見出し画像

魔王誕生~小学校編

気付けば魔王はその後も配下の両親を携え順当に進化していた。
見た目は天使の小さな魔王は幼稚園に入る事になった。
正直幼稚園の頃の事なんて何も覚えてないが魔王は幼稚園の先生が
大好きだった様でカウントしていいのかは別として実らぬ初恋だった。

その頃父親はスーパーファミコンに夢中だった。
魔王は父からコントローラーを持たせられ英才教育を受けた。
カタカナはドンキーコングで覚え、忍耐力をマリオから学んだ。
外の世界でマンホールを見かける度にこの土管は何処に繋がってるの?
と毎回母に尋ねていた、ゲーム脳という言葉が流行るより早く自ら体現していた。

気付けば小学校に通っていた魔王だったが数日して隣の席の女の子と
その子の後ろに座る席の女の子2人を同時に好きになっていた。
小学1年生の頃、既に7つの大罪の内で
「傲慢」「強欲」「色欲」「憤怒」4つコンプリートしていた訳だ。
そんな恐れ知らずの魔王も給食エプロンを忘れて怒られぎゃん泣きした。
それから時が経ちクラスでのコミュニティが形成されその中心にいた
魔王は良くも悪くも目立っていた。
若くしてその会話力には秀でたものがあり独自のユーモアと
小学生特有の人を傷つける笑いに特化していた為に多くの者を傷つけていながらも面白さが上回り周囲に人はたくさんいたし結構モテてた。

家に帰るとゲームばかりしていた魔王を危惧し母親は何か習い事をさせようとしていた。
公文に連れていかれたが魔王はそれを拒んだ、何より勉強が嫌いだった。
見学時のケーキにつられて少年野球に行ったが野球に興味がなかった。
スイミングに通う事になったが泳げる前に水が怖くて辞めた。
多分普通にカナヅチだったし、わざわざ水に濡れる意味が分からなかった。
後に授業で25mプールを泳ぐテストがあったが魔王は息継ぎが出来なかった為に息継ぎナシで無理に泳ごうとして溺れた哀れな伝説を生む事となった。
その頃学校ではサッカーが流行り出していた為、習い事としては結局
ジュニアサッカーチームに所属する事となり小学校編は幕を閉じる。

魔王が人を遣いそれを生業とするまでの道程はまだ、長い。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?