東京五輪中止で北京冬季五輪に圧力を

森会長が、失言がきっかけで辞任に追い込まれてしまった。

森会長の失言は、五輪憲章の精神に反している、のだそうだ。

だったら、単なる失言とは比較にならないほどメチャクチャな人権侵害、いやもはや人権侵害なんて生易しい言葉で説明することが不可能な「ジェノサイド」を現在進行形で行っている国が、五輪開催国にふさわしいか否かなど、議論の余地はないだろう。

1936年に、ナチスドイツはベルリン五輪を開催している。しかしその時、すでにユダヤ人は強制収容所に強制入所させられていたのだ。

森会長の発言が五輪開催国にふさわしくないと言うのであれば、北京なんぞもはや論外なのである。

当然、北京冬季五輪はボイコットしなければならない、という理屈になる。

ところで、中国はメンツを重んじる国である、と言われている。

冬季五輪をボイコットされた、となると「メンツをつぶされた」と感じることだろう。その場合、どんな報復をしてくるか分からない。

ところで、冬季五輪の開催まで、実はすでに残り1年を切っている。

東京五輪の閉幕が8月8日、北京冬季五輪の開幕が来年2月4日、たった半年しか間がない。

当然、東京五輪がコロナで無理なら、北京だって無理だろう。

つまり、北京冬季五輪を、コロナを理由に中止すれば、ボイコットされてメンツをつぶされるという事態は避けられる。

逆に、東京五輪が開催された場合、北京冬季五輪は絶対に中止できなくなる。日本が開催できたのに中国が開催できないというのは中国のメンツが丸つぶれになるので、意地でも開催することになるだろう。

もちろん東京五輪を中止すれば北京冬季五輪も中止になる、というわけではないが、北京政府が中止を決断しやすくなることは間違いない。

もちろん北京冬季五輪が中止になったからといってウイグルでのジェノサイドや香港の民主活動家への弾圧が直ちに止むわけではないが、QUAD参加国との決定的対立を避けながらソフトランディングさせる道が開けることにはなると思う。もっとも現在の北京政府がその道の上を進むとは思えないが、ただ一方的に対立を煽るだけではなく、相手に逃げ道を用意してやることも戦略上とても大事だと思う。

ていうか、日本政府としても、ボイコットは言い出しにくい以上、北京政府が中止を決断してくれたほうが有難いんじゃないのかな。もしも今の政府にそういう計算が働いていたら、東京五輪は中止の方向に向かうように思う。

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