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第2回『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』マラソン ~観劇記編~


0. はじめに

この記事は私の『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』観劇記です。

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』をご覧になられていない方は、ぜひご覧になってください!
アニメ未見でいきなり『劇場版』を観ても十分に楽しめますが、その際は観劇前にこちらの記事を先にお読みいただくといいかもしれません。

映画をご覧になられたら、ぜひまたいらしてくださいね!


1. 初回、観終わってどうでした?

私は放心状態になりました。

私が『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を観たのは、公開から半年が経とうとしていた頃、2021年11月末でした。新宿バルト9のレイトショーでかかっていたのを観たのが初回です。アニメ本編を見ずに映画館へ行ったため、登場人物もわからないような状態でした。

映画が始まり、進路相談のシーンや学校内の様子などを「宝塚音楽学校のようなところを舞台にした学園ものかな」と思いながら見ていた私は、電車が舞台に変形するシーンで度肝を抜かれ、幼い愛城さんと神楽さんが『レヴュースタァライト』を観るシーンで涙し、石動さんが「なんでわかってくれないんだよ!」と叫ぶシーンで涙し、その後の記憶をほとんどありません。

正気に戻った時には、缶コーヒーを片手に早朝の新宿を彷徨っていました。きっとあの時に自撮りしていたら、自分が写っていなかったと思います。
とても寒かったし、冷たくなった缶を持つ手が震えていました。

圧倒的なものが後ろからやってきて、私を包み込んで揺さぶり、はるか彼方へ駆け抜けて去っていったような感覚がありました。自分の理解を遥かに超えるなにか超越的なものとの遭遇とでも言うべきでしょうか。(この感覚と似ているなと思い出すのは『HiGH&LOW THE MOVIE』です。)

最初に観たときは、すごいとすら思えなくなるくらい、何も考えられなくなるくらいの衝撃を受けました。心と頭を両手でがっしり掴まれて2時間揺さぶられ続けたような、人生で初めての体験でした。

美しい。
ただただ、美しい。
どこまでも美しく、
格好よく、
気高い。


2. 何が起きたのかわからなかった


何がこんなにも凄まじいのか?
なぜ自分にこんなにもささるのか?
初回観劇時には全くわかりませんでした。

劇場で32回観た今でも、それがなぜなのか、なんなのか、実はまだわかりかねています。
映像表現、歌、セリフ、スクリーンに溢れる登場人物の思い、彼女たちの思いによって私の中から掘り返される思い。希望、怒り、悔しさ、悲しさ、嬉しさ、楽しさ、辛さ、寂しさ、悲しさ、愛おしさ、共感。『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を観ていると、そういったものがそれぞれの場面で想起されます。毎回同じように抱く感想もあれば、あるときに唐突に初めて浮かんでくる感想もあります。

自分の持っている語彙では表現しえない、涙でしか表出されえない感情が、観るたびに引き起こされるのだと思っています。

観終えて劇場から出たあと、背筋が伸びて歩く姿勢がものすごく良くなるのはなんでなんでしょうね

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』ちょっといい話


3. アニメ本編も見た

ほうほうの体で帰宅したものの、起きていることができず、倒れるようにベッドに入りました。頭がとても痛かったのを覚えています。
その後、慌ててアニメ本編を見て、第7話まで見終えたところで『劇場版』を見られるタイミングを得たので2回目の観劇に行きました。この時は、最後の東京タワーが発射されるシーンで「すごーーー!!!」という新鮮な驚きを覚えました。このシーンを見たのは2回目だったはずですが。初回に観た時にはきっと、私の脳にはこのシーンを捕まえておけるほどの余裕がなかったのでしょう。(2回目観劇時も半ば放心状態で観ていたので、別に余裕があったというわけではないのですが。。。)

圧倒的な演出、圧巻の映像と強烈な音楽に載せられた、強靭な想いと言葉の奔流。

まさに「胸を刺す衝撃を浴びてしまった」私は、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に通うようになりました。めったに映画館に行かないタイプでしたが、その後1ヶ月ほどで15回劇場に通いました。今では、何も感じなくなるまで観劇しよう、と思っています。というのも、「これは私のための作品だ」という感触があるからです。

自分が制作したわけでも制作に携わったわけでもなく、もちろん自分のために作られたわけでもないのに、「これは私のための作品だ!」という感じを覚える作品を、映画や、舞台や、本や、音楽を、誰もが一つは持っていると思います。
初めて見たキャラクターが、初めて見る物語を紡いでいるのに、それが自分から遠くないところにあるようで、明確な理由がわからないものの強い印象を受ける。そういう作品です。
私にとって『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』は、まさにそれでした。


4. 感想を言語化できなかった

観劇しているときに余裕がない、という状態は長く続きました。
アニメ本編をすべて観終えてから観た『劇場版』3回目の観劇時は、そもそもアニメ本編をすべて見終えた直後という余裕のなさもあったのですが、最後のシーンで「あれ?星でできた塔には上らないんだっけ?」と思ってしまうという記憶の混乱がありました。

この3回目の観劇後に友人2人に感想を語ったのですが、いまいち言葉にしきれず、「熱意は伝わった」と言われてしまうような状況で、『劇場版』を見た衝撃や抱いた感想を、まだまだ自分の中で言語化できていませんでした。(そんな話しかできなかったにもかかわらず、『劇場版』を観に行ってくれた2人。ありがとう!)

3回目の観劇は新宿のEJアニメシアターでした。この時に鑑賞特典のポストカードを頂いたのですが、当時の私にはそこに描かれているのが花柳さんなのか天堂さんなのか判然としませんでした。(天堂さんのポストカードでした。)

自分が受けた衝撃や感想を言葉で言い表せるようになったのは、ようやく8回ほど観劇してからのこと。この頃にアニメ本編の2周目を終えたこともあり、セリフや演出が作品の中でどういうつながりを持っているかが段々と見えてきて、「わかる」と感じることが増えてきました。とはいえまだ、登場人物とその背景を理解して、人物同士の関係性がわかってきたというくらいだったので、『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』という作品世界よりも、『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』という作品自体に強く惹かれている状態でした。


5. 作品世界が好きになった

転機が訪れたのは、2021年12月28日。
川崎にあるチネチッタで『少女☆歌劇 レヴュー・スタァライト ロンド・ロンド・ロンド』と『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を連続上映するという情報をキャッチし、川崎まで出かけることにしました。

しかし、生来のものぐさで天の邪鬼気質である私は、
「『ロンド・ロンド・ロンド』もなんだか評判いいけど、結局アニメ本編の総集編なんでしょ?アニメ本編はもう2回見てるし、きっと焼き直しでそれほどでもないんだろうなぁ」
という勝手な想像を抱きながら川崎へ向かいました。

阿呆です。

このときのチネチッタは、『ロンド・ロンド・ロンド』のあとに『劇場版』を上映するという流れでした。上映日の直前にチケットを買っていたので、どちらも真ん中より前よりで感激することになりました。あ、観劇することになりました。まぁどちらで書いても間違っていないのですが、事前に私が抱いていた勝手な想像は完全に間違っていました。

アニメ本編の焼き直しなどでは全くありませんでした。
あの作品世界に違う角度から切込みを入れ、アニメ本編を見ていたときには捉えられなかった繋がりを浮かび上がらせる、アンビバレントでシンフォニックでメランコリックでエンドレスなビルドゥングスロマンでした(書いていて自分でもよくわからなくなってます)。

この時に、先入観と勝手な思いから根拠なく『ロンド・ロンド・ロンド』を侮った自分を深く恥じました(その一方で、1時間以上の距離がある川崎まで観劇に行った点だけは、我ながらよくやったと思います)。『ロンド・ロンド・ロンド』が終わって『劇場版』が始まるまでの合間の時間に、「はい。ごめんなさい。めちゃくちゃすごかったです。Blu-ray買わせてください」と心の中でつぶやきながら、アマゾンで『ロンド・ロンド・ロンド』のBlu-rayを注文しました。

チネチッタで『ロンド・ロンド・ロンド』と『劇場版』を観劇したことで、アニメ本編、『ロンド・ロンド・ロンド』、『劇場版』が織りなす作品世界全体が好きになりました。そうなると面白いもので、「もっと観たい、もっと知りたい、もっと触れたい」という思いが強くなっていきました。

こうして、2022年の年明けからは、鑑賞可能な上映をできる限り観に行くようになりました。

チネチッタにも塔がありました


6. 海老名まで行った

しばらく新宿のEJアニメシアターに通っていましたが、ロングランを続けていた上映が、1月上旬に終わってしまいました。そのタイミングで近隣で上映していたのは海老名にあるイオンシネマ海老名だけだったので、こちらに通うことになったのですが、通っていた頃は、終業時刻には荷物をすべて準備しコートを着て退勤を押すのみの状態になっているという準備万端な日々を過ごしていました。業務をすべて就業時間内に終え、残業は一切せず、昼休みに時間があればアニメ本編を視聴し、外出時にはレヴュー曲を聴く、という『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』中心の生活でした。

海老名は新宿から小田急線一本で行けるのですが、新宿と小田原の真ん中より小田原よりの駅で、地図で見るとちょっとびっくりするくらい新宿から遠いのです。レイトショーでの上映だったため、映画が終わったら足早に駅に向かわないと終電に乗れないという、なかなかスリリングな日々でした。(海老名のイオンはものすごく広いので、通い始めた当初は館内で迷ってしまって上映時刻ギリギリになったことがあり、それはそれでスリリングでした。)

イオンシネマ海老名といえば


もちろん名物のこれですね

イオンシネマ海老名スクリーン7のK23~26に座ると、冒頭で大写しになった神楽さんと目が合います。Q23~26に座ると、魂のレヴューで大写しになった天堂さんと目が合います

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』ちょっといい話


7. 映画のために大阪に行くとは思わなかった

しかし、楽しい時間はいつか終わるもので、海老名での上映も程なくして終わってしまいました。

まだどこかで観られないかと公開スケジュールを調べた私の目に飛び込んできたのが、大阪は難波にあるなんばパークスシネマで1月15日(土)と16日(日)に上映されるという情報でした。

5回目の開催決定!を心待ちにしています

「観たいけど、、、大阪か、、、大阪は遠いな、、、」

正直、そう思いました。
ましてや映画のために大阪まで行くというのは。。。

しかし、大阪に行きたいとは前々から思っていたこともあり(かすうどん食べたかった)、試しに大阪までの旅費を計算して、かかる時間やスケジュールを検討してみました。

行けなくはありません。

日曜はレイトショーのため、これを観てしまうと月曜朝までに帰ってこられないかと思われましたが、よくよく調べると割り切って日曜に新大阪に泊まって、月曜の始発の新幹線で帰ってくれば始業時刻には間に合いそうです。


大阪に行くことにしました。

劇場までの道のりは、梅田駅地下街で迷い、なんばパークスで迷いと、関東モンにはかなり難易度の高い旅でしたが、無事になんばパークスシネマで土日とも観劇することができました。こちらのシアター10は音のバランスが素晴らしいく、今まで気づいていなかった音が明瞭に聞こえてきました。最後の砂漠を歩くシーンでは、地面に足がついたあとの砂を踏みしめる音の余韻まで聞こえてきたほど。

なんばパークスシネマに到着
「PARKS CINEMA」と書かれた矢印の方向に進むと・・・
あっ!先客が!!(トイザらスに行っちゃってるけど)

なんばパークスシネマでは入館時に鑑賞特典のポストカードを配布されていて、1日目の土曜日は石動さんのポストカードをいただきました。石動さんは、私が昔宝塚をよく見ていた頃に好きだった樹里咲穂さんにどことなくイメージが重なるところがあって好きだったので結構嬉しかったのですが、紆余曲折を経て西條さんのファンになっていた私は「2日目に西條さんのポストカードをもらえたら嬉しいな」とも思っていました。


そして迎えた運命の2日目。私が入場時に受け取ったポストカードは、、、




「私だけを観ていればよいのです」

天堂さん!!!

EJアニメシアターですでに頂いていたので、これで2枚目!!!

耳元で「私だけを観ていればよいのです」と囁く声が聞こえたとか聞こえなかったとか。。。
「西條さんのポストカードがほしい」という思いを見抜かれたようで、このときから天堂さんに畏怖の念を抱くようになりました。

かすうどんを食べに新世界へ
帰りに地下鉄に乗ろうとしたら・・・
妙な縁を感じました

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を観たあとは、日常のすべての音が小さくなる気がします。まるでファイトクラブのようです。

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』ちょっといい話

『スーパー スタァ スペクタクル 最後のセリフ』のシーンは、ついに!とか、いよいよ!とか、とうとう!とか、本当に様々な感情が溢れてきて、もしかしたらこれが劇場で観られる最後になるのかも知れないとも思ったりして、顔が次から次へと違う感情に乗っ取られて、ものすごく変な顔で涙しつつ、だけどもなぜかしら清々しい気持ちで、観ていました。


8. 友人とBlu-rayを見た

Blu-rayはもちろん買いました。
アマゾンプライムでデジタルのセル版も買ったので、よくよく考えると意味がわからないかもしれませんが、、、

西條さんに強く惹かれていたので、発売日に近隣のとらのあなを巡り、アニメ新規描き下ろしB2タペストリー(真矢・クロディーヌ)付きのものを購入しました。(あの「本当に心底からあれが欲しい」という気持ちを持って駅から駅へと街を巡るのは、えも言われぬエモさがあっていいですよね。)

ちょうど年末に久しぶりに友人2人と会う約束をしていたので、その時にBlu-rayを持って行き、私含め3人で観ることにしました。2人とも宝塚が好きなこともあってかすんなりと作品に入っていき、観終わってからの感想戦が盛り上がりました。

2人のうちの1人は津田塾大学卒業の才媛で、鑑賞中に何度も「津田だ!」と言っていたのが面白かったです。
そんな彼女の感想の中でハッとしたのが、

「なんで津田が舞台になったのかな?中庭を囲むあの形が劇場っぽいからかな?」

「トマトは観客の愛だね!」


・・・
彼女、初回の鑑賞ですよ。
で、これ。
すごい洞察力。
どういう教養をもってれば初回でそこまで掴める感性が身につくのでしょうか・・・

「中庭を囲むあの形が劇場っぽい」という指摘は、その後に観劇を重ねていき作品世界を眺める際にとても重要な視点となりました。また、これは宝塚ファンとしてなぜだろうと疑問に感じていた点なのですが、宝塚のレヴューでは繰り返し謳われる「愛」が『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』の中で直接言及されることがなかったのが気になっていました。
彼女はこの疑問に答えをくれました(しかも初回観劇で!すごい!)。


9. 世界が広がった

『劇場版』のBlu-rayを買った当初はあまり気持ちが向かずノーマークだったオーケストラコンサートも、先行抽選の追加募集が行われたタイミングではかなり気持ちが盛り上がっていたため応募することにしました。(会員登録などに手間取り、追加募集最終日の23:58に手続きを終えて胸をなでおろした。)

石動さんもいらしてました

抽選の結果の通知メールでチケットが当たったことを知ったときには、本当に見える世界が明るくなりました。会場の海浜幕張は結構遠かったのですが、こういうイベントに参加するのが人生で初めてだったので、電車が舞浜駅を過ぎたあとの、車内に何人もオーケストラコンサートのスタァライトシート特典のバッグを持っている人がいたり、周りの方がiPhoneで『少女☆歌劇 レヴュースタァライト ベストアルバム』を聞いていたりする様子の素敵さに、とても心が躍りました。

存分にスタァライトを浴び、愛城さんの口上のときには青いライトも浴びて夢見心地で帰宅。オーケストラコンサートのBlu-rayが発売されるのを楽しみにしています。

電車に乗って帰ります



この数ヶ月の間、2021年の11月の真夜中に『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を初めて観るまでの私には全く想像できなかった日々が続きました。
今までの自分だったら、こんなに何度も映画を観ることはなかったし、13000円もするBlu-rayを求めて歩き回ることもなかったし、こんなに方々に出かけることもなかったし、友人に勧めることもありませんでした。

本当に好きだと思えるものに出会い、追いかけ、深く感じ入り、考え省みることで自分自身を知り、友人と語り合うことで更に友人を知ることができ、極端な出不精だったのにフットワークが軽くなり、臆断を持たないよう心がけるようになり、なにより日々の生活が明るく輝きました。(ちょっとヤバい人っぽいですかね?笑。でも本心からそう思ってます。)

毎回、上映が終わって劇場が暗くなったときには「ありがとうございます!」という感謝の気持でいっぱいになります。


『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』に関わるすべての皆さま!!
素敵な作品を、本当にありがとうございます!!!

それでは次回「第3回『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』マラソン」でお会いしましょう!

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