が50点以上であること。
(※厳密には加重平均だが、すべて単位数が2なので、単純に点数を足して3で割れば良い。)

スライド114

〈注意〉
文理ともに、「○○語初級(演習)」等は総合科目L系列なので、平均合格の制度には含まれない。

c. 身体運動・健康科学実習(スポ身体)

〈条件〉
基礎科目スポ身Ⅰ、スポ身Ⅱの点数の平均が50点以上であること。


■補修・特修クラス

<補修・特修クラスとは>
 2Aセメスター時点で、基礎科目の対象科目の単位が足りていない(不可・欠席の)人のため、救済のコマが開講される。ここで合格できれば、単位が認められ、留年を回避できる。
 ただし、開講が2Aのため、進振りは既に終わっていることには注意しなければならない。「補修や特修クラスがあるからいいや」とぼーっとしていると、気が付いたら降年していたり、著しく低い進振り点で進振りに挑むことになったりする。


○補修
<補修の効果>
 2A時点で、理系の基礎実験(例外的)、数理科学基礎が不可・欠席の人は補修を受けることができ、ここで合格すれば、落単した科目の単位が認められる。

<補修の対象科目>
 ・「基礎実験Ⅰ」「基礎実験Ⅱ」(理科一類生)
 ・「基礎物理学実験」「基礎化学実験」(理科二類・三類生)
 ・「数理科学基礎」(理科一類・二類・三類生)

※「基礎実験Ⅲ」、「基礎生命科学実験」は、2S1タームにのみの開講であるため、補修はできない。したがって、本番一発で合格しないと降年になるので注意。
※「微分積分学①」「微分積分学②」「線型代数学①」「線型代数学②」「数理科学基礎演習」「数学基礎理論演習」「微分積分学演習」「線型代数学演習」の補修はできない。
※詳しくは『履修の手引き』43ページをご覧下さい。


 あれ?と思った読者もいるかもしれない。
「基礎実験Ⅰ・Ⅱ」(理Ⅰ)「基礎物理学実験」・「基礎科学実験」(理Ⅱ・Ⅲ)は、その単位の取得が進振りへの参加に必要であり(『履修の手引き』8ページ)、2Aに補修をするのでは進振りに間に合わないのではないか?と。
 8ページの下部の(注4)をご覧いただきたい。

当該科目の単位を取得できなかった理由(病気療養など)が妥当と基礎実験委員会で認められ、当該科目を2Aセメスターで補修(p. 43)可能と同委員会で判断した場合は、「基礎実験Ⅲ」または、「基礎生命科学実験」の1単位を取得していれば、進学選択が可能となる。

との記載がある。つまり、理由が妥当な不可であって、補修可能なら、単位を取得していなくても進振りに参加させてもらえる、ということだ。
 問題は、その妥当な理由とは何か、ということである。例では「病気療養など」と書かれているが、例えば、学力・努力不足による(要は"普通"の)不可はどうか?UT-BASEの理系メンバー複数人に尋ねたところ、「普通に不可になって降年した人がいる」とのことであったので、普通の不可は正当な理由としては認められないようだ。
 どの理由が妥当と認められるかは当局の判断によるので一概には言えないが、やはり、「正当な」理由である必要がありそうだ。


○特修クラス
<特修クラスの効果>
 2A時点で基礎科目の第二外国語が不可・欠席の場合、○○語一列①・②、○○語二列の計6単位の平均点が40点以上であれば、特修クラスの履修が認められ、合格すれば、落単した科目の単位が認められる。

<特修クラスの対象科目>
 ・初修外国語
 ・英語以外の既修外国語
※ただし、2S終了時に平均合格している場合は対象外
※詳しくは『履修の手引き』43ページをご覧下さい。


問題の解説

 さて、救済手段を全て紹介したところで、問題の解説といこう。平均合格の制度で勘違いをし、留年になる学生がいるようなので慎重に確認しよう。

【問題】

スライド110

【選択肢】
① ア
② イ
③ ウ
④ 誰も平均合格していない

【解答】
② イ

【解説】
 まず、平均合格がいつの時点で問題になるのかを考えよう。答えは2Aである。2S(進振り)時点で平均合格しているかどうかは進振り自体には関係がなく、平均合格の有無が左右するのは、前期教養を修了できるか否かということだからだ。まして、1年生のSセメスター終了時には、必要な科目をまだ履修しきっていない以上、一切関係がないだけでなく計算もできない。
 よってこの時点で「ア」の学生(文Ⅰの1S)が除外される。したがって、以下、選択肢イとウを検討する。
 イ 英語の平均合格は、基礎科目の5単位=「英語一列①・②」「英語二列W」「英語二列S」のみで判断する。「英語中級」は基礎科目ではない(総合科目L系列)なので無視しよう。
 上段の青字はSセメスター、下段の赤字はAセメスターの科目を示しているので、これら平均合格の条件にあてはめてみる。
①1Sセメスター(1S1ターム・1S2ターム)~1Aセメスター(1A1ターム・1A2ターム)の成績の平均が50点以上
 (40点×1単位 + 80点×1単位) / (1+1)単位 = 60点
以上の通り、満たしている。

②1Aセメスター(1A1ターム・1A2ターム)の成績の平均が50点以上
 (80点×1単位 + 40点×2単位) / (1+2)単位 = 53.33…点
以上の通り、満たしている。

⇒両方の条件を満たしているので、平均合格している。

ウ 第二外国語の平均合格は、基礎科目の6単位=「○○語一列①・②」「○○語二列」のみで判断する。「○○語初級(演習)①・②」は基礎科目ではない(総合科目L系列)なので無視しよう。
 上段の青字はSセメスター、下段の赤字はAセメスターの科目を示しているので、これらを平均合格の条件にあてはめてみる。
①「1Sセメスターの成績の平均」が40点以上
 (38点 + 41点) / 2科目 = 39.5点
以上の通り、満たしていない。(厳密には加重平均を求める必要があるが、単位数が等しいので通常の平均点計算でよい。)

②「1Aセメスターの成績」が40点以上
 「中国語一列②」が71点なので、満たしている。

③「1Sセメスター~1Aセメスターの成績の平均」が50点以上
 (38点 + 41点 + 71点) / 3科目 = 50点
以上の通り、満たしている。(厳密には加重平均を求める必要があるが、単位数が等しいので通常の平均点計算でよい。)

⇒条件②・③は満たしているものの、条件①を満たしていないので、平均合格していない。

 以上より、問題の答えは「イ」である。
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。

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