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ぼくの株の話 part12

第一部完結

株で儲けて仕事を辞めたい人たちに捧ぐ

〇前回の話



〇辞めると告げてから

 ある日意を決して、上長に会社を辞めることを告げると、え?まじ?!みたいな反応をされた。少なくとも部下が辞めることは上長である彼にとってプラスにはなるまい。悪い上司ではなかったし、嫌いなわけでもなかった。そんな彼に格別迷惑をかけたいわけでもなかった僕は正直この時点では罪悪感が膨らみ、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。当然辞める理由を聞かれた僕は本当のこと、つまり、入社した当初からこんな会社辞めてやると考えていて、もう十分な金があるからやめるんですなどとは言えず、MBAに通って勉強するうちに新しいことに挑戦したくなったとか、そんな感じのウソを並べ立てた。それに対して彼、50歳越えのおっさんは「そっか・・・。」と別れ際の恋人みたいなセリフを言って黙り込んだ。なんかすまんな・・・。

 その後の会社生活を一言で言えば快感で頭がおかしくなりそうだった。なんて言うかマリオのスター状態みたいな感じかな?すれ違うやつ全員がクリボーに見える。この感覚は余裕をもって会社を辞めるものにしかわからないであろうと思う。部長とか取締役とか見かけたら、よう元気か?あと何年働くんだ?って言いながら肩でも叩いてやりたい気分だった。

 まあ株クラに残された良心と呼ばれる常識人な僕はそんなことしませんが・・・。

 少し具体的な経過について振り返ると、会社を辞めてると告げてから4週間くらい引継ぎなどをして、二十日分くらいあった有給を使い切って退社した。その間になんか思い出に残るような話は特に存在しなかった。しいて言うならその間に形式的な引き留めを受けたが、今すぐ社長になれるならとどまってもいいですよと返したことくらいで、僕自身も会社を必要としていなければ、会社も当然自分を必要となどしていないことを改めて認識しただけだった。出社最終日も特に思い出に残るようなことは何もなく、今となっては手で受けた水のように、ある日見た夢のように、自分の記憶から綺麗に抜け落ちてしまった。

〇新しい住居探し

 新しい住居についてはめちゃくちゃ悩んだ。当時、会社勤めの僕は19平米の独房のような1Kで生活していたが、会社の借り上げだったため、ほぼ家賃は0だった(ちなみにその独房のような1Kでも家賃は87000だった。東京やばいな・・・)。そこに固定費として家賃が乗ってくるという見通しは当時の僕にとって大きなプレッシャーだった。冷静に考えて家賃が会社持ちってめちゃくちゃすばらしいよね・・・。その分給料は安かったけどさ。

 奮発して15万から20万くらいで探しちゃおうかなぁと思っていた僕は都内の色々な場所の家賃を見て回った。どこに住んでもいいという事実に最初はわくわくしながら物件探しをしていたが、次第に逆に選択肢が多くてめんどくさいなという気持ちに変わっていった。辞めると告げてからはほぼ新居のことしか考えていなかったが中々決められずにいると、そこで例の投資家の友達がこう言った。

「うしさんさぁ。けちけちしちゃだめだよ。稼いだらいいんだし、いいとこ住んだ方がいいよ。あ、そうだうちのマンションきなよ。かなり安いからさ。」

 ちなみにかなり安いと宣う彼の家賃は記憶にある限りだと60万かそこいらだった。資本主義許せねえな!しかし当時の僕はあまりに悩み過ぎていてもうそこでいいか・・・という気持ちになってしまい家賃が1LDKで大体30万くらいのそのマンションの部屋を見に行ってしまった。一度いい部屋を見てみるとこれまでの部屋のなんとしょぼいこと、もうそこしかないというような気分になってその日即決で契約してしまった。それはなんか株を何となくこれいいなでめちゃくちゃな量買う気分に似ていた。正直審査が通るかどうか不安であったが、さすが投資家だの芸能人だのが多く住んでいるので有名なだけあって金さえあれば問題ないということで無事契約することができた。しかし勢いでそれなりのお値段の部屋を契約してしまったため、その日はわくわくともに本当に払い続けられるかという不安に苛まれることとなった。冷静に考えて家賃30万ってなんだよ・・・高すぎだろ・・・。

 ちなみにこの話にはとてもひどい続きがあって、とてもいいマンションだからうちに来なよと言っていた彼は僕が入居してすぐに、このマンションには飽きたと言って30万と比べても目が飛び出るほど家賃が高いマンションに引っ越していった・・・。ひどすぎる・・・。

〇仕事を辞めた後の生活

 その後はまさに悠々自適という言葉を100個くらい並べたって足りない生活を送っている。よくある程度まとまったお金ができて仕事を辞めてもやることがなくて、飽きそう・・・みたいなことを言っている人がいるが、自分は仕事というかサラリーマンを辞めてからの毎日が楽しくてしょうがない。少なくともサラリーマン時代とは比べようもないほど毎日楽しい。おいしいもの食べて、ゲームやって、ツイッターやってサウナきめて寝るみたいな完全仕上がり生活最高。というのは半分くらいは冗談で割といろんなことにフラットな気持ちで挑戦できる状態というのかな。ここら辺はもしかしたら別の話として話すことができる日が来るのかもしれない。いずれにしてもお金のために渋々何かをやってる生活とは毎日比べ物にならないほど充実感があるのは間違いない。ここに関しては憧れてた生活とほぼ寸分違わぬ生活を送れている。ただ世の中多くは金って感じなんだけど、自分より先に行ってる人たちをみるとその先の悩みってのはわりとステレオタイプなところがあって自分も例にもれずみたいなところはある。例えば膀胱に腫瘍が見つかって癌の可能性が高いと言われたりとかね・・・。

〇最後に

 長々と話してきたけど、ここらでぼくの株の話もひとまず終わりにしたいと思う。自分のように特別な才能もなく、年収もそこそこ程度だった貧乏人がこうして、人生の早い段階で経済的な自由を得られたのは株式投資のおかげで、株式投資で儲けられたのは、まあ控えめに言ったところで8割以上は運だった。正直自分には株のセンスはないし、やる気だってそんなあるわけじゃない。じゃあなんでこうなれたのかと言えばシンプルに言えばリスクを取ったからだと思っている。昔ならば貧乏人が一旗揚げたいというリスクを取ろうとしたら命を賭けるしかなかった。だからリスクを取るということが本能的に多くの人を遠ざけていて、それは本能に刻み込まれた行動だから多くの人はそれをコントロールしようなんて思わない。でも現代では幸いなことにリスクを簡単に取ってコントロールできる制度がある。それが株式投資だと思う。それなのに今でもリスクは嫌われてるから、ただリスクを抱擁してあげるだけで期待値が産まれるんじゃなかろうか。だからいつかリスクが遺伝子レベルで嫌われなくなったら株はきっとただの格闘ゲームみたいになっちゃうんじゃないかと思う。でもそれはきっとずっと先だし、もしかしたら訪れないかもしれない。

そんなわけで全然最後ってわけでもないけど
ひとまずありがとう株。



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