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もうこれ以上、誰も観るな。



本気でそう思った。
こんなことを思った映画はこれが初めてだった。


主人公サンフンが痛くて、不器用で、愚かで、目も当てられないほど欠けた部分ばかりで、最低で、

でも誰よりも愛にまみれていて苦しくて苦しくて苦しくてすぐにでも画面の中に入って抱きしめてあげたかった。

サンフンはこれまで見てきた数ある映画のどの主人公よりも群を抜いて愛おしい人間だった。


みんなは観るな。

 

サンフンの、本当は罵倒と暴力で隠しておきたかった愛を、誰も見るな。


この愛を知っているのは私だけでいい、私だけが彼を、彼の不器用な愛を、守ってあげたかった。そんな気持ちにさせられた。

怖くて痛くて苦しくて醜くて、ちっとも良い気分になんかならないのに。それなのにどうしてだろう。どうしようもなくこの映画が愛おしい。





もう、これ以上、誰も、みるな。




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