ギンコ・バイオワークス(ティッカー:DNA) 2022Q3決算

ハイライト

出典:ギンコ投資家向け資料

ビジネスハイライト

  • 2022年第3四半期にファウンドリの収益が2,500万ドル発生

  • 2022年第3四半期に15の新規細胞プログラムをファウンドリプラットフォームに追加し、前年同期比50%の成長を達成

    ✅Merckとのコラボレーションにより、Merckの原薬製造における生体触媒として使用するための酵素を開発するなど、製薬およびバイオテクノロジーにおける継続的な牽引役となる。

  • ギンコのバイオセキュリティおよび公衆衛生製品であるConcentric by Ginkgoは、2022年第3四半期に順調に実行され、バイオセキュリティの収益として4200万ドルを計上

    ✅ルワンダ開発委員会およびサウジアラビア投資省との覚書など、国際的に拡大。

    ✅疫学的追跡、モデリング、予測機能を含む強化された分析モジュールを追加し、Intelligence Advanced Research Projects Activity(IARPA)と共同で人工生物検出のための計算ツールを発表。

    ✅排水や大気のパッシブモニタリングなど、新たなモダリティやサービスの試験運用を継続中。

  • 10月にザイマージェン社およびバイエル社のウェストサクラメント生物製剤研究開発施設の買収を完了

    ザイマージェン社の買収が迅速に完了したことにより、買収完了時に多くの現金を得ることができ、ギンコは当初の予想よりも早く統合活動を開始し、新たな成長機会を追求することができる。

  • また、10月には、堅牢な適応型ラボラトリー進化(ALE)プラットフォームを開発したAltarと、独自の円形RNAおよびプロモーター・スクリーニング・プラットフォームであるCircularisを買収

財務ハイライト

出典:ギンコ投資家向け資料
  • 2022年第3四半期の総売上は6600万ドル、前年同期の7800万ドルから減少、14%減

    ✅2022年第3四半期のファウンドリ収入は2,500万ドルで、前年同期の3,500万ドルから減少し、29%減少しました。2022年第3四半期のファウンドリー収益には大型マイルストーンの支払いが含まれていませんが、2021年第3四半期のファウンドリー収益にはクロノス・グループ社による株式マイルストーン達成に関連したダウンストリーム価値分配収益が含まれています。

    ✅2022年第3四半期のバイオセキュリティの売上は4200万ドルで、前年同期の4300万ドルから3%減少しました。2022年第3四半期バイオセキュリティの売上総利益率は41%。

  • 2022年第3四半期の営業損失は、前年同期の2700万ドルに対し、6億5300万ドル(株式報酬費用5億6300万ドルを含む)。株式ベースの報酬費用は主に、2022年3月29日にSECに提出したフォーム10-K年次報告書で開示した、上場前に発行した制限付きストックユニットの修正に関するGAAP継続会計に関連するもので、2022年第3四半期は、株式ベースの報酬費用が5億6,300万ドル。

  • 2022年第3四半期の調整後EBITDAは、前年同期の(18)百万ドルから(70)百万ドルに減少

  • 第3四半期末の現金および現金同等物残高が13億ドル超となり、ギンコは戦略的目標を追求するための強固な財務体質を獲得

個人的ポイント

Zymergen社との統合

ザイマージェン社の製品を単独で継続するつもりはありませんが、言い換えれば、自社で製品化するために本当に投資するつもりはないのです。また、このポートフォリオからの収益も期待していません。機能性バリアや3Dプリントプログラムなど、より高度な製品については、現在インバウンドの関心を集めており、これらの資産を売却または提携するための戦略的選択肢を引き続き検討していく予定です。

・・・(中略)・・・

というのも、数週間前にザイマージェン社のチームに対してキックオフ・プレゼンテーションを行った際、このチームが私たちの短期的な目標にいかにフィットしているかということに、私はとても興奮したのです。ザイマージェン社とギンコ社の最大の違いは、ザイマージェン社は製品のビジネスモデルで世界にアプローチしていたことです。一方、ギンコ社はB2Bサービスのビジネスモデルを持っていました。しかし、その裏側では、両社とも強力な水平技術プラットフォームを構築しているのです。このチームとテクノロジーが、ギンコ社の2023年の目標達成にどれだけ貢献できるかを考えると、これは非常に重要なことです。

両チームには文化的な重なりがあるため、このようなことはすぐに実現できるのです。そのエネルギーは、現地でチームと交流しているときにも感じられ、とても刺激的でした。ザイマージェン社の社員が、ギンコ社で進行中のプログラムや技術計画を支援する方法を積極的に見つけてくれたことは、すでに素晴らしいことです。

Ginkgo Bioworks Holdings, Inc. (DNA) Q3 2022 Earnings Call

ザイマージェン社の買収は合成生物学の企業同士ということで、ギンコが成長するときに大きなシナジーを産むことが期待できます。

まとめ

ギンコの2022Q3決算について確認しました。ポイントはいくつかあるかと思いますが、まずはバイオ医薬品との親和性の高さがたびたび強調されていた点です。もともと合成生物学の分野はその裾野の広さが将来性を感じさせる要素だった訳で、私も医薬品分野との親和性はIPO時から注目していました。

ギンコは既にMerck や Novo Nordisk といった大型の製薬企業と取引していますが、こういった企業はマイルストーンでの支払いになるとしても初期に大きな金額を支払ってくれることが多いので、財務の面から見ても優先的に営業していくメリットが大きいというのもあるかと思います。

次に、 ザイマージェンの買収です。もともとシナジー効果の大きく見える両者の統合は、アーニングコールを見る限りは順調そのものとのこと。外部からはこの辺りを正確に評価するのは難しいですが、 ザイマージェンの人員や自動化技術がファウンドリーをどれだけ強化できるのかはとても気になるところです。

ギンコ側が公表しているアクティブなプログラム数の増加は順調に見えますが、ファウンドリー売上の伸びがいまいちであることは気になる要素です。 ギンコ側はマイルストーンの関係で凹んでいるだけと説明しているので、次の決算でここの伸びは注目するポイントになるかと思います。

上場時の資料を振り返ってみると、ファウンドリーの出力は毎年3〜4倍に増加すると言う見通しだったのですが、プログラム数の増加や売上の伸びから見ると、現状はそこまでの出力増加は維持できていないのではないかと推測します。

個人的結論としては、買うにしても2022Q4の結果を見たいというところです。将来有望だと感じるのは変わりがありませんし、圧倒的なTAMは魅力でしかないです。ここからは ザイマージェンの買収で成長を加速して行って欲しいです。

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