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【Twitter連携企画】クイズ★進振りケース(CASE25)

 オンライン授業が始まって早1ヶ月。新しい生活様式での「大学生活」に慣れてきた人も多いのではないだろうか。しかし一方で、定期試験や成績評価、そして特に、進学選択、いわゆる「進振り」には不安を抱えているだろう。コロナ禍の影響を完全に取り除くことはできないが、我々にできるのは進学条件を今一度確認し、問題なく志望学部・学科に進む準備をすることだ。
 UT-BASE公式Twitter( https://twitter.com/UtBase )で行われている、進振りのあれこれを具体的な例を用いて理解する「クイズ 進振りケース」。第25回は「受入保留アルゴリズム」についての出題だ。解説もあるので、ぜひ参考にしてみてほしい。なお、断りの無い限り、既習外国語(英語)と初修外国語を選択した非TLP生を想定しているので、これに該当しない人は適宜、『履修の手引き』を見て確認してほしい。

CASE25【第1〜第3段階】

【問題】
学生A,B,Cの3名は進学選択第一段階では内定せず、第二段階に進出した。画像の条件のとき、3名はそれぞれX,Y,Zいずれの学科に内定するか。続くツイートで、その組み合わせとして最適な選択肢を選びなさい。

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【選択肢】
① (A, B, C) = (X, Y, Z)
② (A, B, C) = (X, X, Z)
③ (A, B, C) = (Y, X, Z)
④ (A, B, C) = (X, Z, Y)

Twitterでの出題はコチラ

知識の確認

 今回は、進学選択の仕組みを掴むには切っても切り離せない「受入保留アルゴリズム」について見ていこう。このシステムは2017年度に導入されたもので、その詳細な理解には経済学的な説明が必要であろう。しかし、本記事ではあくまで進振りに必要な情報をわかりやすく伝えることを目標としているため、学術的なことはさておき、システムの大枠理解にとどめておく。詳細な情報については他団体の記事を参照されたい。


■受入保留アルゴリズムの意義
 「受入保留アルゴリズム」とは、進学選択の第二段階において採用される、内定者決定方法だ。CASE24で確認した通り、第二段階においては第n志望まで登録するが、その内定方法を決めるのが、このアルゴリズムである。
 「アルゴリズム」という言葉にワクワクする理系の方、アレルギーがある文系の方、そのどちらにもわかるようにざっくり言えば、以下の特徴があるだろう。

・基準により算出された評価の高低で競うので、公正な「椅子取りゲーム」である。
・ただし、一度椅子を確保しても、自分より点数の高い人が現れるとその椅子は奪われて、別の椅子を探すことになる。
…そのため、例えば第1志望の人を蹴落として第3志望の人が内定することもある。
・「早い者勝ち」ではないので、いわゆる「進振り戦略」は発生せず、学生は自らの志望順で素直に登録することになる。

■受入保留アルゴリズムの仕組み
<STEP1> 第1志望者を暫定的に内定させる
 各学生の第1希望となる学科のマッチングが行われる。そして、ここで定員外の学生は第2希望に回される。この時にマッチングしたペアの選択がその場で確定するわけではなく、これはあくまで仮のマッチングとして“保留”する。

<STEP2> 第2志望者を暫定的に内定させる・下剋上する
 先ほど暫定的に内定した第1志望者と第2志望者で、再度マッチングを行う。新たに参戦してきた学生の点数の方が暫定の内定者より高ければ、その暫定の内定者は席を奪われる可能性がある。
 そして定員外となった学生は、自身の次の志望度の進学単位(学科等)のマッチングに回される。
 ここでマッチングしたペアの選択は、あくまで仮のマッチングとして保留される。

<STEP3> 繰り返していき、第n志望までの席を埋め尽くす
 このように、受入保留アルゴリズムでは「敗者復活」と「下剋上」が繰り返し起こる。下剋上に敗れて定数からあふれた学生は次の敗者復活戦に挑む。それを繰り返していき、これ以上敗者復活も下剋上もできない、となった時点で操作を終了する。

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 なお、実際はもっと複雑で、学生間の順序付けは基本平均点のみならず面接などの進学単位ごとに定められた評価基準によって行われる。さらに、各ステップでまず指定科類枠が処理され、その次に全科類枠が処理される。そこで初めて次のステップに進む。指定科類枠で内定しなかった人は全科類枠に回される。

 つまり、第1志望で登録しても、第2志望以下の人に追い出されて第n志望まで飛ばされることもあるし、nが小さく進振り点も少ない場合には、どこにも内定しないこともありうる。その場合は第三段階に進出するが、第三段階は実施しない恐れがある。以下で詳しく説明しよう。


■注意すべき点
ここで注意すべきなのは、前述の通り、このアルゴリズムを採用しても最終的に内定しない学生が発生するということだ。
もちろん、nを最大まで大きくすることで、どこにも内定しない事態を回避することはできる。しかしそのような戦略を取っても、「この学科に行くくらいなら降年して進振りやり直す」という感情が沸き上がるだろう。そのため当アルゴリズムでは、「内定した場合に進学する意志のある」学科のみを、すべて登録するように求められる(『履修の手引き』54ページ)。これによって、学生側にとって最大限配慮された進学選択が保証されているのである。

<参考>
 受入保留アルゴリズムについてざっくりと解説してきたが、この制度の内容は詳細まで説明している記事が多いので、そちらもぜひ参照されたい。また当記事を書く際にも、以下の記事を参考とした。
・『進学選択の手引き』
・東大新聞『第2段階で志望登録が無制限に 18年度進学選択 評価順位の上位者から内定へ』(http://www.todaishimbun.org/singaku20161119/
・UmeeT『【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【前編】』(https://todai-umeet.com/article/35013
・UmeeT『【進学選択を徹底解説】経済学から読み解く進振りの生き残り方【後編】』(https://todai-umeet.com/article/35295
・進学選択に関する東大のガイダンス資料(http://www.c.u-tokyo.ac.jp/zenki/news/kyoumu/2016guidance_algorithm1128.pdf

問題の解説

以上で学んだことの復習として、問題の解説をしよう。
【問題】

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【選択肢】
① (A, B, C) = (X, Y, Z)
② (A, B, C) = (X, X, Z)
③ (A, B, C) = (Y, X, Z)
④ (A, B, C) = (X, Z, Y)


【解答】

【解説】
 進振り点は学生A>B>Cである。これを前提に、第1志望のマッチングから見ていこう。第1志望には、学生A,BがXを志望しており、学生CがZを志望している。定数が1であることから、Xには学生A、Zには学生Cが暫定的に内定を獲得する。

X→学生A…〇 学生B…✕(第2志望のZへ)
Y→(第1志望者なし)
Z→学生C…〇

次に第二希望でのマッチングが行われる。学生BはZを志望しており、ここでZの暫定内定者は学生Cから学生Bへと入れ替わる。したがって学生Cは、次に志望度の高いYに内定することになる。

Z→学生B…〇 学生C…✕(第2志望へ)
↓↓↓
X→学生A…◎
Y→学生C…◎
Z→学生B…◎

 したがって、上記のように内定が確定するので、答えは④である。
(終)

 以上のことは基本的にほぼ全て『履修の手引き』に掲載されている。万が一履修条件の抜け漏れがあった場合は、すぐに手引きを参照しよう。特殊な成績計算方法を採用している学部・学科もあるため、各位志望に合わせてチェックしてほしい。
 また、進振りに関する詳細な情報を掲載しているUTaisaku-Webや成績を入力すると自動で基本平均点を計算してくれるUTESなどのサイトを活用するのも有効だろう。
もちろん、UT-BASEでも進振りに関する耳より情報をご提供していく予定なので、参考にしていただければ幸いである。次回は「第2段階の罠」という問題を出題する。お楽しみに!

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