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赤ちゃんの夢中に出会う ー「赤ちゃんのきもち」番外編

今週からデジタルコンテンツ配信プラットフォーム「cakes」にて「赤ちゃんのきもち」の連載がはじまりました!

そんなわけで、毎週のcakesでの更新に合わせて、各章の番外編をnoteで更新していきたいと思います。今週は第1章「赤ちゃんを観察してみる」の裏話。

そもそもなぜぼくが赤ちゃんに夢中になっているのかというと、それは赤ちゃんの真剣な表情に胸打たれたからです。赤ちゃんは真剣にものをつかんでしゃぶったり、液体をぱちゃぱちゃしたり、散らかしたりします。そして次第に興奮してきて、奇声を発したり雄叫びをあげたりします。ぼくはそのたびに、人間が何かに夢中になり、楽しみ、喜ぶということの原初に出会うのです。だからぼくは赤ちゃんが面白くて仕方ないのです。

そんな姿を数多く見てこられたのも、0歳~2歳の子+ママ・パパ向けの親子教室「ここちの森」を開発・運営していたからです。これは伊勢丹新宿店が手がけるオリジナルの教育コンテンツ「cocoiku」の基幹事業です。

「ここちの森」は赤ちゃんにさまざまな探索行動をうながし、ママやパパには認知・発達科学の視点からそれらの行動の内容を解説する24種類のワークショップです。ぼくふくめた5人のチーム+7人のアドバイザーを迎えて開発しました。もちろん現在も通年で営業中です。男性のファシリテーターも多いので、パパも通いやすい親子教室として評判ですよ。(ぼくは3年間の開発+現場運営の兼業を経て、現場を退いています)

開発の初期から携わっていただいたのはcocoikuの全体監修をしているミュージアムエデュケーターの会田大也さん。「コロガル公園」シリーズなどは会田さんの代表作です。そして現在慶応大学で教鞭をとられている触覚研究者の仲谷正史先生。『触楽入門』の著者で、エンジニアリングの視点から触覚を研究されている稀有な研究者。noteではSFC TOUCH LABでの記事をアップされています。

この開発プロジェクトは、伊勢丹のお客様の0~2歳の超早期教育への高いニーズに応じるものとして始まりました。そこで会田さんは「皮膚は最初につくられる感覚器だから、赤ちゃんは触感を楽しみながら発達していく。触覚の教室をつくろう」と提案。たしかに、赤ちゃんのおもちゃにはさわりごこちを重視したものや、おしゃぶりがある。(最強のおしゃぶりの一つに、「なめられ太郎」がある)

この仮説にもとづき共同開発に触覚研究者の仲谷先生を迎え、連続のワークショップシリーズをつくりました。「弾性素材(スポンジなど)」「液体素材」「粒状の素材」「温度の異なる素材」など、素材を軸に分類し、手先で触るものから全身で抱えて持ち上げたり乗っかったりするものまで、素材とサイズを多数とりそろえ、赤ちゃんにとって安全なかたちで提供してみました。

くわしくはこちらのページをご覧ください。

こんな背景を経てはじまった「ここちの森」の最初のバージョンで、赤ちゃんたちは予想をはるかに超えた驚くべき探索行動をくりひろげました。そんな遊び方をするのか!そんなことに興奮するのか!まじかよ!そんなことできるの!?と。

そのおかげで、ぼくたちは大量の観察データを蓄積することになります。それらはエピソード記述形式で写真とともに保管され、エピソード数は千を数えるほど。そこからさらに改良を加えて、現在のバージョンに至っています。

それらのエピソードを読み返し、編集したものがこの「赤ちゃんを観察してみる」で紹介されている10の事例です。ぜひ、ご一読ください。


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